Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                
SlideShare a Scribd company logo
メディア・リテラシー
8
形式としてのメタ情報
• ある部分が他の部分を説明するという
構造が見受けられる
• 端的な例では学術論文。学術論文は冒
頭にAbstractがあって、論文が提示する
内容を要約してある
• Abstractが本論を説明している
• より一般的なところでは
• 音楽CDのライナーノーツ
• ドラマの予告編と本編
• など
• この構造がメディアテクストの中に頻
繁に見受けられる
• 一つの表現の形式として一般的に認
知されている事を示す
• 「説明する部分」と「説明される部
分」が一対となって配置される形式
• 「説明する部分」をメタ情報と呼ぶ
• メタ情報はメタデータとも呼ばれる
• メタとは「高次な∼」「超∼」「∼
間の」「∼を含んだ」「∼の後の」
等の意味のギリシャ語の接頭語
• メタ情報とは、情報についての情報と
言う意味
• メタ情報は、説明対象のデータの内容
をメタレベル(俯瞰する位置)から説
明している
• メタ情報の提示の仕方にも形式性があ
る
• 形式性には多くのバリエーションがあ
る
• これらは、説明の仕方の直接性・間
接性よって分類可能
• 学術論文のAbstractは「要約」と言う形
式→直接的
• 本論の内容を簡潔に伝える「解説」「解
釈」と言う形式→直接的
• 作品の「ジャンル」→間接的
• 作品の「タイトル」→間接的
• 「著者」「作者」→間接的
• 「間接的な説明」は記号の持つ共示義
としての効果による
• 「タイトル」は、それが本編の内容を
説明すると明示的に宣言されていない
にも関わらず、読み手は本編の何らか
の特徴を説明するものとしてみなす
• 共示義による効果を考えると、それぞ
れが何かを示唆する事を条件に、あら
ゆるメディアテクスト同士の間に、「説
明する/説明される」の関係が成立す
る可能性がある
• 一見単独でメッセージを発するように
思われるメディアテクスト
• 他のメディアテクストによる説明の対
象である
• 同時に別のメディアテクストの説明を
行うものでもある
• あらゆるメディアテクストは、原理的
に、他のメディアテクストに対するメ
タ情報である可能性を持つ
• あるメディアテクストは、自らを何か
のメタ情報として位置づける事で、積
極的にその「何か」との関連性を創出
する
• 関連性を持たされた「何か」はメタ情
報を読み取る際のコンテクストを提供
する
• 関連性を「持たされた」側のメディア
テクストが読み取られる際に、逆にメ
タ情報がコンテクストを提供する
• 「メタ情報→情報」と言う単一方向的
な情報階層は解消され、互いが互いの
コンテクストを提供すると言う相互規
定的な関係が発生する
• 読解の際に焦点になる事
• あるメディアテクストの表現が、いか
なるメタ情報を想定して構成されてい
るか
• 読解の対象となるメディアテクストが、
いかなる種類のメタ情報を構成し得
るのか
物語的な形式性
• メディアテクストが伝達を試みる際に、
伝達されるべき内容、即ちメッセージ
は多くの場合に何らかの図式に従って
表現される
• 最も単純な例として「原因→結果」の
図式を考える
• この場合、メッセージは自ずと、「原
因Aが結果Bを生み出す」と言う一つの
物語に従って読み取られる可能性を持
つ
• 物語的な形式性は、多くのメディアテ
クストの中に顕在的・潜在的を問わず
見受けられる
• 顕在的にそれを有する例としては、テ
レビドラマ・ロールプレイングゲーム・
ビジネスプレゼンテーション等がある
• 共通して持つ特徴として、主題の差異
に関わらす、メディアテクスト自体が明
確な「始まり」と「終わり」を意識し
て編成されている事が挙げられる
• それぞれの表現が最終的な物語の結末
を示す為の構成要素として、その結末
の必然を物語る為に明確に位置づけら
れる
• 様々なメディアテクストが、多かれ少
なかれ何らかの物語的な形式を意識し
ながら構成されている
• 結末の予測が不可能だと言う意味で、
物語的な形式から最も遠いと考えられ
るスポーツの試合
• テレビ番組として提示される場合に、
何らかのトーナメントの決勝戦であれ
ば、それまでの戦いを振り返るシーン
の挿入により、その試合自体を物語の
結末に位置づける
• 物語的な形式の導入は、読み手の意識
を結末へ集中させる効果を持つ
• 物語の展開を中心とする、中心化の例
であると言える
• メディアテクストの表現には「物語の
本筋」を構成するものと、一見物語の
本筋とは無関係に見えながら結果的に
その展開を補完する「副次的な要素」
との、分化による秩序づけが行われる
• 導入される物語の形式が明確であれば
あるほど、物語の俎上に上がらないも
のの存在は見えにくくなる→隠
• 物語的な形式に注目しながら読解を行
う
• メディアテクストに導入される物語の
存在を明らかにし、その形式性を実
現する上での貢献度と言う観点から、
それぞれの表現に与えられる階層的
な秩序性を見出す
• 物語の存在とそれに伴う表現の階層的
な秩序性は、メディアテクスの記号化
コードを強く反映する
• 物語は、当然に人為の産物
• 従って、その存在は、仮にそれが読み
手を説得する要素として機能するとし
ても、本質的に恣意的なもの
• よって、メディアテクストの中に見出
される物語の必然性を考慮しなくては
ならない
• 物語的な形式の導入によって、メディ
アテクストから隠 されるものを考え
る上で有効
主題における形式性
• 主題の導入が中心化を促す一つの形式
である事を学んだ
• 換言すれば、主題の存在それ自体が、
表現における一つの形式である
• メディアテクストが一つ以上の主題を
持つこと、それを構成する一つ一つの
表現が何らかの主題に結びつく
• メディアテクストの性質が必然的にそ
うさせるのではなく、それが一つの
形式として認められ、反復される事
によってのみ維持される
• 主題は、表現における記号の使用に一
貫性を与える上で、その効果を発揮す
る
• 記号表現のレベル(色調、文字や図形
の形態的特徴、語り方のリズム等)
• 記号内容のレベル(示される事柄、取
り上げられる話題の種類・性質など)
• これら両面において、表現に用いられ
るべき記号の取捨選択の基準を与える
• 同時に、構成されるメディアテクスト
に、ある統一した装いをもたらす
• 逆に、そのようにしてもたらされる統
一性は、読み手に対して主題の存在を
示唆する指標となる

More Related Content

Media Literacy Part 8