ぜ‐じょう〔‐ジヤウ〕【▽軟障】
読み方:ぜじょう
《「ぜんじょう」の撥音の無表記》宮中の行事の際の装飾を兼ねた障屏用の幕。柱の間、御簾(みす)の内側にかけた。ふつう、絹地の表面に唐絵や大和絵を描き、周囲に紫の綾(あや)の縁を巡らし、乳(ち)に綱を通して取り付ける。ぜぞう。
ぜん‐じょう〔‐ジヤウ〕【▽軟障】
読み方:ぜんじょう
「ぜじょう(軟障)」に同じ。
軟障
読み方:ゼジョウ(zejou), ゼンジョウ(zenjou)
奈良時代から平安時代の帳の一種。
軟障
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/17 02:09 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動軟障(ぜじょう・ぜんじょう[1])は、日本の邸宅や宮殿で用いられた垂れ布を使った仕切り。装飾性の高い壁代の一種で、簾の内側に掛けて目隠しにしたり、部屋と部屋の間の間仕切り代わりとして使用した。白い生絹6幅を横につなげ、唐絵で背の高い松や四季の木々を描いたり、物語の一場面など優雅な風景を描いた。高松を用いたものを特に「高松軟障」といった。裏地には白練の絹をつけ、上下左右に紫の綾(裏は紫練絹)で広い縁をつけ、更に紐を通すための輪(乳・耳)を付ける。吊る時には縁と同質の綾を畳んで紐として用いる。
12世紀後半に記された『雅亮装束抄』には軟障にえがく唐絵のこと、室内にひくひきかた等について次のように記載されている。
高松の軟障を懸く。東三条にありしは、嵯峨野に狩せし少将をぞかかれたりし。これをたつる事稀の事也。……母屋三方に御簾を懸けておろしたる上に、軟障とて幔の様なる絹に、高き松を本体にて、四季の木どもを画きたり。是等四季の絵を画きたれば、春を東に始めて引くべし。母屋の御簾の帽額の下の際に押当てて引くべし、もと紐を幔の様に付けて綱を具したれども、綱しては引くべからず。綱の緒は、御簾と軟障との中に押隠して、縁の中にこはしの板を入れて帽額の下の際に押当てて、柱にとぢつけたるがよきなり、たけ短くて、下の簾がむなかへり、御簾二つがいきあひをば、はなつきに人のするなり、その儀わろし。一へりを引重ねて引くべし。但、間も広くて軟障は狭くば、ちがへることかなはじ、はなつきにすべし。
脚注
- ^ ゼンは漢音。ゼジョウはゼンジョウのンが発音されないもの。
参考文献
- 高田倭男「軟障」『日本大百科全書』小学館、1984年
外部リンク
- 東京国立博物館『類爽雑要抄指図巻』巻1下(江戸時代書写)、軟障を吊した室礼の図。
- >> 「軟障」を含む用語の索引
- 軟障のページへのリンク