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SIerから
Web系エンジニアへの転向
〜SIer出⾝者を採⽤したい⾮SI経験+採⽤責任者の叫び〜
BASE株式会社 取締役CTO
藤川真⼀
免責
私はSIer出⾝ではありませんの、あくまでも、⼀
採⽤担当者として、SI出⾝の⼈をどのように⾒て
いるか?ということについてプレゼンさせていた
だきます。
そのため、SI出⾝→Web系の採⽤担当がいる会社
ではまた⾒⽅が違うであろうことを事前にお伝え
しておきます。
⾃⼰紹介
藤川真⼀ (えふしん)
BASE株式会社 取締役CTO 今年のOKRは採⽤ファースト
新卒 製造業の技術者(制御系)
→ 26歳でデジハリ渋⾕⼀期⽣
→ 27歳 Web制作会社に転職、動画CMSプロダクト責任者
→ 32歳でペパボに転職
→ 37歳で起業
→ 39歳で会社売却
→ 40歳で現職
新しい時代の電⼦商取引の世界の提供
インターネットネイティブな決済の再定義
さて、はじめます
Web系と、SI業界の違い
⼀⾔にSIと⾔ってもいろいろあるよね?
• クライアント分類 (業務知識分類)
官公庁向け、⾦融向け、企業システム、教育、学校向け
航空、交通、鉄道 ・・・・ その他??
• 役割分類
SE、プログラマ、プロジェクトマネージャ、アーキテクト
サーバ運⽤、業務システム運⽤、テスト等々…
• 企業規模分類
システムコンサル、⼀部上場企業、⼆次請け、三次請け、SES、派遣….
• SIが縮⼩するとやばいと⾔われている企業
• SIが縮⼩しても、⽇本が消滅しない限り、全然問題ない企業
「Web系?」にもいろいろある。
• Webサービス⼤⼿ (Yahoo! Japan、LINE、GMO)
• EC系⼤⼿ (楽天市場、アマゾン)
• ⾦融系 (楽天銀⾏、GMO PG、ベリサイン)
• インフラ系 ( さくらインターネット、AWS)
• ゲーム系 (DeNA、グリー、コロプラ、gumi)
• スタートアップ⼤規模 (メルカリ、スマニュー、メタップス)
• Fintech系スタートアップ Freee、マネフォ、BASE
• ヘルスケア系スタートアップ
• さまざまなベンチャー企業
• Web受託 広告系、コーポレート、ゲーム開発
技術の違い
SIer (業務システム) Web系
Java , .NET Ruby , PHP , Python
Oracle、SQL Server MySQL
Enterprise Linux , Windows Ubuntu , Fedora , CentOS
オンプレ主軸 AWS、クラウド
SVN, git(クローズ) Github
プロプライエタリ オープンソース
⼤規模組織 開発チームは、1〜数⼈
確実性 スピード重視
設計が命、コードは⼤⼯さん コードが全て
ビジネスモデルの違い。誰に怒られるか?
• 請負 納品物を定義し、ソフトウエアを納品するのが仕事
瑕疵を超える納品物の成果責任は追わない
• 準委任契約 作業⼯数を提供する。瑕疵担保責任なし。
成果責任も経済的には追わない。契約継続性の⽅で担保
• サービス業 ソフトウエアは⼿段、業績が成果
ビジネス責任は⾃分たちで負う
(僕らはサービス業!
excelキャプチャ貼付による完成度のエビデンスとかいらないので、
早くサービスを出して、お客様に使っていただいて成果を問う)
徐々に両者の特性の違いが整理されてきた
SIerの経験がないスタートアップ経験者が、
⾯接をするときに恐れていること
• 規模が⼤きい故に、⾃分の仕事の範囲の知識しか知らない
• 開発者なのにデータベースの設計をしたことがない
• ⼤組織に慣れてしまったが故に、指⽰待ち癖、スピード感がない
• ビジネスを実現するんだという意識、経験があまりない
• インターネットにあまり興味がない
• SEはコードを書けない、プログラマは業務やアーキテクチャの設計
をしてないところに中途半端さを感じてしまう
・不確実性な状況を乗り越える努⼒ができなそう
・マネジメントしないと、動いてくれなそう
・使ったことない技術も、ちゃんと使いこなす努⼒ができなそう
・⼤量アクセスのWebサーバの運⽤経験がなさそう
・オープンソースによる低コストでどうにかする⼯夫ができなそう
実際、どうなんでしょうか?
