クレイジー・リッチ!
アメリカでは「ホワイトウォッシュ問題」というのがありまして。
白人以外の役柄に白人俳優がキャスティングされちゃうって問題なんですけど。
これ黒人が大体当てはまるかと思いきや、アジア人も当てはまる問題になってまして。
まぁ白人中心の国だから、お客さんも呼べないヒットしないなどなどの理由も加えて、それ以外は使いたくないってことだと思うんです。
多様民族国家なのに。
ところが、アカデミー賞脚本賞まで受賞したブラックコメディサスペンス「ゲット・アウト」、アカデミー賞主要部門にノミネートされたマーベル映画「ブラックパンサー」など、白人をほとんど使わずに黒人主体でキャスティングされた作品がめちゃめちゃ大ヒットしたんですね。
これによって白人以外のアメリカ人をたくさん出演させてもヒットしない、というハリウッドの映画会社の方程式がぶっ壊れたと。
これを機に他の人種が主役になる作品もどんどん制作されていくんだろうと思ったわけです。
ただアジア系が主役のハリウッド映画、ってのはきっともっと先の話、どんなに早くても東京オリンピック以降なんだろうなぁ、と。
そしたらどっこい、なんと今回観賞する映画、ほとんどがアジア系の俳優でキャスティングされメジャースタジオ製作映画で、しかも!全米で3週連続1位という快挙を成し遂げたのです。
基本アメリカで1位を取ったとしても、日本ではすぐ公開されるってことはないんですが、さすがにアジアは早く公開しないといかんでしょう!ということでまだ全米公開から1ヶ月弱という速さで上陸でございます。
アジア系俳優で一体どんな映画を作ったのか。
期待作に入れてなかったんですが、ミーハー野郎のモンキーがその噂を聞きつけ早速観賞してまいりました!!
作品情報
ケヴィン・クワンが2013年に発表した小説「クレイジー・リッチ・アジアンズ」を原作にした作品で、シンガポールを舞台に、長年の恋人が御曹司だったという事実から、嫁VS姑、今カノVS元カノなど彼を取り巻く女性たちとのバトルに発展し、裕福な一族の中で揺れながら本当の幸せを探す超普通の独身女性の葛藤や奮闘を描いたハリウッド製ラブコメ映画。
これまでなかなか製作されなかったメジャースタジオ配給のアジア系俳優中心映画が、大ヒットを得てついに極東の地日本へ上陸する。
ハイセンスハイブランドといったゴージャズな衣装や富裕層ならではのリッチな世界で繰り広げられる男をめぐった熾烈な争いは、まさに映画版「バチェラー」そのもの!
そして「花より男子」の主人公牧野つくしが、恋人と結婚するために道明寺財閥の中で奮闘するかのような、日本の女性ならどこか観たことのあるシンデレラストーリーにも目が離せない。
既に大ヒットを受け続編製作まで持ち上がっている今作。
セレブとの結婚を夢観る全ての女性必見のゴールインムービーです!
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あらすじ
生粋のニューヨーカー、レイチェル・チュウ(コンスタンス・ウー)は、長年の恋人ニック・ヤン(ヘンリー・ゴールディング)が親友の結婚式に出席するというので、一緒にシンガポールへ向かう。
初めてのアジア旅行に胸を躍らせながらも、それまでニックが家族の話を避けているように感じていたレイチェルは、彼の家族に会うことにとても緊張していた。
出発当日、空港で案内された先はファーストクラス……
なんとニックは、かの国でもとりわけ裕福な一族の御曹司であるだけでなく、社交界の女性たちから超人気の独身男のひとりでもあったのだ。
そんなニックの恋人として現れたレイチェルには、嫉妬深いお嬢さまたちからのキツーい視線が突き刺さる。
さらに悪いことに、ふたりの交際をよく思わないニックの母親(ミシェル・ヨー)が仲を裂こうと画策し始める。
そんななか明らかになってくるのは、お金で愛は買えないが、お金の存在は物事を断然複雑にするということだった…。(ワーナー公式より抜粋)
監督
今作を手がけたのはジョン・M・チュウ。
既にこの人がバチェラーって感じがバンバン出てるんですが違いますからね~。
いわゆるアジア系アメリカ人なんですが、こういう映画監督って少ないですよね。ぱっとでてくるのジャスティン・リンくらいしかいないもんなぁ。
映画監督業界もアジア系はまだまだ作品取らせてもらえないってことですかね。
これまで「G.I.ジョー/バック2リベンジ」や「グランドイリュージョン/見破られたトリック」など比較的大きな作品を手がけてきた監督。
今作がきっと一番の代表作になることは間違いないでしょう。
監督に関してはこちらをどうぞ。
キャスト
生粋のニューヨーカー、レイチェルを演じるのはコンスタンス・ウー。
キレイですね~。キレイなのにオレこの人知らん!
