Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

求核付加とは? わかりやすく解説

求核付加反応

(求核付加 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/09 02:08 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

有機化学において 求核付加反応(きゅうかくふかはんのう、Nucleophilic addition)とは、付加反応の一つで、化合物求核剤が付加することによってπ結合が解裂し、新たに2つの共有結合が生成する反応である[1]

求核付加反応を行う化合物は以下のような多重結合を持つものに限定される。

炭素-ヘテロ原子への付加

カルボニル基ニトリルのような炭素-ヘテロ原子多重結合への求核剤の付加は変化に富んでいる。それらの結合は2原子間の電気陰性度の差によって炭素側が正に帯電する。この炭素が求核剤の主なターゲットとなる。

YH + R1R2C=O → YR1R2C-O- + H+ → YR1R2C-OH

このタイプの反応を 1,2-求核付加 (1,2-nucleophilic addition) と呼ぶ。この求核攻撃における立体化学は、両方のアルキル基が異なりかつキレートルイス酸のような制御剤を使用しない限り、ラセミ体の生成物を与える。付加反応に続いて脱離反応がともなう場合があり、求核アシル置換反応付加脱離反応はその例である。

カルボニル基

カルボニル基への求核付加反応には以下のようなものがある。

ニトリル

ニトリルへの求核付加反応には以下のようなものがある。

イミン、他

イミンへの求核付加反応には以下のようなものがある。

その他

求核剤がカルボニル中心に攻撃する特定の角度のことをBürgi-Dunitz angleと呼ぶ。

炭素-炭素二重結合への付加

反応の駆動力となるのは、電子不足な不飽和系(-C=C-)と求核剤 Y- による共有結合の形成である。Y- 上の陰電荷は炭素-炭素結合に移動する。

段階1)

ステップ2では陰電荷を帯びたカルバニオンと正電荷を帯びた Z+ とが結合して 2番目の共有結合が形成する。

段階2)

普通のアルケンは求核攻撃の影響を受けにくい。

スチレントルエン中でナトリウムと反応し、カルバニオン中間体を経て1,3-ジフェニルプロパンを形成する[2]

他の例外にはバレントラップ反応がある。また、フラーレンは反応性のある不飽和二重結合を持ち、ビンゲル反応のように多くの反応を受ける。

Xがカルボニル基またはカルボキシル基またはシアノ基のときの反応は共役付加反応と呼ぶ。置換基Xはその誘起効果によって炭素原子上の陰電荷を安定化する。

Y-Zが活性水素化合物のときの反応はマイケル付加である。

ペルフルオロアルケンは付加反応を起こしやすい。例えば、フッ化セシウムフッ化銀(I)由来のフッ化物イオンはペルフルオロアルケンに付加してペルフルオロアルキルアニオンを与える。

脚注

  1. ^ March Jerry; (1885). Advanced Organic Chemistry reactions, mechanisms and structure (3rd ed.). New York: John Wiley & Sons, inc. ISBN 0-471-85472-7
  2. ^ Sodium-catalyzed Side Chain Aralkylation of Alkylbenzenes with Styrene Herman Pines, Dieter Wunderlich J. Am. Chem. Soc.; 1958; 80(22)6001-6004.

関連項目


求核付加

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/29 23:13 UTC 版)

二硫化炭素」の記事における「求核付加」の解説

第一級および第二級アミン付加によりジチオカルバミン酸(英語版アンモニウム生じる。 2 R 2 NH   + CS 2 ⟶   R 2 NH 2 + R 2 NCS 2 − {\displaystyle {\ce {2R2NH\ +CS2->\ R2NH2^{+}R2NCS2^{-}}}} 同様にアルコキシドからキサントゲン酸塩生じる。この反応ビスコースレーヨンセロファンなどの再生セルロース製造基本となっている。またヨードメタン反応させてメチルキサンテートとすることでシュガエフ脱離やバートン・マクコンビー脱酸素化(英語版)の基質とすることができる。 RONa   + CS 2 ⟶   ROCS 2 Na {\displaystyle {\ce {RONa\ +CS2->\ ROCS_{2}Na}}} 硫化ナトリウム付加によりトリチオ炭酸ナトリウム英語版)を生じる。 Na 2 S   + CS 2 ⟶   Na 2 CS 3 {\displaystyle {\ce {Na2S\ +CS2->\ Na2CS3}}}

※この「求核付加」の解説は、「二硫化炭素」の解説の一部です。
「求核付加」を含む「二硫化炭素」の記事については、「二硫化炭素」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「求核付加」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「求核付加」の関連用語

求核付加のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



求核付加のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの求核付加反応 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの二硫化炭素 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS