こんにちは! これまで2500件以上の酒場に足を運んできた酒場案内人の塩見なゆと申します。
前回は、酒場で働く店員さんが家飲み用に作るおつまみを紹介していく記事を公開しましたが、今回はその後編をお届けしていきます。
後編でご協力いただいたのは、1899年開業のビヤホール「銀座ライオン」。そして、1905年に創業し、渋谷でビストロを運営している「富士屋本店」。共に100年の歴史がある名門酒場です。
本記事は、各酒場の厨房の方々がプライベートで作る定番おつまみのレシピを教えていただき、それをご紹介していく企画です。気になるおつまみがありましたら、ぜひ作ってみてください。
現存する最古のビヤホール「銀座ライオン」
まずは銀座ライオンの歴史を簡単に。現在、全国に130店舗を構える総合レストランチェーンに成長した銀座ライオンですが、銀座にある「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」は、日本に現存する最古のビヤホールともいわれる、歴史ある老舗飲食店です。
※今回は同じく銀座にお店を構える「ライオン 銀座五丁目店」にオンラインにてお話を伺いました。
なんといっても特徴は生ビール。数多くの種類を取り揃えており、注ぎ方からこだわり抜かれた生ビールを楽しむことができます。
また、1世紀以上続く飲食店だけあって、期待を裏切らない料理の数々を楽しめるのも銀座ライオンの魅力です。特に「LIONチキンの唐揚げ(4個)979円」と生ビールの相性は抜群です!
今回は、ライオン 銀座五丁目店で厨房担当を務める伊藤伸也さんに、自宅でよく作っているおつまみを教えていただきました。
ビールによく合う「ピリ辛こんにゃくのゴルゴンゾーラ焼き」
まず教えていただいたのは、ビールを猛烈に誘うこんにゃくを使ったヘルシーレシピです。
こんにゃくにスーパーなどで売っているゴルゴンゾーラチーズを合わせた一品です。一体どんな味のおつまみになるのでしょうか?
材料(1人前)
- こんにゃく……1/2袋(150g)
- ゴルゴンゾーラチーズ……20g
- めんつゆ……大さじ1.5
- ごま油……大さじ1
- 輪切り唐辛子……適量
作り方
1.こんにゃくを3cm程度の角切りにしていきます。
2.フライパンにごま油を引いて温めた後、こんにゃく、めんつゆ、輪切り唐辛子を加え、めんつゆがなくなるまで中火で炒めていきます。
3.炒めたこんにゃくをグラタン皿などの耐熱容器に移し、2cm幅程度にカットしたゴルゴンゾーラチーズをのせます。
ゴルゴンゾーラチーズを使う理由は、こんにゃくの淡泊さを補いつつ、めんつゆとの相性も良いからだそう。
4.オーブン(180度前後)で5分ほど加熱すれば完成です。
一口食べてみると、どこかあっさりしているこんにゃくに、めんつゆがコクをプラスしてくれています。そして、めんつゆとゴルゴンゾーラチーズの組み合わせが恐ろしいくらいに合います!
めんつゆと輪切り唐辛子が、ゴルゴンゾーラチーズ独特の風味を邪魔することなく、濃厚なうま味を感じた後に、輪切り唐辛子がピリッと締めてくれます。
なんとも上品な味わいになっており、ビールを誘う味つけでした。こんにゃくはカロリーも低いので、罪悪感なく食べられるのも素敵ですね。
クロワッサンを生地に使った「かぼちゃとベーコンのお手軽キッシュ」
次に教えていただいたのは、クロワッサンを生地に使った「かぼちゃとベーコンのお手軽キッシュ」です。
アウトドアが趣味という伊藤さんが、キャンプでも簡単にキッシュを作りたい……と悩んだ末に考案したメニューだそう。クロワッサンで代用したキッシュはどんなおつまみになるのでしょう?
材料(1人前)
- ベーコン……50g
- 玉ねぎ……50g
- かぼちゃ……100g
- たまご……2個
- 牛乳……100ml
- 市販のクロワッサン……1個
- バター……10g
- 粉チーズ……小さじ1
- オリーブオイル……小さじ1
- 黒胡椒……適量
- 粉チーズ……小さじ1(最後に振りかける用)
作り方
1.かぼちゃを1cm幅程度にカットした後に、500Wの電子レンジで10分ほど加熱して柔らかくしておきます。
2.オリーブオイルを引いたフライパンで、5mm幅程度にカットした玉ねぎとベーコンを中火で炒めます。
3.玉ねぎがしんなりしてきたら、ボウルなどに移します。そこに牛乳、たまご、粉チーズを入れ、軽く混ぜ合わせておきます。
4.グラタン皿などの耐熱皿にバターを塗り、市販のクロワッサンをちぎって潰しながら敷き詰めていきます。
5.クロワッサンを敷き詰めた耐熱皿の上に、3で作っておいたキッシュの具材を流し込みます。
※今回は小型のフライパンでも作ってみました。火にかけて作ることも、オーブンで作ることも可能とのことです。
6.1で加熱しておいたかぼちゃをのせ、粉チーズと黒胡椒をお好みで振りかけます。
フライパンで作る場合は、蓋をして弱火で15分ほど。オーブンの場合は180度で20分ほど加熱していきます。
完成したかぼちゃとベーコンのお手軽キッシュはこちら。
レシピを教えてくれた伊藤さんは、キャンプなどでこのお手軽キッシュをよく作るそうです。クロワッサンを使用することで、キッシュを作るハードルが一気に下がりますね。
一口食べてみると、クロワッサンのサクサク感とたまごのふわふわ感が交互にやってきます。
そして、クロワッサンの外側はサクサクなのに、内側は具材のうま味を吸収して、とろとろに。熱々のキッシュをビールで流し込めば……もう間違いありません。
またかぼちゃを、きのこやほうれん草などで代用することも可能とのこと。さまざまなバリエーションを楽しめるのもいいですね。寒い季節にぴったりなおつまみでした。
鶏もも肉を上品に楽しむ「大人仕立てのチキンソテーと香草ハニーマスタードソース」
次は、大人仕立てのチキンソテーと香草ハニーマスタードソースです。特製の香草ハニーマスタードソースが、いつもの鶏もも肉のチキンソテーを格上げしてくれる、そんなおつまみです。
材料(1人前)
- 鶏もも肉……300g
- 醤油……大さじ4
- おろしにんにく……小さじ1
- おろししょうが……小さじ1
- オリーブオイル……小さじ2
- 黒胡椒……適量
【香草ハニーマスタードソース】
- マヨネーズ……大さじ3
- 粒マスタード……大さじ2
- はちみつ……大さじ2
- 香草(ディルまたはコリアンダー)のみじん切り……適量
※香草は乾燥パセリでも代用可能です。
作り方
1.ボウルに一口サイズにカットした鶏もも肉を入れ、醤油、おろしにんにく、おろししょうが、黒胡椒を入れ、混ぜ込んでおきます。15分ほど冷蔵庫で寝かせておきましょう。
2.中火で熱したフライパンにオリーブオイルを引き、下味をつけた鶏もも肉を皮面から7分〜8分程度焼いていきます。
フライパンに蓋をして蒸し焼きにすれば、加熱時間を短縮できます。
3.香草ハニーマスタードソースを作っていきます。マヨネーズ、粒マスタード、はちみつ、香草(ディルまたはコリアンダー)を加えて、よく混ぜます。これで香草ハニーマスタードソースの完成です。
※香草(ディルまたはコリアンダー)がない場合は、乾燥パセリでも代用可能です。
4.中までしっかり火が通った鶏もも肉に、3で作った香草ハニーマスタードソースをかければ完成です。
実際に食べてみると、香草ハニーマスタードソースが上品で完全にお店レベルの味でした! やや脂身の多い鶏もも肉と、甘じょっぱいのにさっぱりとした香草ハニーマスタードソースが相性抜群! いつものチキンソテーを格上げしてくれる絶品おつまみでした。
若者の街渋谷で愛され続ける「富士屋本店」
続いてご紹介するのは富士屋本店です。この富士屋本店といえば、2018年に惜しまれつつも閉店してしまった老舗立ち飲み屋です。もしかすると、ご存じの方も多くいらっしゃるかもしれません。
しかし、2004年からワインバーなどの店舗も立ち上げており、その旗艦店として老舗店舗の名前を引き継いだのが、今回ご紹介する富士屋本店です。
立ち飲み屋時代の雰囲気を現代の渋谷に合わせてブラッシュアップさせた店舗で、大きなコの字のカウンターを配したオープンキッチンが特徴です。
メニューも定番の一品から独創的なメニューまで豊富に揃っており、他のお店では食べられないようなメニューも用意されています。
今回は、同店で料理長を務める西内紀明さんに、自宅でよく作っているおつまみを教えていただきました。
ゆでたまごをとっておきの一品に「ビストロシェフが作る贅沢ウフマヨ」
今回教えていただいたのは、ビストロシェフが作る贅沢ウフマヨです。富士屋本店のビストロシェフが、ゆでたまごを絶品おつまみに変えていきます。
材料(1人前)
- たまご……3個
- 水……1L
【マヨネーズソース】
- マヨネーズ……大さじ2
- 牛乳……大さじ1
- オイスターソース……小さじ1
- すりおろしにんにく……小さじ1/4
- チキンコンソメスープの素(顆粒)……小さじ1/4
- トリュフオイル……小さじ1
- 黒胡椒……適量
※トリュフオイルは、スーパーなどでも入手可能です。
作り方
1.水1Lを中火にかけて沸騰させ、たまごを7分間ゆでていきます。
2.たまごをゆでている間に、マヨネーズソースを作っていきます。牛乳、マヨネーズ、オイスターソース、すりおろしにんにく、チキンコンソメスープの素(顆粒)を入れて混ぜ合わせます。
3.1ができたら、氷水(分量外)につけて冷やします。こうすることで、簡単に殻が剥けるだけではなく、ぷるんとした食感になります。
4.半分にカットしたゆでたまごの上に、先程のマヨネーズソース、黒胡椒、トリュフオイルをかければ完成です。
一口頬張ってみると、たまごの黄身とマヨネーズソースのハーモニーがたまりません! コクとうま味が濃縮されたようなマヨネーズソースは、ゆでたまご以外にも合いそうです。
また、最後にトリュフオイルがしっかりと感じられるので、一瞬ゆでたまごであることを忘れてしまうほどの美味しさです。
いつものゆでたまごと一線を画するリッチなおつまみ。ぜひお試しください。
まとめ
今回は、「銀座ライオン」と「富士屋本店」のシェフに4品のおつまみレシピを教えていただきました。
取材を通じて感じたのは、身近な食材をアレンジしてみたり、ちょっとだけ特別な調味料を使うことで、ワンランク上のおつまみを作っていたことでした。
皆さんも気になるおつまみがあれば、ぜひ作ってみてくださいね。
お店情報
ライオン 銀座五丁目店
住所:東京都中央区銀座5-8-1 GINZA PLACE B2
電話番号:03-3571-5371
営業時間:月〜土: 11:30~23:00 (料理L.O. 22:15 ドリンクL.O. 22:30)
日・祝日: 11:30~22:00 (料理L.O. 21:15 ドリンクL.O. 21:30)
※営業状況は感染対策予防等の影響により変更する場合がありますので店舗までお電話でご確認ください。
定休日:1月1日、2月第3火曜日
※定休日の詳細は店舗までお電話でご確認ください
富士屋本店
住所:東京都渋谷区桜丘町24-4
電話番号:03-3461-1195
営業時間:17:00~23:00(料理L.O. 22:00 ドリンクL.O. 22:30)
※営業状況は感染対策予防等の影響により変更する場合がありますので店舗までお電話でご確認ください。
定休日:日曜・祝日
※定休日の詳細は店舗までお電話でご確認ください。www.hotpepper.jp
書いた人:塩見なゆ
酒場案内人(飲食・酒類専門ライター)。東京都杉並区・荻窪生まれ。 得意分野は街と酒。 新宿ゴールデン街に通ったお酒好きの両親を持つ。両親が飲んでいた瓶ビールに憧れて成長する。趣味からはじまった酒場めぐりは、次第に仕事になっていく。