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SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

Google検索設定に「アカウントに基づく情報」が追加された件のまとめ

久しぶりに「これは面倒だな」というGoogle検索の仕様変更に遭遇したので、メモ。DMMという事業とサイトの性格上、正直、コアアップデートより面倒です。

日本のSEO担当者で実務レベルでこの情報を本当に必要とする人が果たしてどれだけいるのか不明ですが(この変更の直撃を受けているサイトは限定されるはず)、その少数の方の参考になれば幸いです。

 

Google検索設定に「アカウントに基づく情報」が出現

2023年10月31日に、Google検索のその他の設定の項目に、コンテンツという見出しとともに「アカウントに基づく情報」という設定項目が出現しました。

性的なコンテンツの表示制御を行うセーフサーチは従来からあったのですが、今回この「アカウントに基づく情報」の新規追加にあわせて「コンテンツ」という項目にまとめられました。

Google検索 クイック設定

Google検索 クイック設定

 

コンテンツに「アカウントに基づく情報」と「セーフサーチ」が表示される

コンテンツに「アカウントに基づく情報」と「セーフサーチ」が表示される

 

アカウントに基づく情報をタップすると、次のような画面が表示されます。要は、Googleアカウントに蓄積される検索履歴情報に基づいて表示するコンテンツを制御する(パーソナライズする)というものです。デフォルトでは有効(オン)になっています。

 

アカウントに基づく情報

アカウントに基づく情報

 

セーフサーチは従来通りです。ちなみに従来のセーフサーチは「オン(有効)」「オフ(無効)」の2択でしたが、2023年6月30日から「オン」「ぼかし」「オフ」の3択に変更されました。ぼかしとはその名の通り、性的なコンテンツにぼかしを入れるものです。

 

なお私は本日気がついたのですが、セーフサーチの挙動について次のような説明を見つけました。業務上、このあたりの情報はすべて目を通していたつもりですが、「ユーザーが18歳未満と判定したとき自動的にフィルタリングする」ということを初めて知りました。該当説明はいつ追加されたのでしょうか。

セーフサーチは、Google のシステムでユーザーが 18 歳未満である可能性が示された場合に自動的にフィルタされるように設定されています。

 

セーフサーチの設定画面

セーフサーチの設定画面

 

今回の検索仕様変更による影響

FANZAやDLsite、メロンブックスといった性的なコンテンツを取り扱うサイトがGoogleで検索出来なくなっているという指摘が Xで多数されている通り、一部のサイトが検索結果に表示されなくなっています。

従来、セーフサーチを無効(つまり成人向けコンテンツを検索できる状態)に設定していたユーザーのアカウントに基づく情報のデフォルト設定は有効のはずです。

アカウントに基づく情報:オン

セーフサーチ:オフ

 

上記設定、つまりセーフサーチを無効にしているのに成人向けコンテンツを検索できなくなったため複数のユーザーが X にて指摘していたわけです。

しかしこの問題、困ったことに一般サイトやソフトアダルト、あるいはボーダーライン上の一部のサイトも検索結果に表示されないケースがあることを確認しています。一般向けと成人向けの両方の商材を取り扱うサイトのなかには、今回の仕様変更で影響を受けているサイトがあるはずです。

 

原因は「アカウントに基づく情報」

10月31日午前中の時点では Google が一部のサイトを村八分にしたのではないかとか、表現規制を行ったのではないかといったウワサも流れていたものの、もちろん違います。原因は「アカウントに基づく情報」の設定です。

いまこの記事をご覧の方で、単に成人向けコンテンツを従来通りに検索したいという方は単純に「アカウントに基づく情報」の設定を無効に、あわせてセーフサーチも無効に設定してください。

アカウントに基づく情報の挙動

ここからSEOの実務担当者レベルのお話です。以下、次の設定を前提に話を進めます。

アカウントに基づく情報:オン

セーフサーチ:オフ

同僚や知人の情報を総合すると、上記設定をしても検索結果に表示されるページ・されないページが異なるようです。たとえば、私の個人アカウントでは上記設定で「DMM」や「DLsite」「メロンブックス」と検索すると従来通り検索結果に表示されます。しかし、同僚のなかには同条件で表示されない人もいました。

おそらく「アカウントに基づく情報」つまり直近の検索行動に基づいて、成人向けコンテンツを望んでいないと推定されるユーザーに対してはフィルタリングが厳しめに働くといった具合に、検索行動履歴*1に基づいてフィルタリングが変化しているためではないかと考えています。その仮説であれば、Googleアカウントによって表示・非表示となるURLの違いや、検索結果に含まれる性的度合いの程度に変化が生まれることにも納得がいきます。

Googleの「子どもから大人まで安心して利用できるインターネット」への取り組み

2023年2月7日に開催された"Safer Internet Day"というイベントのなかで、Googleはオンラインセーフティ施策に関する方針に言及しています。子どもや青少年が意図せずして暴力やポルノコンテンツに接触するリスクを減らすためにさまざまな投資を行っています。6月末に実施されたセーフサーチの「ぼかし」の追加もその一環です。

私は業務上の理由でGoogleの近年のオンラインセーフティに関する多数のドキュメントや講演内容に目を通していました。それを踏まえると、きっと Google はアカウントに基づく情報に基づいて、自動的にフィルタリングすることでオンラインの安全性を担保したいのではないかと考えています。オンラインでの情報探索が当たり前の日常において、やはり望まない暴力や性的なものと遭遇することは望ましくないですし、それをユーザー個人が個別設定せずとも自動的に非表示にしてあげることが理想ではあるでしょう。

ただ、10月31日時点のフィルタリング状況を見る限り、ちょっと厳しすぎるというか、明らかにアダルトには該当しないコンテンツまで検索結果に表示されなくなっています。成人の方で明示的に性的なコンテンツを探したい人にも不便でしょう。これは後日修正されるのではないかと個人的に期待しています。

 

追記(11/1) 一般サイトも影響を受けている模様

アダルト商材や青少年にはふさわしくない系のサイトに影響していると思ったのですが、辻さんのツイートによるとそうではないようです。従来のセーフサーチとは大きく異なるフィルタリング基準になっているようです。

 

 

 

 

 

*1:アプリやウェブの利用履歴も含まれるのか不明。設定画面では検索履歴に基づくとしか記載されていない

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