やはりアジア系は多くの作品に出ていないからなのか、単に自分がチェックしてないだけだと思うんですが、今作結構知らない俳優さんが多く出演しているので、その辺の情報はかなり薄っぺらくなっております。
一応現在Netflixで配信しているアニメ映画「ネクストロボ」の声の出演をしているようですが、ほかはTVドラマ「フアン家のアメリカ開拓記」くらい。ドラマはマジで疎いです。
今回この映画で顔が知れ渡ると思うので、今後の活躍に期待ですね。
他のキャストはこんな感じ。
レイチェルの恋人で御曹司のニック役に、今回が映画初出演のヘンリー・ゴールディング。
ニックの母エレノア役に、「007トゥモロー・ネバー・ダイ」、「グリーン・ディスティニー」、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・リミックス」のミシェル・ヨー。
レイチェルの友人ゴー・ベク・リン役に「オーシャンズ8」のオークワフィナ。
その父ゴー・ワイ・ムン役に「ハングオーバー!」シリーズ、「怪盗グルーのミニオン危機一発」のケン・チョン。
ニックの友人で、結婚式の花嫁として登場するアラミンタ・リー役に、「ラ・ラ・ランド」、「エクスマキナ」のソノヤ・ミズノなどが出演します。
自分としては完全に「花より男子」にしか想像できないでいるんで、是非ニックのほうにはF4のような面々が登場し、彼を後押ししてくれるような展開を期待しておりますw
とまぁ、あまりこういう風に先入観つけて外れたらもったいないのでおいといて。
ここから観賞後の感想です!!!
感想
めっちゃシンガポール観光したくなる!
人間はアジア系だが、典型的なラブコメなので誰でも楽しめる映画でした!!
以下、核心に触れずネタバレします。
目がチカチカする。
富裕層ばかりが住むシンガポールの都市部を舞台に、普通の家柄の中国系アメリカ人の女性が、恋人との将来を見据える上で、彼の母親に認めてもらうために奮闘する姿を、毎度毎度ゴージャスでセレブリティなハイブランドファション、豪華絢爛で華やかで煌びやかなパーティーから「ウルフ・オブ・ウォールストリート」よろしくアゲアゲでノリノリな船上パーティー、金持ちならではの発想や価値観など、どいつもこいつもクレイジーなリッチたちのやらかしっぷりが最高なのに加え、格差婚でのすれ違いや敷居の高さなどもしっかり織り交ぜた、女性の本当の幸せとは何かという考えを文化の違いからも描いた典型的ラブコメ映画でした!!
