コミュニケーションの様式の男女差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 15:09 UTC 版)
「コミュニケーション」の記事における「コミュニケーションの様式の男女差」の解説
Deborah Tannen(デボラ・タネン)教授は、コミュニケーションの様式における男女の違いを以下のように説明した。Tannenは、男性が他の男性と多様な状況で関与するのに対して、女性は他の女性と協調的に関与すると考えた。例えば、 男性は公的な状況で話す傾向がある。女性は私的な状況で話す傾向がある。 女性は対面して視線を合わせながら話すことが多い。男性は視線をそらして話すことが多い。 男性は、話題から話題へと飛び移るが、女性は一つの話題にある程度の時間をかける。 人の話を聞く時に、女性は「うん」とか「そうね」などと声を出しながら聞くことが多いが、男性は黙って聞くことが多い。 女性は、賛同と支持を表現することが多いが、男性は、論議することが多い。 などを挙げている。 しかしこの主張は、性別に根拠を置いて一般論とするには無理があり、個人差や文化的背景が大きな要因となりえるともいえる。 その一方で、男性も女性も一般的には同じ方法でコミュニケーションを行っているという研究結果もある。Suzette Haden Elginらは「タネン教授の研究は、ある特定の文化の、ある特定の経済的状況の女性にだけ当てはまる」と批判し、女性は男性よりずっと多くの単語を話すと一般的に信じられているが、それは事実ではないと説いた。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}しかし、文化人類学者や民族学者らの研究調査で、特に色に関して、確かに女性が男性よりもずっと多くの表現を持っていて、互いにそれを使うとの観察結果がなされている。[要出典][誰によって?] 実際、コミュニケーションにおいて性別による何らかの違いや特性があることを否定することはできない。Julia T. Wood 教授は、男性文化と女性文化の違いが、コミュニケーションにどのような影響を与えているかを説明している。二つの文化の違いは、子ども時代から始まっている。Maltz と Broker の研究 は、子どもたちの遊びは、子どもを社会化して、男性文化と女性文化を取り込ませる働きがあると述べている。 例えば、女の子のままごとは、個人的な人間関係を発展させるが、決められたルールや目標は無い。これに対して、男の子は、異なった目標や戦略を持つ競争的なチーム・スポーツをすることが多い。こうした子ども時代の差は、女性のコミュニケーションの方式とルールを女の子に学ばせる機会となる。女性のコミュニケーションの方式は、男性のものとはかなり異なっていると述べている。 西洋のコミュニケーションの方式が、アジア文化の中で行われているとは限らないのと同じように、男性のコミュニケーションの方式が、女性の文化の中で行われているとは限らない。逆も同じである。Wood 教授は、男性も女性も、どのようにすれば異性とうまくコミュニケーションができるかを説明して、次の6つの提言を行っている。 相手に対して善悪の評価を下すのは止めよう。異性に対する会話がうまく行かないときに、何が起きているかを理解せず、どうすれば相互理解が得られるかを把握せずに、相手を悪く言うことは止めなければならない。 異なるコミュニケーションの方式に対しても、それが正当であることを認めよう。女性は人間関係や感情を大切にしているが、それは競争を行う男性のコミュニケーションの方式を尊重する意思が無いことを示しているのではない。同様に、男性は仕事の結果を重視しているが、それは他の人への思いやりを示す女性のコミュニケーションの方式を尊重する意思が無いことを示しているのではない。Wood 教授は、異性間のコミュニケーションにおいては、男性であれ女性であれ、どちらか片方だけの方式を採用するのは不適当であると述べている。男性と女性が、それぞれ異なる目標と、異なる優先順位と、異なる基準を持っていることを、全ての人は認めなければならない。 相手が翻訳する手がかりを与えよう。前項の提言に従えば、あなたは、男性と女性が異なったコミュニケーションの方式を身に付けていることを理解できるであろう。さらにあなたは、自分が伝えたい事を、相手が翻訳するのを助けることを思いつくであろう。これは、非常に重要なことである。なぜなら、自分の性文化に無いコミュニケーションの方式を、助け無しで自動的には理解できないからである。 翻訳の手がかりを探そう。異性間の相互交流は、翻訳の手がかりを探して正しく反応することにより、改善させることができる。相互交流を建設的に改善させると、異なる文化に属する人からの反応を改善させることができる。 自分のコミュニケーションの技術を発展させよう。相手のコミュニケーションの方式を学ぶことによって、相手の文化について知ることができるだけでなく、自分の文化についても知ることができる。オープンに学んで成長して、相手の文化で大切にされていることを取り込むことによって、自分のコミュニケーションの技術を改善させることができる。 Wood 教授によれば、男性は、どうすれば友人を支援できるかについて、女性文化から多くを学ぶことができる。同様に女性は、どうすれば何かをしながら親しくなれるかについて、男性文化から多くを学ぶことができる。 Wood 教授は、6番目の提言として「相手に対して善悪の評価を下すのは止めよう」と繰り返している。これは、特に重要な提言である。なぜなら、評価を下すことは、「他者を評価し、我々自身の立場を擁護する」という西洋文化の一部であるからである。性文化は、相手の性文化を評価し、自分の性文化を擁護するのに忙しくて、効果的な異性間のコミュニケーションを行っていない。異なる文化の間で、効果的なコミュニケーションを行う際には、相手を善悪で評価をしないことは、最初で最後の重要な原則である。
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