その理由の1つとして考えられるのが「宣伝効果」だ。こうしたブランド携帯の多くは、韓国で使われているCDMAではなく、GSM方式に対応した海外向けの製品だ。世界で広く使われているGSM方式でインパクトのある製品を販売すれば、より多くの人々にメーカー名を認知してもらうきっかけとなる。
特にSamsung電子、LG電子の両社は、海外でも低価格帯の薄利多売ではなく、高価格帯を中心とした高品質というブランドイメージを築いている。こうしたマーケティング活動により高級イメージがある程度定着してはいるが、そのブランド価値をより強化するため、有名ブランドと手を組む戦略を取っているようだ。
もう1つの理由として考えられるのが、韓国とそれ以外の国々との「趣向の差」だ。インターネットコンテンツをよく利用し、DMBや動画撮影など機能面でのハイエンドさを要求する韓国市場に比べ、それ以外の国々では機能面よりもデザインを重視する傾向が強い。
そういった市場にブランド携帯を投入した方が、自社製品のデザイン性の高さや高級イメージを効果的にアピールできるともいえる。
しかしこうしたブランド戦略は、今後韓国内でも次第に活性化するかもしれない。ただし有名デザイナーと手を組むといった手法ではなく、独自のブランドを作り上げるという方法が取られそうだ。
LG電子ではデザイン性の高い携帯シリーズ「Black Label」を展開すると発表し、その第一弾の製品として「チョコレートフォン」こと「LG-SV590」(SKT)、「LG-KV5900」(KTF)、「LG-LP5900」(LGT)を披露した。
Black Labelとは本来、上質な高級衣料を指す概念。これを携帯電話に適用することで既存の機能中心の競争から一歩抜け出し、自分だけの個性的なスタイルを持ち、かつファッション・トレンドをリードする消費者をターゲットとすると、LG電子は述べている。
高・多・新機能というのは携帯電話の華ではあるが、他社からも同じ機能を持った端末が出ていればそれらとの差別化は難しくなる。そこでLG電子はデザイナーズブランドのように強力なブランドを自らが築き、デザイン携帯の分野で確固たる地位を築こうとしている。
こうしたイメージ戦略は、「SKY」がすでに以前から行っており、結果、他社とは一線を画した都会的で洗練されたイメージが若者の心をつかんでいる。これまで機能に走りがちだった韓国の携帯電話も、ここにきてブランドイメージやデザインといったそのほかの要素に重点を入れ始めている。
|
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.