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負圧とは? わかりやすく解説

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負圧

【別称】負圧式
圧力は高いところから低いところへ移動しようとする性質がある。たとえば、ピストン下方向移動している場合は、燃焼室気圧が下がることになる。その状態で吸気バルブ開きキャブレター生成され混合気が負圧により燃焼室内に流入する。この現象により、エンジン燃焼するサイクル成り立つ。
関連用語エアクリーナーボックス キャブレター

真空

(負圧 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/23 01:10 UTC 版)

真空(しんくう、: vacuum)は、通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態[1]

また物理学における概念として、古典論における絶対真空量子論における真空状態を指す場合にも用いられることがある。

真空を物理学の古典論における絶対真空でいう物質が存在しない空間のように思われることがあるが、微視的ではない大きさの空間で物質が存在しない状態の実現は不可能である。(物理学の古典論における絶対真空を参照)

真空を実証するポンプ

各分野における真空の語義

一般利用での真空

日本産業規格 (JIS)では「通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態」とされている。

真空の状態は真空ポンプを用いて容器内部の気体を排気することで得ることができる。 真空度は対象の空間に存在する気体原子・分子が外壁に及ぼす圧力で表される。単位はTorr(トル)が用いられてきたが、国際単位系への統一に伴いPa(パスカル)に移行しつつある。1 atm=1.01325×105 Pa=760 Torrである。 真空度は言葉のイメージと表現が逆になるので注意が必要である(例:真空度が高い(高いレベルの真空度である)=圧力が低い)。

一般的な圧力と同じくゲージ圧と絶対真空度があり、それぞれ所謂ゲージ圧絶対圧に対応している。丁度摂氏温度(℃)と絶対温度(K)のように、大気圧を0Paとしてそこからの変位量を示したものがゲージ圧。絶対真空を0Paとしてそこからの積算を示したものが絶対真空度である。

但しゲージ圧真空度の場合、所謂ゲージ圧として真空状態を「ゲージ圧−100kPa」のように負の値で表す場合と、別の単位として扱って「ゲージ圧真空度100kPa」のように正の値で表す場合、更に「ゲージ圧真空度−100kPa」のように表す場合があるので、仕様確認時に絶対真空度かどうかと合わせて確認する必要がある。尚、絶対真空度の場合は「1.33×10-7kPa(abs)」のように注記が入ることがある。

ISOにおける真空の領域の区分

ISO 3529-1では真空を圧力領域により次のように区分している。

領域 英語名 圧力範囲 地球大気での同等の気圧の地点の地上からの距離
低真空 Low Vacuum 100 kPa~100 Pa 地上~約60 km
中真空 Medium Vacuum 100 Pa~0.1 Pa 約60 km~約90 km
高真空 High Vacuum 0.1 Pa~10−5 Pa 約90 km~約250 km
超高真空 Ultra-high Vacuum 10−5 Pa以下 約250 km~

尚この超高真空より真空度の高い領域(主に10−8または10−9 Pa以下)として極高真空 (Extreme High Vacuum、XHV) という用語も使用されることがあるが、ISOでは定められていない。

物理学の概念としての真空

古典論における絶対真空

古典論において、真空は物質が存在せず・圧力が 0 の仮想的状態、「何も無い状態」である。 絶対真空ともいう。

これは概念的なものであり、実際に実現可能なものではない。

絶対真空とは空間中に原子・分子が一つも存在しない状態を表すが、具体的な方法で実現可能な真空状態(本稿で言う一般利用の真空状態)には物質が存在し圧力が観測される。 例えば地球の表面上の圧力(1気圧)= 100 kPaの条件の下では1 cm3中の気体分子は0 ℃時で2.69×1019[注釈 1]存在する。 真空の実現とはその膨大な量の原子・分子を減らしていく過程であるが、人為的に作り出せる真空状態の限界は10−11 Pa程度である。この圧力下でも1 cm3に数千個の気体分子が存在する。 宇宙空間においても空間中に物質が何も存在しないわけではなく気体原子・分子は存在し、さらに外宇宙と呼ばれる銀河と銀河の間でも気体原子・分子は存在するとされている。

量子論における真空状態

量子論における真空は、決して「何もない」状態ではない。例えば常に電子陽電子仮想粒子としての対生成対消滅が起きている。[2]

