内容物の保存状態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 16:48 UTC 版)
内容物の保存状態にまつわる問題は少なくない。しかし、これらの多くは開封時まで気付かれないことも多い。 タイムカプセルを未来の所定の期日まで開封することなく確実に破損の無いそのままの状態で保管しようと本格的に保存処理をするならば、実際には温度や湿度を管理・検査するための様々な設備や、これら設備を稼働させる電力が必要である。埋設後も相応の維持費用や専門的な技術者による定期的なメンテナンスが必要になり、それを誰が負担しまた開封まで負担し続けることを確実に保証できるのかという問題も生じてくる。実際、封緘して埋設後は数十年間放置されただけで、管理と一口に言っても実際には公園や庭園などの片隅で簡素な目印程度のものが置かれただけという経緯を辿ったタイムカプセルでは、少なからぬケースで開封後の確認時に地下水や地面に浸透した雨水の侵入、タイムカプセル設計時の熱容量への配慮不足による排熱の失敗などが要因となって内容品の破損・汚損が発覚している。 例えば米国・オクラホマ州タルサ市で将来的なオクラホマ州合衆国加入100周年記念行事の一環として、加入50年目の1957年に設置された「核攻撃にも耐える」堅牢な地下室構造のタイムカプセルが建設され、当時の人気自動車プリムス・ベルヴェデアの他、これの燃料として50年後の石油資源の枯渇やガソリン車の衰退の可能性も考慮しガソリンの缶詰、更には「女性のカバンの中身」という趣向から化粧品、そしてビールなども納められ、華々しい式典が行われる中、埋設された。これは50年後の2007年、同州の合衆国加入100周年記念式典にあわせて開封されるものとされ、当時募集された「2007年のタルサ市の人口を当てるクイズ」の最近似値の回答者本人ないし子孫などの血縁者に開封時に贈られるという企画になっていたが、いざ実際に2007年に地下室から取り出された自動車は原型こそ保たれていたが往時の見る影もなく鉄屑も同然に赤錆びており、タイヤの空気が完全に抜け、動作するとは到底考えられない朽ち果てた状態に劣化しており、修復が試みられたが断念される有様であった。これは地下室に人間などが入れない様に封印はされていたが気密性が低く、長い年月の間に徐々に地下水が地下室に染み込んでゆき、これが原因で腐食してしまったものであった。 「プリムス・ベルヴェデア#オクラホマ州のタイムカプセル」も参照 開封後に、紙や各種金属製品にまつわる酸化による劣化に伴う状態不良が判明することも多く、究極的には地球上にごくありふれた酸素でさえ、長期保存を行うタイムカプセルの内容物にとっては重大な脅威である。収蔵品の中には、埋設当時アスベスト等の化学物質を原料としたものもあり、保存途中で生体への有害が指摘され生産が禁止されたものも含まれている。
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