急激な円安を受け、政府・日銀が為替介入に動いたとみられている。一時的に為替は円高に振れたが、これにより「円安トレンド」に歯止めがかけられるのだろうか。円安による輸入物価の上昇が加速するなか、物価上昇に賃上げが追いつかない。日経平均株価は4万円を突破したが、国民生活は苦しくなっているという実感のほうが強いのではないか。そうしたなか、モルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)時代に「伝説のトレーダー」の異名を取ったフジマキ・ジャパン代表の藤巻健史氏がマネーポストWEBの取材に応じ、さらなる円安の進行やハイパーインフレが発生する可能性について、警鐘を鳴らした。
1ドル=160円を超える「超円安」に歯止めをかけようと、政府・日銀は7月11~12日にかけて為替介入に踏み切ったとみられているが、藤巻氏は「超円安の根本的な原因は、日本の国力の弱さにある」と指摘。それが解消されなければ、「1ドル=200円になってもおかしくない。場合によっては1ドル=400円、500円、あるいはそれ以上の円安まで考えられます」と語る。
藤巻氏は日本が「弱い国」になっている理由を大きく3つ挙げている。1つ目は、この40年間のGDP(国内総生産)成長率が、他国に大きく水を空けられて世界最低だったこと。2つ目は、国の借金が対GDP比250%超と世界最悪の水準に膨れ上がっていること。そして3つ目が、「10年あまり続いてきた異次元金融緩和によって中央銀行である日銀のバランスシートが対GDP比で“メタボ”になっていること」(藤巻氏)とした。