巨大ネット掲示板「2ちゃんねる(2ch.net)」に対して、元管理人の西村博之氏(37)が11日、見た目が似ている「2ch.sc」を開設した。西村氏は自身が開設した2ちゃんねるが「レンタルサーバー会社によって乗っ取られた」と訴えており、今回の行動に出た。西村氏といえば過去に「僕が2ちゃんねるを捨てた理由」(扶桑社)などの著書があるが、現在は2ちゃんねるの権利を主張している。ネット専門家は「国税局と警察の介入を招きかねない」と騒動を分析している。
4月1日、西村氏は「昨今の2ちゃんねるの現状に関して」と題してコメントを発表した。
その中で、レンタルサーバー会社が2ちゃんねるを乗っ取ったと指摘した上で「2ちゃんねるの諸権利は、西村博之ないしパケットモンスター社に帰属するもの」と明言。発表文からはレンタルサーバー会社と金銭でモメていることがうかがえる。
西村氏が始めた「2ch.sc」は、見た目は現行の2ちゃんねるにそっくりというか、ほぼコピーだ。西村氏の「そんなわけで、ベータテスト中です。システムを一から作ったり、手直ししたりで、十分にテストはできてないので、壊れたり、荒れたりすると思いますが、ネットのサービスってそんなもんなんで、まあ、気にせずお楽しみください」とのコメントが掲載されている。
ネットユーザーが利用する分には今のところ不都合はないようだ。しかし、管理人を辞めていたはずの西村氏が2ちゃんねるの権利を主張しているのは何とも不思議だ。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「西村氏は2009年にパケットモンスター社に権利を譲渡していました。しかし昨年、この会社から広告収入を受け取っていたとして、約1億円の申告漏れを国税局から指摘されたばかり。その後、どうなっているのかと気にしていたら、今回の騒動です。2ちゃんの権利が西村氏にあるなら、譲渡とは何だったんでしょうか」と首をかしげる。
単なるお家騒動では終わらない可能性もある。これまで警察当局は規制薬物の広告、預貯金口座や携帯電話の譲渡、児童ポルノやわいせつ図画の公然陳列など、2ちゃんねるが犯罪の温床になっているとして、運営実態の解明に努めてきたが、できないでいたからだ。また、国税局の関心も高いとみられる。
「今後は国税や警察が動くでしょう。09年以降、誰が2ちゃんねるを管理して、誰が儲けていたのか。これをきっかけに初めて運営実態がはっきりするかもしれない」(井上氏)
今回のトラブルで、西村氏の相手となっているのはレンタルサーバー会社のジム・ワトキンス氏だ。
「西村氏とジム氏はかなり以前からのビジネスパートナーという認識です。それがなぜこんなに対立しているのか。カネでモメたとしても、よっぽどのことです。また、西村氏が急に権利を主張しだしたのも“らしく”ない。彼はスマートなやり方をする人なのに、ガチンコでけんかしてる」(同)
一体、どちらの2ちゃんねるが残るのか。「国税と警察が介入すれば、2ちゃんねるそのものがなくなってしまうことになりかねません」と井上氏。どちらもピンチになりそうな雲行きだ。
警察、国税動く!2ちゃんねるに国家権力介入へ
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