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オープンイノベーション
社内活動における課題提起
株式会社シリコンバレーベンチャーズ
リサーチフェロー
山崎 隆幸
2015年12月
オープンイノベーション活動を社内に普及・定着させるためには…
社外技術導入を検討できる
環境の整備
1 トップの号令 • 経営ビジョンに明記する、活動推進部門を設置するなど、目に
見える形でトップがコミットして号令をかけることが重要。
2 社外技術調査費用の現場への
負担軽減
• 導入実績が生まれ、活動が定着するまでは、コーポレートレベル
で費用を負担することがBetter。
• 会社としてトライアルと位置づけて、コーポレートが協業先探索
費用だけでなく協業費用まで負担し、事業部門の積極的な技術
導入活動に繋げる必要がある。
社内の意識を喚起 3 定期的かつ徹底的な働きかけ • 風土が定着するまでは、研究者・開発者の意識に、社外技術を
取り込んで活用するという選択肢を意識的に繰り返し摺り込む
必要がある。
• 説得力を持った人が、社内の各層に対し、具体的な根拠を示し
て社外技術導入のメリットを説いてまわる、などの徹底した認
知・啓蒙活動が重要。
4 成功事例の社内共有 • 成功体験が無いと、現場は自ら実践してみようという気持ちに
なりにくい。
• 自社内で成功事例があっても、社内共有化を進めなければ、活
動関係者以外には自然には広がらない。
オープンイノベーション活動推進体制の確立
重視すべき事項 実現のための方策
体制 • 社外組織との協働には、研究開発、マーケティ
ング、知財、法務などの様々な分野が関わる。
• 外部組織や社内の他部署との調整には判断事
項が多い。
• 混成チームの編成。
• 活動の責任者の明確化。
スキル • 技術の理解、ビジネスの理解、交渉力が必要。
• 一方的に要望を伝えるのではなく、相手の立場
や期待値を理解し、Win-Winの関係を築く力が
必要。
• 技術とビジネスの両方の視点、経験を
持っている人材の配置。
• 交渉経験の蓄積。
• 専門のサポート部隊の設置。
担当者の資質 • 目標達成に対する意識の高さ。
• 様々な技術に興味を持つ視野の広さ、柔軟な
発想力。
<適切な担当者の選定>
• 期限までに結果を出すことに対して、強い意識
をもっている人。
• 外部を使ってでも開発スピードをあげることに
価値を見出す人。
• 外部との連携にも積極的な人。
• 市場ニーズに敏感な人。
• 自分の専門外の分野にも、敏感に反応する人。
• 視野が広く、好奇心旺盛な人。
オープンイノベーション推進での留意事項
1 リソース/予算 社外アイデア・技術を導入するために利用可能なリソースはあるか?
2 プロセス 社外アイデア・技術を導入するプロセスはあるか?
3 組織 社外アイデア・技術導入に関し、特別に担当者を設けているか?
4 活動評価 社外のアイデア・技術の導入を評価基準の1つとしているか?
5 スキル 社外アイデア・技術導入のプロジェクトリーダー、担当者はどの程度のス
キルを持っているか?
6 機能強化 人材のスキルアップのために取り組まれている活動はあるか?
オープンイノベーション推進での留意事項(1/6) <リソース/予算>
社外アイデア・技術を導入するために利用可能なリソースはあるか?
 社外技術導入を推進するリーダーやグループは
存在する。
 但し、全社横断的な影響力は弱い、トップダウン的
なリーダーはいないなどの問題点が存在する。
 推進部門が予算を確保しており、社外技術の探索
とサンプル評価の費用は負担することにしている。
 その後にかかる費用は、技術テーマ担当部署が随
時対応して負担。
社外技術導入を推進するリーダーやグループは存在するか?
社外技術導入のための予算を確保しているか?
 推進リーダーは存在するが、全社的な影響力が小さい点が課題
 社外技術導入の費用は予算化されておらず、探索費用を推進部門が負担する
オープンイノベーション推進での留意事項(2/6) <プロセス>
6
社外アイデア・技術を導入するプロセスはあるか?