ほぼ全編シンガポールが舞台のお話。これはもう観光に来てくださいってPRにしか見えないくらいの映画でした。
近年話題に取り上げられるマリーナベイサンズホテルも当然出てくるし、巨大なライトアップされた木々があるガーデンズ・バイ・ザ・ベイ、めっちゃメシがうまそうな屋台街や結婚式場、そして独身最後のパーティーをマレーシアのラワ島で敢行するなど、どれもこれもゴ―ジャズで非日常的で庶民には場違いな場所ばかりです。
はっきり言ってカップルでこの映画を見たら、彼女は絶対新婚旅行はシンガポールね!っていいそうだし、彼氏もおいおいマジかよいったいいくらかかるんだよと困惑すること間違いないでしょう。
その雰囲気はレイチェルとニックがファーストクラスでシンガポールへ向かうあたりからどんどん加速していきます。
いやいや機内でシルクのパジャマ着てベッドで寝るってこと自体もう非日常的。
男性陣の独身最後の船上パーティーも一体どこでそんなこと覚えたのか、国際水域まで出てコンテナで周り固めた船の上でプール作ってでっかいビジョンつけて派手にバズーカ砲打ってとやりたい放題。金持ちのすることは規模がデカすぎてわかりませんw
女性陣もラワ島でドレス持ち帰り放題からスパでエステ、そして夜は浜辺でどんちゃん騒ぎとこちらもド派手。
もうずっとこんな感じの様子なので、話はまず置いといてそっち見てるだけでも満足できる映画でした。
「花より男子」だよねやっぱり。
お話はざっくり言うと、ニューヨークで恋人に友人の結婚式行くから君もおいでよ、両親にも会わせるから、君も古い友人に会えるしいいじゃん!ということで彼のお家に向かうんだけど、彼のお母さんはもちろん息子が連れて来た女が気に入らないわけで、レイチェルを色々と精神的に追い込んでいくわけです。
レイチェルは他にもニックの元カレをはじめとした、ニックのような男をゲットするべく玉の輿を狙う女豹たちに嫌がらせを受け、戦意喪失。
しかし、そこはレイチェル。
経済学で勝負の仕方をわかっていることと、親友のペク・リンの助言と、表面的にセレブになれるようにとヤン家のいとこオリバーの協力の下、中身も外身もニックと釣り合うような強く美しい女性へと大変身し、彼女なりに活路を見出そうと奮闘するお話。
これはもう見る前から想像していましたが、「花より男子」のつくしが連想するわけで。
まぁニックは道明寺のようなドSではなく超優しい男前でしたが、やはり彼の地元の友人たちはどいつもこいつも金持ちで、金持ち以外は全員クズみたいな偏見野郎もいれば、超いい奴もいたりとまるでF4みたいな感じ。
まぁ残念ながら花沢類のような恋敵が出てくるわけじゃないので、あくまでレイチェルがつくしとダブる程度ではありますが、普通の家の女の子が金持ちの家に嫁ぐには、こんなにも高い壁やら付き合いやら障害があるんだな、でもそこはガッツと知恵と見た目の大変身で何とかなるぜって感じはそっくりでした。
同じアジアの血でも。
なぜお母さんがレイチェルを認めないのか、というのがこの物語の肝になっていて、同じアジアの血を引く人種にもかかわらず自分の幸せの事だけを考えるアメリカ人を嫌っており、それをちらつかせるレイチェルの存在が疎ましかったわけであります。
自分も大学を結婚のために中退し、彼の家柄をキチンと継承するために自分を犠牲にして色々取り繕い幸せを手に入れてきた過去があり、あなたは私のようにニックのために尽くせるんですか?ということで、あの手この手でレイチェルをニックから遠ざけようといじめるわけですねぇ~。
ニックのおばあちゃんも孫には弱いのかレイチェルを途中まで認めていたのに、お母さんの入れ知恵によりそっちに加担してしまう展開にもなっており、こればっかりはレイチェルがかわいそうで仕方ないシーンでもありました。
これ結構びっくりだなと。生まれた時からアメリカに住んでいる日本人の知り合いがいないから感覚分からないけど、向こうで育ったならあなたは見た目はアジア人でも中身はアメリカ人、だから嫌い。
今の人はどうかわからないけど、世代が上の人はそういう考えをお持ちなんですね。しかも金持ちだから色々伝統やらしきたりやら敷居が高いわけですし。
またペク・リンがうまい例え言うんですよね。お前はバナナだと。
外身は黄色(イエロー=黄色人種ってことね)、だけど中身は白(白人=アメリカ人)て。
またお母さんがアメリカで受けてきた対応ってのも、アメリカ人を根に持つ理由の一つになっていて、冒頭でそれが描かれています。
一流ホテルのスイートルームを予約したにもかかわらず見た目がアジア人てことで予約すらなかったことにさせられる、というもの。
その後もっと上の人にかけあい、事情を説明して泊まることはできましたが。てか彼女がここのオーナーだ!と立場が逆転してしまうシーンなんですが。
