Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

茶湯一会集とは? わかりやすく解説

茶湯一会集

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/30 05:46 UTC 版)

茶湯一会集』(ちゃのゆいちえしゅう)は、江戸時代末期の茶書。彦根藩主の井伊直弼(茶号:宗観)が著した。

概要

井伊直弼が31歳の頃に書きはじめられ、約15年にわたる加筆訂正を経て、安政5年(1858年)前後に清書本が完成した[1]。原本は彦根市の井伊家にあり、草稿と清書本の2本が伝来している。

内容は、近世後期の遊芸化した茶の湯に「一期一会」「独座観念」という独自の概念を提唱し、千利休の時代に立ち返ろうとする視点で書かれたものである[1]。本文の冒頭では「一期一会」の思想を掲げ、「本日の出会いは、再び同じ出会いではないと考え、主人は全てのことに、気を配り、客も亭主の趣向を何一つおろそかにせず、心に留めて、双方が誠意をもって交わるべきである」と主張している。激動の幕末にあって、静寂の極致のような茶室での心を、時の為政者である直弼が残していることは興味深く、後世における本書の魅力となっている[2]

なお、「一期一会」の言葉は『山上宗二記』に既出の言葉であり[1]、「独座観念」も大口樵翁『交会平点規範』に既出の言葉である[1]。ただし、この2つの言葉は草稿の時点では書かれておらず、清書本ではじめて見える言葉であり、直弼の思索がうかがわれる[1]

校訂本

  • 『入門記・茶湯一会集・茶湯をりをり草』井伊正弘・倉沢行洋校訂解題
    灯影撰書.7:灯影舎、1988年
  • 『茶湯一会集・閑夜茶話』 戸田勝久注解、岩波文庫、2010年10月
  • 『日本の茶書 2』に所収、林屋辰三郎・横井清・楢林忠男編注
    平凡社東洋文庫、初版1972年、2007年にワイド版。

出典

  1. ^ a b c d e 林屋辰三郎、横井清、楢林忠男 編注『日本の茶書2 東洋文庫206』平凡社、1972年3月、298-300頁。 
  2. ^ 矢部誠一郎編 「茶湯一会集」『古典の辞典 精髄を読む・第十四巻(江戸)』 監修・暉峻康隆他、河出書房新社、1987年。




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「茶湯一会集」の関連用語

茶湯一会集のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



茶湯一会集のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの茶湯一会集 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS