光路
光路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/25 01:07 UTC 版)
1. 光源 ハロゲンランプやタングステンランプが用いられる。かつては反射鏡を用い、太陽の間接光などを利用した。この段階では発生した光はあらゆる方向に振動している自然光である。 2. 偏光子(ポラライザ) 光源からの光を直線偏光とするために偏光板が配置される。この偏光板を「ポラライザ」・「下方ポーラー」などと呼ぶこともある。 偏光板はかつてウィリアム・ニコル (William Nicol) が開発したニコルプリズム (Nicol prism) が使用されていた。これは方解石(三方晶系の炭酸カルシウム結晶)の透明度が高い単結晶を特定の面に切り出し、2枚を張り合わせたものである。これは高価かつ材料の確保も困難であったため、のちにヨウ素を添加したポリビニルアルコール樹脂などを一方向に引っ張りながら整形して製造した「偏光フィルム」などが登場した。これは比較的安価であり、教材として使用される安価なものなどでは10cm角程度のものが数百円で購入できる。このフィルムは外力によって容易に変形してしまうため、偏光子として用いる場合には光学ガラス板でサンドイッチ状に挟みこむなどして安定した状態に整形されている(偏光#偏光を作り出す光学素子に詳細な記述がある)。 3. コンデンサーレンズ 通常の光学顕微鏡のものと基本的な構造は一緒である。ただし、光路からの出し入れが可能な構造となっている。コノスコープ観察(後述)を行う場合にのみ用いる。 4. ステージ 光路の芯を中心に回転できる構造となっている。また、回転角を測定するための目盛りが振られている。試料は観察する部分を光路の芯に位置するように配置する。このため試料用のメカニカルステージがついていることがある。 5. 対物レンズ 基本的な構造・原理は通常の光学顕微鏡のものと共通であるが、観察する偏光を乱さないために配慮が行われる。ガラスは歪みを加えると偏光特性が変化するため、レンズの固定はレンズ材にストレスがかからないように考慮して行われている。レンズ素材も偏光特性の影響がないものが選定される。対物レンズのマウントは、試料の回転軸と視野の中心を一致させることができるよう芯出し機構が取り付けられている。 6. 検板スリット 観察補助のための検板(コンペンセータ)を入れるためのスリットである。鋭敏色板・1/4波長板・くさび形水晶板などを光路に挿入するために装備されている。 7. 検光子(アナライザ) 偏光子の偏光振動面と90°になる角度で配置できる偏光板である。この偏光板を「アナライザ」・「上方ポーラー」などと呼ぶこともある。検光板は光路からの抜き差しが可能な構造となっている。 8. ベルトランレンズ 対物レンズの射出瞳ができる位置に取り付けられた凸レンズである。射出瞳を直接観察する場合(コノスコープ観察)にのみ使用されるため、光路からの抜き差しが可能な構造となっている。 9. 接眼レンズ 基本的には通常の光学顕微鏡用のものと共通である。ただし、対物レンズの芯出し用に十字レティクルの入ったものを用いることがある。
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