SPARC64
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 13:59 UTC 版)
SPARC64TMは、HALコンピュータシステムならびに富士通が開発したプロセッサファミリであり、SPARCシリーズのハイエンドのプロセッサとなっている。 SPARC64 Vは富士通のPRIMEPOWERサーバシリーズで、SPARC64 VIおよびSPARC64 VIIは同社とサン・マイクロシステムズのSPARC Enterprise M3000からM9000に使用された。 富士通のメインフレーム用プロセッサと同じ開発者が設計・開発しているため、メインフレーム用プロセッサのRAS(信頼性、可用性、保守性)技術をすべて継承している。キャッシュメモリ、演算器、レジスタ等、どの回路でエラーが発生しても必ず検出できるよう、ECC、パリティで保護している。エラーが発生すると、ECC、ハードウェア命令リトライにより訂正を行う。 万一、訂正不可能なエラーが発生しても、正常なコア、キャッシュメモリだけで動作し続けることができる。プロセッサの動作を記録する機能も持ち、エラー発生時の原因特定に役立つ。 また、スーパースケーラ、アウト・オブ・オーダー実行、ノンブロッキングキャッシュ制御、ハードウェア・プリフェッチ等の高速化技術を採用している。 SPARC64 VIおよびSPARC64 VIIでは、マルチコア・マルチスレッド対応がなされている。 2009年に発表されたSPARC64 VIIIfxはHPC向け製品である。2-Way SMTからシングルスレッドになったが、コア数は4コアから8コアに増えた。また、メモリーコントローラがプロセッサに統合され、新規に開発されたHPC向け命令拡張「HPC-ACE (High Performance Computing - Arithmetic Computational Extensions)」が実装され、レジスタ本数が増加し、SIMD命令が強化された。 SPARC64 VIIIfxは、2011年6月、同年11月と2期連続でTOP500リスト首位を獲得したスーパーコンピュータの「京」に採用されている。 2011年に発表されたSPARC64 IXfxはSPARC64 VIIIfxと同じくHPC向け製品である。クロック周波数が2GHzから1.848GHzに低下したものの、コア数は8コアから16コアに倍増し、メモリ帯域も64GB/sから85GB/sと向上している。 SPARC64 IXfxは、富士通のスーパーコンピュータPRIMEHPC FX10(2011年11月7日に販売開始、2012年1月より出荷)に採用されている。 SPARC64 Xは、UNIXサーバ向けプロセッサとして初めてHPC-ACEを実装し、富士通のUNIXサーバSPARC M10(2013年4月10日提供開始)に採用された。 SPARC64 X+は、富士通のUNIXサーバSPARC M10(2014年4月8日提供開始)に採用されている。SPARC64 Xのクロック周波数が3.0GHzであるのに対し、SPARC64 X+はそれを3.7GHzに向上させたうえで、暗号処理・十進浮動小数点数(IEEE 754形式とOracle NUMBER形式)・データベース処理をサポートする命令が追加された。また、従来不可能であったcall/returnを跨いだアウトオブオーダー処理を可能としている。
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