 技術補完、コア技術拡大、将来のコア技術の導入、
等の観点で、開発計画に組み込むよう試みている。
 コア技術は自社で対応。社内検討で対応できない
周辺技術での活用例が多い。
 開発計画策定前に検討。主に技術補完という観点
での協業が主体。
 課題解決へのハードルが高いテーマ、弊社が強いコ
ア技術を有し製品化を加速したいテーマなどで、社
外技術獲得を進めている。
研究開発
商品開発
オープンイノベーション推進での留意事項(3/6) <組織>
7
社外アイデア・技術導入に関し、特別に担当者を設けているか?
 特許を含む知財状況の確認、NDAや共同開発に
伴う契約案件の発生等への対応として、知財部門
の担当者が関わる。それ以外の部門はケースバイ
ケースの案件が発生する可能性はあるが、特別に
担当を設けてはいない。
 専任とまではいかなくても、外部技術導入案件に
ついては、各分野の専門家が参画する。
 産学連携とVC活用については専任者あり。社外
技術導入の具体検討段階では、法務、経理、財務、
人事等の専門職を交えて議論。但し、専門職は専
任者ではない。
 固定の担当者は設けていない。必要に応じて必要
な人を取り込む。
オープンイノベーション推進での留意事項(4/6) <活動評価>
社外のアイデア・技術の導入を評価基準の1つとしているか?
 取り込んだ技術からの成果は評価の対象となっているが、取り込むこと自体は評価
の対象とはされていない。
 社外技術導入は手段であって目的ではないため、
評価基準は設けていない。プロジェクト毎に状況に
合わせて最適な開発手法(自社開発、産学連携、
ベンチャリング、買収など)を選択し、成果を最大化
する。
 技術を社外に求めるか社内に求めるかではなく、
最終的なアウトプットが重要。
 部門(部)の方針として、開発スピードの向上の手
段として、外部技術導入は肯定的に捉えている。
但し、NDA件数、共同研究件数などの数値目標は
なく、評価基準にも含まれていない。
オープンイノベーション推進での留意事項(5/6) <スキル>
社外アイデア・技術導入のプロジェクトリーダー、担当者はどの程度のスキルを持っているか?
 リーダー、担当者ともに社外アイデア・技術導入のプロセスで自ら外部の組織に対応
できる人は限られる。
オープンイノベーション推進での留意事項(6/6) <機能強化>
人材のスキルアップのために取り組まれている活動はあるか?
 社外技術導入について全社的な説明会(約15回、
管理職相当約400名の参加)を開催。
 社外技術導入の事例については、共有化を図りた
いが、なかなか共有システムを構築できない。
 研究活動の一環で論文発表、学会参加を奨励して
おり、それらの件数を人評価の評価項目としている
 学会調査、研究機関訪問など技術探索が主軸で、社外アイデア・技術導入に対する
スキルアップ活動は少ない。
オープンイノベーション活動
Philips社の事例
Philips社の活動サマリ
• 全社横断的な推進リーダーが存在し、経営陣からの強力なバックアップを得ている。
• 社外技術導入時に予算が問題になることはない。
• 社外技術導入の開発プロセスへの組み込みを進めている。このプロセスではプロジェクト
の計画を確定する前に社外技術導入の適用可能性を検討する。特に商品の差別化要
素(重要課題)において社外技術導入を積極的に適用している。
• 社外技術導入は部門横断的な活動であり、IP、法務、マーケティングなどの部門がフェー
ズに応じて参加する。
• 結果だけでなく鍵となる中間指標を設定し、テーマ選定の改善に利用している。
• 高いスキルを持ったマネージャーが既に十分に存在するが、OJTのトレーニングモジュール
を用意し、スキル向上活動を行っている。
変革を加速するための活動指針の設定
変革を加速するための推進体制
活動普及計画
活動の評価基準
担当者のモチベーションの向上:活動の表彰
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