採⽤側の無知、偏⾒の問題も⼤きい
でも、同じ職種だとは思われていない現実は、
乗り越えたほうが良い
⼤切なのは、
キャリアを超えて期待されること
⼭岸俊男⽒の「信頼の研究」
能⼒に対する期待
「この⽬的を達成するための能⼒を持っていることを期待する」
意図に対する期待
「この課題に対して責任を果たすことを期待できる」
期待通りの結果が出た時に⽣まれるものが信頼
要は期待されれば採⽤されるのだが、
• 技術的接点が少ないので、スキルが理解しにくい
• ビジネスモデルが違うので、問題解決の経験が⾒えない。
• 案件の質が違うので、履歴書を⾒ても共感点が少ない
• 経験の内容が違うので、⾃分たちの共感に変換できない
⇒ ⾯接する側が、職務経歴書から能⼒を判断できない。
給与問題
• ⼀部上場企業のSI出⾝者の給与が⾼い問題
• ポテンシャルと年齢の兼ね合いで悩む代表的な属性
⼀部上場SI + ⾼学歴 + 20代後半
年収600万円over + SE + 開発歴なし
• SIからWeb系の転職は、レベルアップではなくクラスチェンジ
• クラスチェンジ = ひとまずレベル1になる覚悟があるか。
相応の規模のスタートアップなら、ミドルマネジメントもしくは、
テックリードとしての期待が得られれば、すぐに給与⽔準は取り戻せる。
年齢問題
⼤学を卒業して、デフォルトで進みやすいのはSI企業。
まだまだネットビジネスはマイノリティかと。
・25歳以下なら、学歴と新⼊社員教育の成果で転職できる
・それ以上は年齢に応じて、明確な付加価値が必要
Webサイドでも⼈材不⾜の中で、ポテンシャルの⾼い
SI出⾝者に活躍してもらえそうな期待を判断する⽬を持つのは
重要課題
SI出⾝者の転職戦略
⾯接官は採⽤したがっている
• 質問の⼀つ⼀つは、その⼈の良いところを探すインターフェース
• 「何か共感できるところはないか?」
• 少⼈数チーム、技術適応のスピード、成果へのコダワリ
• 企業理念に答えが書いてある。
ケーススタディ:BASE社のミッション
「価値の交換をよりシンプルにし、
世界中の⼈々が最適な経済活動を⾏えるようにする」
ケーススタディ:BASE社の⾏動指針
• 「Move Fast」
失敗した事を責めるのでは無く、早くリリース出来た事を美学
とし、その⼤きな発想は潰すのでは無く、形を変化させよう。
• 「Be Complete」
常に学びを怠らず、謙虚な気持ちと⼤胆な⾏動を⼼がけ、
執着⼼と責任感を持って遂⾏しよう。
• 「To Win」
⽬的を⾒失わず⼿段に固執せず、仲間を尊敬して信頼し、
チーム⼀丸となって最後は絶対に勝とう。
期待させるために共感点を作る
• 技術的接点を増やし、スキルを⾯接官にイメージさせる
• ビジネスモデルが違う中で、積極的に動いたこと
• 案件の中で、何を努⼒したのか?何を⼯夫したのか?
• 今までの経験はこうだったが、Web系ではもっとこうしたい、
という欲望、欲求を話す
とりあえず、よくあるWeb系への勘違い
・みんなギークなんでしょ?
・みんな休⽇に勉強してるんでしょ?
・なんでもスピード優先でバグを出しても気にしないんでしょ?
・GithubのURLは、とりあえず履歴書に書くんでしょ?
⽇本⼈のGithubのStar 100個以上獲得してるリポジトリ保有者は、
上位2%だけ。ほとんどの⼈は書いても意味がない(仕事では使う!)
