よぼう‐いがく〔ヨバウ‐〕【予防医学】
予防医学(ヨボウイガク)
予防医学
1929年英国の細菌学者フレミングは、感染症に対する治療医学の有力な手段となったアンチバイオティクス(抗生物質)を発見しました。そのころ日本の医学者代田稔は、病気にかかってから治療するのではなく、病気にかからないための「予防」が重要であると考え(予防医学)、腸内の感染菌や腐敗菌などの悪い菌を制する乳酸菌シロタ株を発見し、プロバイオティクスのパイオニアとなりました。
予防医学は、1953年米国の医学者レベルとクラークにより「病気を予防し、生命を延長し、身体ならびに精神の健康と能力を増進する科学と技術である」と定義され、健康増進・発病予防は一次予防、早期発見・早期治療は二次予防、機能維持・回復は三次予防と呼ばれています。
21世紀に入ると、感染症に代わって生活習慣病が人類を脅かし始め、生活習慣を改善することにより疾病の発症や進行を予防する一次予防が重要な社会的課題となり、代田が予見し提唱した予防医学の時代が到来しました。
予防医学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/28 19:07 UTC 版)
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予防医学(よぼういがく、英語: preventive medicine)とは、健康障害の予防及び健康異常の進展の防止のすべての段階を含む医学[1]。
具体的には、疾病の発生・経過・分布・消長とそれに影響をおよぼす原因を研究し、疾病の予防を行うことや、病気になりにくい心身の健康増進を図るための学問で、狭義には、「病気になってしまってからそれを治すことより、病気になりにくい心身を作る。病気を予防し、健康を維持する」という考え方に基づく医学をいう[2]。
予防医学の構造
予防医学は、構造上、健康異常の出現の有無により一次予防と二次予防、疾病がいわゆる完成に至っているか否かにより二次予防と三次予防に分けられる[1]。
一次予防
健康異常が出現する前段階の活動で、健康増進活動(健康相談、食生活改善、栄養改善)とリスク削減活動(予防接種、禁煙対策など)に分けられる[1]。産業保健分野では作業条件や労働環境の改善が一次予防に当たる[1]。
一次予防の有効性を評価する指標が罹患率で、健康障害の一次予防による阻止によって罹患率は低下する[1]。
なお、個々のリスク因子ではなく、適切な食料品の流通、運動の症例など社会や集団での健康に対する価値観を改めることで、リスク因子がその社会や集団で広まらないようにすることを0次予防(primordial prevention)として前段階に置くことがある[3][4]。
二次予防
健康異常の出現から疾病としての完成までの段階での活動で、早期発見・早期治療により疾病の進行を抑えることをいう[3]。
二次予防の有効性を評価する指標としては死亡率の低下や生存率の向上などがある[5]。
三次予防
発病した場合は治療に入るが、病気が軽度の場合は生活習慣を健康的なものにする指導が行われる。一方中等症〜重症になると、生活習慣の指導のみならず医薬品による治療やリハビリテーションなども施される。これらの疾病としての完成から社会復帰のための機能回復保持までの段階での活動のことを指す。[5]。
出典
- 日野原重明「1.人間ドック」『日本内科学会雑誌』第91巻第11号、2002年、3147-3149頁、doi:10.2169/naika.91.3147。
- 中原一彦「早期診断と予防医学に対する臨床検査の役割」『日本内科学会雑誌』第94巻第12号、2005年、2459-2461頁、doi:10.2169/naika.94.2459。
脚注
- ^ a b c d e 岡崎勲、豊嶋英明、小林廉毅 編『標準公衆衛生・社会医学(第2版)』医学書院、2009年、76頁。
- ^ 日野原重明、「人間ドックの刷新を目指しての提言」『健康医学』 1989年 3巻 2号 p.5-10, doi:10.11320/ningendock1986.3.2_5, 日本人間ドック学会
- ^ a b 岡崎勲、豊嶋英明、小林廉毅 編『標準公衆衛生・社会医学(第2版)』医学書院、2009年、76-77頁。
- ^ 生活習慣病"0次予防"の為の戦略的アプローチ 研究代表者 神田知、科学研究費助成事業 2003年、研究課題/領域番号:15700451
- ^ a b c 岡崎勲、豊嶋英明、小林廉毅 編『標準公衆衛生・社会医学(第2版)』医学書院、2009年、77頁。
関連項目
外部リンク
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