ポール・ディラックは、真空を負エネルギーを持つ電子がぎっしりと詰まった状態(ディラックの海)と考えていたが[3]、後の物理学者により、この概念(空孔理論)は拡張、解釈の見直しが行われている。

現在の場の量子論では、真空とは、十分な低温状態下を仮定した場合に、その物理系の最低エネルギー状態として定義される。粒子が存在して運動していると、そのエネルギーが余計にあるわけであるから、それは最低エネルギー状態でない。よって十分な低温状態下では粒子はひとつもない状態が真空である。ただし、場の期待値はゼロでない値を持ちうる。それを真空期待値という。たとえば、ヒッグス場がゼロでない値をもっていることが、電子に質量のあることの原因となっている。

真空に関する歴史

真空の存在については古代ギリシア時代から、論争が繰り広げられてきた。紀元前5~4世紀、レウキッポスデモクリトス原子論は、自然を構成する分割不可能な最小単位「原子(アトム)」が「空虚(ケノン)」 の中で運動しているとした。一方、アリストテレスは、空間には必ず何らかの物質が充満しているとして、空虚の存在を認めなかった(自然は真空を嫌う英語版[注釈 2]。これに対して、アリストテレスの学派のストラトンは、空気を圧縮する実験によって、原子の距離を縮め得る余地(すなわち原子が存在しない空間=真空)の存在を主張した。

この議論に決着がついたのは17世紀に入ってからであった。1643年エヴァンジェリスタ・トリチェリは、一方の端が閉じたガラス管に水銀を満たし、このガラス管を立てると、水銀柱は約76cmとなり、それより上の部分が真空になっていることを発見した。[注釈 3]また、オットー・フォン・ゲーリケ1657年、ブロンズ製の半球を2つ合わせて中空の球にして、内部の空気を抜いて真空にするという実験を行った。この2つの半球はぴったりとくっ付き、16頭の馬で引っ張ることでようやく外すことができた。この実験はマクデブルクの半球として知られている。これらは真空の発見であると同時に、気圧の発見でもあった。何も存在しない以上、その空間が何らかの吸引力を発揮するわけがなく、周囲の空間からの圧力を想定しないわけにはいかないからである。

真空が一般化していくのは18世紀に入ってからである。この時期様々な真空ポンプが開発され、蒸気機関や、排水ポンプ、紡績機械などの動力に利用されるようになった。19世紀に入ると白熱電球や、真空管などが開発されることで一般に「真空」という名称が広がっていくことになる。またそれらの開発、製造のためのより高性能の真空ポンプの開発が進むようになった。

20世紀に入ると電球、真空管の進歩や、真空中における技術の発展により、粒子加速器電子顕微鏡など真空を利用した機器の発達、また電子イオンに関係する新たな知識、技術が生まれていった。一方で食品や鉄鋼などの産業に真空が利用されるようになると真空ポンプや真空計真空部品などが産業化され発展していった。日常生活では、空気を完全に抜いた真空パックや真空による氷の昇華を利用したフリーズドライという手法が広く実用化された。

特に1953年にB-Aゲージが開発されると今まで測定できなかった超高真空が測定可能となり、超高真空に対応した真空ポンプや真空部品が発展していくことになる。

現代における代表的真空利用は電子工業用途である。この分野の発展により真空関連産業は急速に発展し、今では多くの産業を支える基盤産業として貢献している。

真空の実現方法

大気中にある容器内を真空にするために各種の真空ポンプを使用する。

10−1 Pa程度の真空は、ロータリーポンプで手軽に得ることができる。真空デシケーター等ではこの程度の真空で十分である。

スパッタ等の真空成膜装置ではプラズマ発生時に他の気体が残留するのを防ぐため、10−5 Pa程度の真空度が求められる。このような場合、真空用材料で製作された真空チャンバーと銅ガスケットを用い、ターボ分子ポンプ(TMP)で排気することにより達成できる。

