組成・構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 06:03 UTC 版)
不規則網目構造説と微結晶説 ガラスの構造については2つの説があり、現在でも論争がある。不規則網目構造説では原子配列が結晶のように規則的でなく、不規則になっているという説である。この説はZachariasenによって提唱され、Warren、Sunを始め多数のガラス研究者によって支持され、現在に至っている。それに対し微結晶説は、ガラスは大きさ20Å以下の微結晶から成るとする説である。この説はRandallによって提唱され、Porai-Koshitsによって修正されたもので、ガラスの中で微結晶は非晶質のマトリックスによって繋がれているというものである。 ガラス形成無機物の分類 ガラスの原料は、多くの場合は酸化物であるか高温で酸化物となるものである。 Rawsonによれば、無機物質は以下の3つに分類できる。 単独でガラス化するもの(Conventional Glass Former, CGF)。例:SiO2,B2O3,P2O5,GeO2,BeF2,As2S3,SiSe2,GeS2 単独でのガラス化は困難であるが多成分とすることによりガラス化するもの(Non-conventional Glass Former, NCGF)。例:TiO2,TeO2,Al2O3,Bi2O3,V2O5,Sb2O5,PbO,CuO,ZrF4,AlF3,InF3,ZnCl2,ZnBr2 まったくガラス化しないもの(Modifier, MOD)。例:Li2O,Na2O,K2O,MgO,BaO,CaO,SrO,LiCl,BaCl,BaF2,LaF3 ガラスとアモルファスはほぼ同義のものとして捉えてよい場合が多いが、ガラス転移点が明確に存在しない場合をアモルファスと定義するような場合(分野)もある。ガラス転移とは主緩和の緩和時間が100s〜1000sの温度で起こる。 ガラスと同じ構造、すなわちガラス化する物質は珍しくない。ヒ素やイオウなどは単体でガラス化する。酸化物ではホウ酸 (B2O5)、リン酸 (P2O5) などが二酸化ケイ素の代わりに骨格となってガラスを形成する。ホウ酸塩ガラスは工業的に重要である。例えばパイレックスガラスは重量比で12%のホウ酸を含む。 Zachariasen則 詳細は「Zachariasen則」を参照 Zachariasenはガラスを形成するために満たすべき条件を提案した。
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