四天王図鎗金扉
主名称: | 四天王図鎗金扉 |
指定番号: | 2530 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1990.06.29(平成2.06.29) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 工芸品 |
ト書: | 平江管勝造の黒漆印銘がある |
員数: | 2枚 |
時代区分: | 北宋~元 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 黒漆地の表には四天王像を(多聞天欠)、朱漆地の裏には上部に蓮華を挿した花瓶【けびよう】を、共に鎗金(=沈金【ちんきん】、刻線内に金箔を押し込めて文様を表す技法)で描いた両開きの扉である。 仏法の守護神たる四天王像と、仏の供養具である花瓶を表していることや、仏堂用の扉としては小さいことから、おそらくは仏像か経典類を納めた大形厨子の扉であったと考えられる。 扉表の四天王像は、その服飾・持物からラマ教系図像に基づいたものと考えられ、したがって右下の欠失面には、右手に幢【どう】、左手に鼬【いたち】(マングース)を持った多聞天が描かれていたことが推察される。ただその威厳に満ちた比較的穏やかな表情はかなり中国化された表現となっている。裏面の花瓶の形体や、そこに表された双鳳文は元代独特のもので、その作期を物語っている。 なお花瓶の下に黒漆印銘「平江管勝造」とあるが、平江とは北宋から元代における蘇州の古名であり、その製作地、および作者が明らかである。 厨子の態様は詳らかでないが、特に四天王像は鎗金として他に類例のない流麗な刻線による威風みなぎる優れた描写力を示している。また製作地、作者が明らかな稀少な元代鎗金の遺例であり、かつラマ教の影響を受けた四天王図像の一例としても貴重である。(写真次ページ) |
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