表向きはレイチェルとニックの結婚に至るまでの道のりを描いてるわけですが、裏テーマ的にはお母さんの物語でもあったお話だったんですよね。
全員アジア人のハリウッド映画。
いつだったかGACKTがフランスかどっかのオシャレなカフェで窓際の席が空いてるから座りたいって言ったらダメって言われたみたいなツイートがニュースになってたことを思い出しました。
まだまだアジア人て世界で平等に扱われる存在じゃないんだろうなぁとその時思ったんですが、冒頭でそういうシーンを入れたということは、ほかのアジア人もよくぞんざいに扱われてるんだろうなぁと感じさせるシーンでしたね。
そういう意味でもやはりこの映画が全員アジア人キャストで撮ったハリウッド映画で、しかも3週連続1位って快挙はものすごく意味のある事だよなぁと思うわけですよね。
きっと冒頭のシーンを見たアジア人はあるあるって感じたことでしょう。
特に今回思ったのは、「ラ・ラ・ランド」や「エクス・マキナ」などの有名な作品にも出演しているソノヤ・ミズノさんがちゃんとアラミンタという役名をもらって演技している点。
彼女のセリフがある演技を見るのってこれがはじめてな気がします。
もちろん上に上げた作品にもセリフがあるわけですが、脇中の脇なので一言二言しかない。
でも今回はニックの友人で結婚式を挙げる花嫁って設定で、レイチェルを現地で案内したり独身最後のパーティーに誘ったりと大活躍する役柄。
本当なら多様性多様性と口酸っぱく謳ってるんだから、ハリウッド映画でももっとアジア人が活躍できてもおかしくないんですが、やはりヒットしないって二言目には言われてきたんでしょうね。
彼女だけでなくほかのキャストもこれを機に羽ばたいてほしいと思います。
意外にも泣ける。
で、そのソノヤ・ミズノさんが花嫁衣装を着て式を挙げるシーンなんですが、意外にも泣いてしまいましたw
恐らく演出が素晴らしかったのだろうと思います。
がっつりお金をかけて式場内に木々を一杯敷き詰めた内装。
介添え人と新郎が花嫁を迎えるんですが、その前に子供たちがバージンロードを歩いて花びらを撒くんですね。まずこれが非常に微笑ましい。
その後その歩いた道に水が流れてくるんです。落ちた花びらと共に。
その上をアラミンタが歩いてくる。
それを参列した人たちがライトのついた蝶が先っぽに付いた装飾物を持って迎える。
で、BGMはエルビス・プレスリーの「Can't Help Falling In Love」を女性がアコースティックギターで弾きが立って、バックの弦楽器で盛り上げる。
この演出が凄くよくて、結婚式ってやっぱり女性が主役だよなぁ、夢見るもんだよなぁ、しかもそれ見て泣いてしまう俺は何なんだwと色々考えながら涙したシーンでした。
もちろんクライマックスでのニックのプロポーズシーンもウルウル。
まさかそんなところでするなんて彼も考えてなかったでしょう。でもそうしないとレイチェルが帰ってしまう。ちゃんと素直に語るところもプラスになってレイチェルと一緒に泣いてしまいましたね。
レイチェルの後ろで通路に並んでいたおばちゃんが歓喜していたのも良かったなぁ。
そして笑える。
泣くだけではない、笑いの要素もたくさん。
まずペク・リン演じるオークワフィナが最高!
シンガポールに住んでいるレイチェルの友人でかなり裕福な家庭ではあるが、ニックのうちほどではない様子。
見てくれも金髪レズビアン風(彼女の父曰く)で、色々ぶっ飛んだことばかり言ってますが、ちゃんと常識人出る部分も描かれてます。
とにかくしゃべるしゃべる!
正直どんなこと言ったか思い出せないんですが、事あるごとにユーモアぶっこんで我々を笑わせてくれます。
そして彼女のお父さんも最高。「ハングオーバー」シリーズで3人を追いかけまわしたあのレスリー・チャウ役でお馴染みケン・チョンが、レイチェルにカタコトの英語でしゃべるザ・アジア人をまねしたり、レイチェル大変身の最中茶々をいれたりしてる姿はきっと笑えるでしょう。
最後に
今回短く区切って色々述べてみましたが、ホントどこにでもある内容の身分違いを描いたラブコメではあるんですが、全員アジア人キャストだということ、同じアジア人なのにアメリカにずっと住んでいるだけでこうも扱いが変わってしまうのかということ、日本では到底無理なバブリー感を、シンガポールという場所を借りて大きなスクリーンで味わえることなどなど、色々考えたり楽しんだりできた映画でした。
どうでもいいですが、すげえギョーザくった後に、ニックがこの後どうする?寿司?映画?っていうんですけど、お前一生分ギョーザ食ったって言っておいてまだ食えるのかwと思ってしまいました。
というわけで以上!あざっした!!
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満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10