ビエーノール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/13 09:57 UTC 版)
ビエーノール(古希: Βιήνωρ, Biēnōr)あるいはビアノール(古希: Βιάνωρ, Bianōr)は、ギリシア神話に登場する人物あるいはケンタウロスである。長音を省略してビエノル、ビアノルとも表記される。主に、
が知られている。以下に説明する。
ケンタウロスの1人
このビエーノールは、ラピテース族の王ペイリトオスとヒッポダメイアの結婚式で、酩酊して暴れたケンタウロスの1人。ビアノールは背丈の高いケンタウロスで、背中に誰も乗せたことはなかった。しかし結婚式の混乱の中でアテーナイ王テーセウスはビアノールの背中に跳び乗って、両脚で肋骨を締め上げ、左手でたてがみをつかむと、背後から棍棒でビアノールのこめかみを打ち砕いた[1]。
ピュルノスの子
このビエーノールは、小アジアのミューシア地方の都市キュージコスの戦士である。ピュルノスの子。アルゴナウタイとの戦いで戦死した[2]。
マントーの子
このビエーノールは、予言者テイレシアースの娘あるいはヘーラクレースの娘マントーと河神ティベリスの子。別名オクノス。母マントーは父親の死後にイタリアに移住し、ビエーノールを生んだ。ビエーノールはマントヴァを創建し、都市の名前を母にちなんで名づけた[3]。
トロイアの戦士
このビエーノールは、トロイア戦争で戦ったトロイアの戦士である。ホメーロスの叙事詩『イーリアス』の3日目の戦いで、アガメムノーンによって部下のオイレウス、プリアモスの2子イーソスとアンティポス、アンティマコスの2子ペイサンドロスとヒッポロコスらとともに討たれた[4]。
脚注
- ^ オウィディウス『変身物語』12巻345行–349行。
- ^ “ウァレリウス・フラックス、3巻112行”. Theoi. 2022年7月29日閲覧。
- ^ “セルウィウス『アエネーイス注解』10巻198行-200行”. Perseus Digital Library. 2022年7月29日閲覧。
- ^ 『イーリアス』11巻84行-162行。
参考文献
- ビエーノールのページへのリンク