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納豆汁ダマさっだど思っでこへでみねが?(作ってみないか)

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「納豆汁(なっとうじる)

インパクト抜群なネーミングのこの料理は、山形県の内陸部に古くから伝わる伝統的な冬の家庭料理。春から秋にかけて収穫した山菜やきのこ、根菜類を中心とした具材に、保温効果が高い納豆を合わせた雪国ならではの味噌仕立ての鍋です。そして、これでもかというほど納豆を溶かし入れるのが特徴です。

 

納豆を……溶かす!?

 

そうなんです。溶かすのです、納豆を。あのネバっとした納豆を。

納豆好きには絶対にたまらないこの納豆汁、このにわかに信じがたいレシピの調査へ行ってきました。

 

最上町の伝統レシピで料理開始

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やってきたのは、筆者の故郷・山形県最上町。

ここで郷土料理の伝承活動をしている「たらふく工房」を訪ねました。迎えてくれたのは、左からミサコさん(64歳)、ヤスコさん(61歳)、ノブイさん(69歳)という町の美人三人娘。

 

「さんむいべ? まんずながさ入ってあだったいべ〜(寒いでしょう? まず中に入ってあったまりなさい)」

 

該当エリア外の人には理解不能な方言とともに、さあ納豆汁のレクチャースタートです。

 

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この日準備して頂いた納豆汁の材料はコチラ。

 

材料(5人前)

  • 納豆 160g
  • いもがら 10g  ※お好みでご使用下さい
  • 天然わらび 100g  ※市販の山菜水煮パックでも可
  • 天然うど 100g  ※市販の山菜水煮パックでも可
  • 天然もだつ 150g  ※市販のなめこパックでも可
  • 大根 適量
  • 人参 適量
  • こんにゃく 20g
  • 油揚げ 20g
  • 豆腐 100g
  • 長ねぎ 20g
  • だし汁 5カップ
  • みそ 50〜60g

 

まず、"いもがら"を水洗いして、温水に10分程度浸して戻します。

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いもがらとは、からどり芋のくきを干したもの。地元では昔から納豆汁に欠かせない食材といわれていますが、味が……ほとんどしないんですよね。昔からなんで“いもがら”を使うのか疑問に思っていた私、せっかくなので美人三人娘に聞いてみました。

 

「むがしはくうものすぐねがったせよ、ないでも食ったんら(昔は食べ物が少なかったからね、なんでも食べたもんなんだよ)」

 

食材の少ない冬の時期に、保存食のひとつとして食べられていたのが"いもがら"なんだとか。普通のスーパーではなかなか手に入らない食材なので、お好みで使用して頂いてかまいません。

 

次に、天然わらび(下)と

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天然うど(下)を1〜2cmの大きさに切ります。

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地元では、春に収穫して塩漬けにしておいたものを戻して使います。もちろん市販されている山菜の水煮パックでも代用可能です。

 

コチラは"もだつ"という天然のきのこです。

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"もだつ"も納豆汁には欠かせない食材ですが、市販されているなめこのパックでも代用が可能です。なるべく納豆と相性の良い、ぬめり気のあるきのこを使用するようにしましょう。

 

味の秘密は「納豆ペースト」

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大根や人参などの根菜類と、あらかじめ湯がいておいたこんにゃく、さらに最初に紹介したいもがら、天然うど、天然きのこ、もだつを合わせて、だし汁で柔らかくなるまで火にかけます。 

 

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鍋を火にかけている間に、主役の納豆をすり鉢で潰していきます。

これが意外にも大変な作業で、昔は子どもたちの役割だったんだとか。

 

「これがおどげでねぇのよ〜(これが難儀なのよ〜)」

 

そう嘆くノブイさん。

その様子がコチラ。

納豆汁5人前用の納豆を潰すのにかかった時間は、合計8分30秒。納豆の粒がほとんどなくなるまで潰します。

 

ペースト状に潰すほど粘り気が増していくので、なかなかの力作業であることがわかります。すり鉢がない場合は、包丁で粒がなくなるぐらいまでたたいてとにかく粘り気を出して下さいね。

 

さて、今度は潰した納豆にだし汁をなじませて、味噌仕立ての鍋にいよいよ納豆を溶かし入れます。

 

その様子がコチラ。

溶かし入れるほどに芳醇な納豆フレーバーが広がり、粘り気がうま味あるぬめりとなって納豆汁を引き立てます。

 

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最後にあらかじめ油抜きした油揚げ、豆腐、長ねぎを入れて、味噌で味を調えたら納豆汁の完成です。

 

納豆汁の完成!

体が温まる納豆と根菜類、田舎ならではの具材がたっぷり入った納豆汁は、山形県内陸部における「冬の風物詩」ともいえます。

 

子どもたちも納豆汁が大好きで、学校から帰って家に充満するこの匂いに気づいたときには、もうテンションがブチアゲになること請け合い。地元では、常に学校給食のリクエストNo.1に輝くほどの大好評なんですよ、マジで。

納豆好きにはたまらない味でしょう。

 

意外な妙味! アレンジ納豆汁

そういえば、納豆汁って昔から変わらない味だけど、何か新しいアレンジはないものか? そんな無理難題を美人三人娘へぶつけてみました。

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試行錯誤して出来たのがこれ。

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キムチ納豆汁!

 

「キムチへってみだらばなんたべや?(キムチ入れてみたらどうだろう)」

 

そんなアイデアからいざ作ってみたら、これが全員納得の味。ピリ辛キムチが納豆汁と絶妙にマッチします。なんで今まで気づかなかったんだろうかというほど。寒い季節には最適のアレンジが誕生しました。

 

さらに、三人娘の冒険は続きます。

お次はこれ。

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納豆汁チーズリゾット!

 

「のごったままどチーズばへってみだらどげだべ?(残ったご飯とチーズを入れてみたらどうだろう)」

 

全員首を傾げつつも食べてみると、意外にも美味しくて驚きの表情で顔を見合わせる私たち。ありそうでなかった、納豆汁の最後のシメに是非試してみて下さい。

  

伝統の味を次世代へ残したい

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「納豆汁は、むがすっからこご最上さ伝わる家庭料理。次の世代さ郷土料理ばのごしったいって思いで活動しったのよ。(納豆汁は、昔からここ最上に伝わる家庭料理。次の世代へ郷土料理を残したいという思いで活動をしています)」

 

そう語る、「たらふく工房」リーダーのヤスコさん。普段は地元の郷土料理を味わえる農家レストランとして営業しているそうです。気になった方は最上町観光協会まで問い合わせてみて下さいね。

 

 

山形県の内陸部に古くから伝わる伝統的な家庭料理「納豆汁」。インパクト抜群のネーミングの裏には、地元のお母さんたちの温かい愛情が受け継がれていました。

全国の納豆好きの方には、是非自宅で作ってみてほしい故郷の鍋料理をお伝えしました。

 

書いた人:矢口優太

矢口優太

ARROW ENTERTAINMENT 代表|大手旅行会社勤務後、音楽業界を経て独立。海外フェス・コンサート・ツアーの制作、舞台監督、ツアマネとして活動中。昭和60年・山形県最上町産。歴史と温泉とロックンロールを愛する体育会系スイーツ男子。趣味はボクシング|(有)赤倉観光タクシー 代表取締役|海外旅行・グルメライター。

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