文部科学省の大規模学術フロンティア促進事業として、平成26(2014)年度から令和5(2023)年度までの十か年で実施した「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」(歴史的典籍NW事業)の成果をさらに発展させる後継事業として、「データ駆動による課題解決型人文学の創成~データ基盤の構築・活用による次世代型人文学研究の開拓~」(国文研DDHプロジェクト)を、令和6(2024)年度から令和15(2033)年度までの十年計画で実施しています。
本事業では、国内外機関等との連携による更なる画像データの拡充、画像データのAI利活用等によるテキストデータ化、データ分析技術開発の推進など、国文学を中心とするデータインフラを構築し、様々な課題意識に基づく国内外・異分野の研究者との共同による大規模データを活用した次世代型人文学研究を開拓することを目指しています。
ないじぇる芸術共創ラボは、文化庁の「戦略的芸術文化創造推進事業」を受託し、国文研で培ってきた古典籍の数々と
専門家によるネットワークを研究者コミュニティの外側に開放しようとするものです。
開放することで、私たちの時代に新しいモノと文化の創成が望めるのではないかと期待しています。
ラボを動かす部門は3つあります。
マレガ・プロジェクトは、2011年にローマ教皇庁バチカン図書館で発見された、キリシタン禁制に関する歴史的史料の調査と研究のために発足しました。
この名前は、この史料を戦前の日本で集め、研究し、バチカンにもたらしたサレジオ会宣教師のマリオ・マレガ神父によります。
このプロジェクトは、バチカン図書館と人間文化研究機構、そして国内や海外から多数の研究者が参加し、進められています。
年2回程度の史料整理・調査を行い、その活動や研究の成果はシンポジウムなどを通じて公表し、世界のメディアなどからも大きな注目を集めています。
発見された文書群は、大半が新出の未整理状態にある重要な史料です。これらを世界に向けて公開するため、日本側とバチカン側の協力体制の下、目録作成や保存措置、デジタル画像化の作業を進めています。 また、新たな史料研究やキリシタン研究に取り組むだけでなく、データベースの作成・公開、日本史料の保存管理や調査方法の普及も行っています。この文書の学術的価値や可能性を日本資料の調査方法とともに情報発信し、日本研究と日本文化理解を促進することを目的としています。
「異分野融合による総合書物学の拡張的研究」は、人間文化研究機構広領域型基幹研究プロジェクトとして、2022年度から6ヶ年の計画で、当館が主導機関となり、国立歴史民俗博物館及び国立国語研究所とともに推進しているプロジェクトです。
大規模学術フロンティア促進事業「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」のもと立ち上げた、古典籍の「書物」という面に焦点を絞り、書物と人との関わりを研究する異分野融合研究「総合書物学」のバージョンアップをはかるもので、2020年9月に文部科学省に策定された「データ駆動による課題解決型人文学の創成」(ロードマップ2020)の指針を見据え、新たなる時代のデジタルヒューマニティーズの成果などを適宜取り込みつつ、総合研究大学院大学における授業科目「総合書物論」の展開に寄与し、学界ならびに社会への貢献を目指すものです。