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プライバシー重視のブラウザ「Brave」、もはや存在意義を投げ捨てた?

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  • author Shoshana Wodinsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • Rina Fukazu
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プライバシー重視のブラウザ「Brave」、もはや存在意義を投げ捨てた?

CEOのコメントが(色々な意味で)印象的。

ユーザーのプライバシー最優先を掲げていたブラウザ「Brave」。それが今では「言っていることとやっていることが違うじゃないか」というような指摘が飛び交っています。いったい何が起きていて、今後どうなるのか、米GizmodoのShoshana Wodinskyが説明しています。


「アフィリエイトURLに自動で切り替わる」

Decryptによると、特定の暗号通貨サイトからユーザーの追跡や収益のすくい上げに使用できるアフィリエイトURLにリダイレクトされると報告されています。

あるツイッターの投稿で明かされたところによると、暗号通貨交換サイト「Binance」のURLを、問題が指摘されている「Brave」の検索バーに入力すると、元のURLである「binance.us」がアフィリエイト対応の「binance.us/en?ref=35089877:」にリダイレクトするリンクに自動で切り替わるとのこと。

エンドユーザーは、どちらのURLでも同じサイトにたどり着くわけではありますが、Braveは後者のURLに変換することで、特定のサイトへの紹介報酬を得ることが可能になります。ちなみに暗号通貨交換サイト「Binance」のブログ記事では、ユーザーが行なう取引の最大50%の報酬を得られると紹介しています。

発見された問題は、氷山の一角?

こういった類のURLトラッキングタグは、一般的に「リンクデコレーション」と呼ばれています。Cookieを使用せずユーザーを追跡する方法として、フェイスブックやグーグル、その他多くの企業が関わっていることから少し怪しいような印象があるのも否定できません。

Decryptで指摘されているところによれば、「Brave」はこうしたタグが追加されていることについて、月間およそ1,500万人のユーザーにきちんと開示していないといいます。ユーザーからしたら、"セキュリティ重視"のブラウザで、このように追跡される可能性があるとは知る由もなかったはず。

暗号通貨交換サイト「Binance」のURLリダイレクトに関するニュースが明らかになってからまもなく、他の暗号通貨関連サービスでも同様の処理がされている報告されています。

「間違いでした、修正します」

これに対し「Brave」のCEOであるBrendan Eich氏はツイッターで、ユーザーの検索バーにアフィリエイトリンクを追加することは「間違い」であり、現在「修正」していると発表しました。

ただし、これが本当に「間違い」であったかどうかは疑わしいものです。同氏によると、Braveはユーザーがサービスの一部としてオプトインしている広告や、検索によるアフィリエイト収益を通じ、「実行可能なビジネスの構築」に取り組んでいると説明しています。

「これがうまくいけばすべての関係者にとってウィンウィンとなる」ことや、「私たちのユーザーは、Braveの存続を望んでいる」といった強気な発言をしているのも印象的なところ。

他ブラウザと比べたらマシなほう?

デジタルプライバシー領域における既存の問題と比べたら、今回の「Brave」の件はかなりマイナーなほうだといえます。ユーザーの検索キーワードに自動的に追加されるアフィリエイトリンクは、個々のユーザーではなく「Brave」ブラウザを認識するためのものだとCEOのEich氏は主張しています。

ただ、大量なデータを吸い上げることに熱心なその他ブラウザとほんのちょっとだけ一線を画していて、そのことを誇りにしている企業が、問題を問題ではないことにしようとしているだけ...という印象も残ります。"セキュリティ第一"を掲げていた「Brave」は今、失いかけている収益を取り戻すために何らかの方法を見つけ出す必要があるのでしょう、それがユーザーの同意があろうとなかろうと...。