分子線エピタキシー(MBE)電子顕微鏡粒子加速器等、10−9 Pa台の真空が求められる場合は、達成に更に多くの工程が必要となる。真空チャンバーをターボ分子ポンプ (TMP) で高真空状態にした後、真空チャンバー全体を加熱(ベーキング)して、チャンバ内壁に付着した気体分子を排除する必要がある。排気は大排気量のターボ分子ポンプ (TMP) のみでも可能であるが、多くの場合はイオンポンプゲッターポンプが用いられる。MBE用の真空チャンバーでは、チャンバー内で蒸着を行うため、チャンバーの壁面に液体窒素シュラウドを設け、壁面を冷却することで内部に残留した気体分子を固着させ、真空度を上げる手法も用いられている。容積 V を排気速度 S のポンプで排気したときの圧力 p = p0exp(−St/V) となる。ただし t = 0 で p = p0 とする。また、コンダクタンス C1 のパイプの長さを m 倍にすると、コンダクタンスは C1/m になる。

真空の計測方法

真空の度合いの計測は、空間中に存在する原子・分子によって気体分子運動論的に生じる圧力を測定する方法による。 真空を初めて測定したのは1643年、トリチェリが発明した水銀気圧計による。現在までに多くの真空計が発明されてきたが、現在では大気圧からおよそ16桁に及ぶ広い範囲を測定することができるようになっている。これらの真空計は測定原理から大きく2つに分けることができる。一つは測定領域に接している固体表面に対して気体分子が及ぼす力を直接計る絶対圧計測型、もう一つは気体分子の密度に依存して変化する物理量(熱や電流)を測定し圧力に換算する分子密度型である。

真空内での気体の性質

気体の分子密度

気体は非常に数多くの分子からなっており、0 ℃、1気圧の空気であれば1 cm3中に含まれる気体分子の数は2.69×1019個である。温度が一定なら単位体積当たりの気体分子の数は圧力に比例する。一般的に静止衛星軌道程度の高度(100,000 km)であれば空気はまったく無いと思われがちであるが、この高度でも圧力は存在(10−13 Pa程度)し1 cm3の空間に数十個の気体分子が存在している。

マクスウェルの速度分布

気体中で多くの分子がばらばらの速度で無秩序に飛び回っている。これを統計的に見ると定常状態ではある一定の分布を示す。これはマクスウェルの速度分布則と呼ばれる。

平均自由行程

真空中では1気圧の気体と違い圧力領域により気体の振る舞いが変わってくる。気体とは1気圧中では連続流体として扱われるが、厳密には勝手に飛び回る分子の集まりである。分子は小さいながらも大きさを持っているので、移動中に他分子と衝突する。衝突することで方向と速度を変え、再び別の分子に衝突する。この衝突から衝突までの距離の平均を平均自由行程(mean free path)という。

平均自由行程は気体分子の直径を D、分子密度を n とすると Dn に比例する。

目安として空気の平均自由行程は室温、10−1 Pa、で約5 cmである。

衝突頻度

容器の表面に衝突する気体分子の数はそこに存在する気体分子の密度と分子の熱運動の平均速度に比例する。これらは分子流領域での真空排気や薄膜形成時には非常に重要な数値となる。

圧力

気体が存在すると気体分子同士が運動により動き回り、それらの衝突により当たった対象に気体分子の重さに応じた衝撃が加わる。気体中に壁があっても同様であり、気体分子は常に壁に衝突し、その衝撃により壁に力が加わる。その力を単位面積で割った力が圧力である。

JISにおいては 「空間内のある点を含む仮想の微小平面を両側の方向から通過する分子によって、単位面積当たり、単位時間に輸送される運動量の面に垂直な成分の総和。空間内に定常的な気体の流れがあるときは、流れの方向に対して面の傾きを規定する。」 となっている。

真空では圧力の単位は国際単位系でPa(パスカル)で表されるが、トリチェリによる真空の発見の功績にちなむ Torr(トル)は昔から使用されており、古い書籍や昔ながらの真空技術者は今でも使用している。

真空排気された真空チャンバーは内側の分子量が減って外側からの力が大きくなるため常に外側から差分の圧力を受けることになる。ほとんどの真空装置では100 Pa以下に排気されるため、事実上1気圧の力を受けることになる。

コンダクタンス

真空装置では真空チャンバーと真空ポンプを繋ぐ配管が必要になる。この配管は真空排気する場合には抵抗として排気速度を遅らせる要因となる。この配管による抵抗の逆数をコンダクタンスという。したがって、コンダクタンスは気体の流れやすさを表す。

コンダクタンスは圧力の違う容器(それぞれの圧力を

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