・ネットで⽬⽴つ⼈達は、⼀部の上澄み
期待する能⼒
・LLのプログラミング技術、オープンソース技術、git
・設計技術、機械学習などの最新動向技術を追いかける興味
・アジャイルなプロジェクト管理スキル
・AWSなどのクラウド運⽤スキル
・「運⽤まで全部⾃分でやりました」「沢⼭の⼈に使ってもらっています」
あまり期待していない技術
・巨⼤なデータベースの設計スキル
(ストアドプロシージャなどはほとんど使わない)
・⼤企業組織の⽣き残り技術 (責任回避⼒など)
・⾃分たちが使ったことのないツールや技術の技術
・ウォーターフォールのプロジェクト管理スキル
・すでに⾃動化されているもの (オンプレのメンテ、⼈⼒監視など)
期待する転職意図
・⼈⽣設計、キャリアパスとしての転職理由が明確
◯◯をやりたいと思ったらスタートアップしかなかった。
こういう⼈達を幸せにしたいと思っている。
期待しない転職意図
・⾃分の価値観を持たない転職
流⾏ってるから転職したい。
現状に対する不満を前提として、SIの先がないから、とか。
ミックスカルチャーの動き
SoRとSoEという概念からの、ベンチャー的展開
System of Record と System of Engagement
by Naoya Ito
Webを⽣業に成⻑したベンチャーの社会的責任が増えていくことで、
このミックスカルチャーは絶賛進⾏中!
・従来のSI側が、Engagementを獲得するか、
・ベンチャー側が、Recordを獲得するか
SIer出身者を採用したい非SI経験+採用責任者の叫び
SIer出身者を採用したい非SI経験+採用責任者の叫び
汎⽤的な技術⼒
C.ビジネスコミット型
⼈材
(SI出⾝は多分こっち)
A.腕利き開発者
(Web業界内転職に多い)
B.理想的な⼈材
⾃社のプロダクト、
サービスコミット
理想的な⼈材とは「普通はいない」ってことなので、最初は、AかCへの信頼からスタート
例えば、僕が欲するSI出⾝⼈材
• 要は、社会⼈としての基礎スキル、実務能⼒が⾼い。
• クソコード適正が⾼い、理解⼒に優れており、⾺⼒でリファクタリング
• 技術そのものより、システム安定性、サービス品質に対する強い興味
• 実務能⼒ = 技術適正 (問題解決⼒、どんな技術でも理解が早い)
• これに加えて、スタートアップへの興味や⽂化への適応意思、変化可能性
年齢を重ねているなら、SIのSoR特性をしっかりマスターした上で、
SoE特性を理解していると期待を得られやすい。
現状の「ありのまま」では、
期待を得られなさそうな⼈の打開⽅法
⾯接は、その場その場、短期で判断しないといけないので、いきなり猪突猛進に⾯接をしても
どうにもならないことも多いので、少し⽴ち⽌まって考える⼿もある。
経験を補完する
• オープンソースの活動に参加する。
• ハッカソンに参加して、仲間と仲良くなる。
• リクルート主催 MashupAwardなどで賞をめざす
• Gʻs Academyで修⾏する。
(すくなくとも僕をメンターにしてもらえれば、個別相談します)
ここしっかり応募書類でアピールしてください。SIでの経験だけでは最低限の部分しか判断できず、
SoE特性をしっかり学びに⾏っていき、⾃分の⾔葉で語れる⼈であると期待させることが重要です。
ポートフォリオとして、Qiita、ブログやgithubで補うことも忘れずに!
ただし、注意事項
Github問題と同じく、「それを経験すること」が⽬的ではない。
経験を通じて、どう成果を出し、他⼈に期待されるための
ファクトを積み上げるか?
⼿段として使うためには、⼀定の努⼒は不可⽋。
好きでやれてる奴らと同じ作戦では勝てない。
難しいからこそ、あなたがチャレンジする価値がある。
簡単だったらやる意味ない。
Q&A
・SIerからWeb系への転職は可能かどうか
・どうすればweb系に転向できるか。
・転向する場合に⼀番の障害
・なぜキャリアチェンジしたのか。
・なぜCTOになれたのか。
・SIerのやりがい,Web系のやりがい
・web系への転向が本当に正しい選択か判断したいため。
・web系エンジニアとしての必要スキルや⼼構え
・⾔語の選び⽅について
・新しいサービスを⼀⼈で始めるときの注意
・勉強法など
・Web系のメリットデメリット
・未経験からエンジニアへの転職を希望している
Any other question ?
最後に
BASE株式会社もエンジニアを募集しています。
ECの新しい未来を作ることにチャレンジしたい⼈
SIの経験を下地に、ベンチャーでチャレンジしてみたい⼈募集
https://www.wantedly.com/companies/base
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