Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

エノコログサ属とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > エノコログサ属の意味・解説 

エノコログサ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/12 02:05 UTC 版)

エノコログサ属
Setaria viridis
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
階級なし : ツユクサ類 Commelinids
: イネ目 Poales
: イネ科 Poaceae
亜科 : キビ亜科 Panicoideae
: キビ連 Paniceae
: エノコログサ属 Setaria

本文参照

エノコログサ属 Setaria は、イネ科植物の一群で、丸っこい小穂をつけ、花序の枝先が芒状に尖る。エノコログサアワを含む。

特徴

一年草または多年草で葉は扁平、種によって縦皺が入る[1]花序円錐花序であり、主軸から出た横枝に複数の小穂を並べる形をとる。またその枝が多く針状の突起に変形する。小穂は卵形で先端が丸く、内部には小花を一つだけ含む。第一穎から第三穎までは膜質で小穂より小さく、特に第一穎はごく小さい。革質の第四穎が果実を包む。小穂の下部からは多数の針状突起を出す。

この円錐花序の側枝が長いものはまばらに広がった円錐形の穂をつける。イヌアワなどはこれに当たる。だが、多くのものでは側枝はごく短くまとまり、それらの間も狭くなっているため、全体の形が密集した円柱形となる。結果として、円錐花序の構造は見えにくく、密集した小穂の間から伸び出した針が一面に出て、時に瓶洗いのブラシのような外観になる。

小穂の構造

エノコログサの小穂は、果実が熟すると、一個の種子(実際には果実)を鱗片が包んだものに見える。小穂の中には花は1つしかない。しかし、本来は2つの小花があるべきもので、そのうち1つが退化したものと解釈されている。

穂の軸から出る、短い柄の先に、普通は1個の小穂がつく。第一包穎は背が低くて横長で、表側の基部を包む。第二包穎は第三穎と共向き合って小花を包んでいる。その内側には護穎と内穎に包まれた花がある。本来は、第三は消失した小花の護穎であったもので、小花の消失とともに内穎もなくなったものである。

分布

世界の暖地を中心に100種が知られる。

利害

もっとも有名なものはアワである。中国の黄河流域が発祥と言われ、五穀の一つとされる。これはエノコログサを原種とする[2]。日本ではエノコログサ類は普通な雑草である。

日本の種

エノコログサ属学名Setaria)の特徴は、先に述べたような小穂円錐花序につけるものである。また、小穂のつく枝に刺状の突起をもつ。世界に約100が知られる。日本にある同属の種は7種ばかりある。

エノコログサ Setaria viridis P. Beauv.
アワ Setaria italica Beauv.
エノコログサ最大の変異である。別種として扱われているが、エノコログサを元に作り出されたものと考えられている。エノコログサに比べると、高さは1mを越え、花序の長さは20cmにもなる。また、熟しても果実が簡単にはこぼれず、これは収穫をたやすくしている。かつては日本でも広く栽培された。
オオエノコロ Setariapycnocoma (Steud.) Henrard ex Nakai
アワとエノコログサとの雑種。エノコログサに似るが、穂が一回り大きく、また、エノコログサでは穂の軸の枝に小穂が一つずつつくのに対して、その枝に複数の小穂がついて、円錐花序になる点が異なる。畑地に時折見かけられる。
アキノエノコログサ Setaria faberi Herrm.
エノコログサに最もよく似ているが、やや毛が多く、穂が細長くて垂れることなどが外見上の相違点である。小穂を見れば、エノコログサでは第二穎が小穂の長さと同じで、小花が隠れるのに対して、この種では第二穎が短く、小花が半分顔を出す。そのため、この両者は別種とされている。
ザラツキエノコログサ Setaria. verticillata (L.) Beauv.
穂の剛毛に細かい逆棘があって、さわると非常にざらつくのが特徴である。群生しているところでは、穂が互いに絡み合っているのが見られる。
キンエノコロ Setaria pumila (Poir.) Roem. & Schult.
やや細い穂を出す。穂は長さ3-10cmで直立し、茎や葉には毛がない。穂からでるブラシ状の毛が金色をしているのが名前の由来である。北半球温帯に広く分布し、日本でもほとんど全土に普通に見られる。
コツブキンエノコロ Setaria pallide-fusca (Schumch.) Stapf et C. E. Hubb.
キンエノコロに似て、小穂が一回り小さい。北半球の温帯に広く分布し、日本でもほとんど全土に普通に見られる。
イヌアワ Setaria chondrachne (Steud.) Honda
日本の本州から九州の木陰にはえる多年草で、夏から秋にかけてまばらな円錐花序をつける。
ササキビ Setaria palmifolia (Koenig) Stapf
木陰にはえる多年草で、葉が幅広く、多数の縦じわがあって、ちょっとシュロの葉を思わせる。九州以南にあり、広くアジアの熱帯域に分布する。やはりまばらな円錐花序をつける。

出典

  1. ^ 記載は主として佐竹他(1999)p.100
  2. ^ 許田(1997),p.283

参考文献

  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物 草本I 単子葉植物 新装版』(1999) 平凡社
  • 許田倉園、「アワ」、『朝日百科 植物の世界』10〈朝日百科〉、1997年,p.283-284

「エノコログサ属」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「エノコログサ属」の関連用語

エノコログサ属のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



エノコログサ属のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのエノコログサ属 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS