【概要】
日本における機関リポジトリは,公開されているものだけでその数700を超えており,世界でも類を見ないくらい大きな規模に成長してきた。こうした機関リポジトリは,主に大学の教育研究活動の成果である学術情報の収集・組織化・保存及び発信といった役割を担い,オープンアクセス推進の一翼を担ってきたが,更なる推進にあたっては,研究活動の過程で生み出される研究データについても同様の仕組みを構築する必要がある。
折しも平成28年7月には,日本における機関リポジトリを振興・相互支援することを目的として,「オープンアクセスリポジトリ推進協会(Japan Consortium for Open Access Repository : JPCOAR)」が設立され,研究データを含む学術情報の管理・流通の発展が期待されるところである。オープンアクセスリポジトリを効果的に運用していくためには,図書館員にとってはこれまであまり触れる機会がなかった研究データを管理する方法やリポジトリを通した図書館による新たな研究者支援手段を理解する必要がある。また,研究者にとっては,研究データのオープン化が生み出す新たな価値を認識し,図書館員との連携によりリポジトリの積極的・自発的な活用を目指していく必要がある。
以上の状況を踏まえて本セミナーでは,図書館員と研究者が,研究データをいかに管理・流通させていくかという視点を共有し,そこからもたらされる両者の新たな関係について考えてみたい。
|