幹部教官は警察権力で不同意性交、ベテラン刑事は孤独死宅荒らしで窃盗…岡山県警でも進む警察の腐敗
鹿児島県警だけじゃない、警察のガバナンス不全
Aさんが不同意性交の被害にあった広島市内のホテル。 |
今年2月、警察学校の教官という幹部警察官が、マッチングアプリを使って知り合った女性(21歳)に対する不同意性交罪で起訴され、自殺した。ノンキャリで岡山県警に入り、警視にまで出世した人物だった。同じ岡山県警では、勤続10年のベテラン刑事(巡査長)がギャンブル依存症となり、昨年5月以降、「孤独死宅荒らし」や警察の金庫から300万円以上を盗む等の犯罪を4件も重ね、懲戒免職となっている。いずれも、警察官による性犯罪隠ぺい事件が大ニュースとなっている鹿児島県警をはじめ、全国で続発する警察権力を悪用した犯罪であり、警察が国民の平穏な生活を脅かしている実態が明らかになっている。
- Digest
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- 自殺した警視
- 一度勝った快感が忘れられない
- 通帳を改ざんして監査すりぬけ
- 犯罪収益300万を横領
- 死者宅に侵入、金品を持ち出す
- 「人生もうどうなってもいい」
- 死者宅に侵入する手口
- 懲役3年執行猶予5年
- ギャンブルを動機とする警官犯罪が全国で多発
- 視野狭窄はギャンブル依存症の特徴
我々は、こうした手口情報の実例を共有することで知識武装し、自衛するしかない。警察官は、どのように権力を行使し、私利私欲を満たそうとするのか。
自殺した警視
岡山県警でも、鹿児島県警ほどではないにせよ、警察官による悪質な事件が続発している。
不同意性交罪、強要罪で起訴された中国四国管区警察学校の教官・岩本幸一警視(58歳)の公判がはじまったのは、今年はじめのことだった。その公判中、岩本警視は勾留中の広島中央署内で自殺した。私は1月25日の初公判を取材した。以下はその様子である。
警視以上は全警察官の数%だけ。県警では大幹部だ。(元警察官・宮城慶次氏『警察官の階級について』より) |
岩本警視は高卒で岡山県警に入り、めきめきと昇任し、警視になった。玉島署長を経て中国四国管区警察学校の教官という大幹部になった。
2024年1月25日、広島地裁(日野浩一郎裁判長)で開かれた初公判に、岩本警視は、上下灰色のスウェット地の運動着で現れた。悪びれた様子はない。堂々としている。傍聴席に軽く会釈をする余裕をみせた。いまから思えば、すでに自殺を覚悟していたのかもしれない。
起訴状と検察側冒頭陳述によれば、事件の概要は次のとおりだ。
2023年9月30日夜、マッチングアプリを使って知り合った女性A氏(21歳=事件当時)とコンビニエンスストアの駐車場で待ち合わせをして合流し、自家用車で広島市内のラブホテルに行った。あらかじめ合意した売買春の金額である4万円を渡し、風呂に入るよう指示し、その間、「いま浴室に入りました」とあたかも警察署に電話しているように装った。風呂から女性が出てくると、ジャージの下に着込んだ警察の制服を見せ、言った。
「じつは私は警察官だ。売春を取り締まっている」
岡山県警出身の岩本幸一警視(故人)の刑事公判が開かれた広島地裁。 |
嘘を言い、4万円を回収した。さらにスマホでAさんの写真を撮り、住所を聞き出して手帳に書き取った。そして告げた。
「警察に連行する。身元引受人として親を呼び出すことになる。職場にも知らせなければならない。ただし、私と性交すれば厳重注意で済ませることができる」
中央署長あての始末書をかかせ、性交に及んだ。その後、マッチングアプリを携帯電話から削除するよう指示し、じっさいに削除されているかを確認した。
同年10月2日、A氏と再び性交したいとの考えから、彼女の自宅付近で待ち伏せし、携帯電話の番号を聞き出した。
――この起訴内容について、裁判官が罪状認否を求めた。岩本警視は次のように答えた。
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無罪を主張した第1回公判の後、広島中央署に護送される故岩本幸一警視(2024年1月25日、広島地裁)。
元巡査長が刑事として勤務していた岡山南署(岡山市南区)。ギャンブルにのめりこみ事件捜査で押収した証拠金を金庫から盗みだした。ずさんな金庫管理体制も露呈した。
元巡査長が管理人をしていた官舎。共益費として集めていた7万5000円を横領する。
官舎の共益費7万5000円を引き出した郵便局。発覚を免れるため通帳の改ざんも行った。
前職場の総社警察署。孤独死宅から100万円を盗んでいたことが一連の捜査のなかで発覚した。相続人と示談が成立し、不起訴となった。
元巡査長は大学を卒業して岡山県警に就職した。学生時代からパチンコにのめりこんでいたという。掲示された採用募集のポスター(岡山南署)。
松岡元巡査長には、懲役3年執行猶予5年の有罪判決が言い渡された(岡山地裁)。
事件後に岡山県警が作成した変死案件の対応の改善を指示する内部文書。
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