Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

TOPS-10とは? わかりやすく解説

TOPS-10

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/13 07:47 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
TOPS-10
開発者 DEC
プログラミング言語 MACRO-10英語版, BLISS
OSの系統 DEC OS ファミリ
開発状況 終了済み
最新安定版 7.04.[1] / 1988年7月
使用できる言語 英語
使用できる
プログラミング言語
APL, ALGOL, BASIC, BLISS, COBOL, FORTRAN, MACRO-10英語版
プラットフォーム PDP-10
既定のUI CUI
ライセンス プロプライエタリ 個人利用は無料
テンプレートを表示

TOPS-10は1967年にディジタル・イクイップメント・コーポレーション (DEC) がメインフレームPDP-10シリーズ向けにリリースした歴史上のオペレーティングシステム(OS)。TOPS-10を搭載したPDP-10システムは "DECsystem-10"と呼ばれた。"TOPS" は Timesharing / Total OPerating System の略。元々はPDP-6およびPDP-10の初期のOSだった "Monitor" が発展したもので、1970年にTOPS-10へ改名された。

概要

TOPS-10は共有メモリをサポートしており、世界で初めて真のマルチプレイヤーを実現したゲームの1つが開発された。DECWAR英語版[2]はテキストベースのスタートレックのようなゲームで、ユーザーは端末からコマンドを打ち込み、リアルタイムで対戦できた。またTOPS-10は今日ではMMORPGと呼ばれるオンラインロールプレイングゲームの先駆けであるMulti User Dungeon(MUD)のオリジナルを運用するのに用いられた。

他の特筆すべきアプリケーションとして FORUM がある。現在ではチャットと言われるユーザー同士の会話ができるアプリケーションであり、いわゆる「CBシミュレータ」の先駆けでだった。このアプリケーションは複数のユーザーによる対話の可能性を示したもので、CompuServeのチャットが開発される要因のひとつとなった。

TOPS-10のAPIは非常に頑強であり、UUO(Unimplemented User Operation; 未実装ユーザー命令)を利用した機構を使っている。UUOによりシステムコール機械語の命令の1つであるように実装された。このAPIはモニターコールと呼ばれ、当時としてはほとんどのOSより大きく進んでおり、DECsystem-10のシステムプログラミングを単純かつ強力なものにした。

TOPS-10はプライオリティが付いた複数のキューで構成されるスケジューラを備えており、多段フィードバックキューの原始的なもので、プライオリティに基づいてプロセスをキューに挿入できた。またこのOSではユーザーファイルとデバイスが独立していた。

コマンド

下記のリストはTOPS-10がサポートしているコマンドの一覧である[3]

  • ASSIGN
  • ATTACH
  • BACKSPACE
  • BACKUP
  • CCONTINUE
  • COMPILE
  • CONTINUE
  • COPY
  • CORE
  • CPUNCH
  • CREATE
  • CREDIR
  • CREF
  • CSTART
  • D(eposit)
  • DAYTIME
  • DCORE
  • DDT
  • DEASSIGN
  • DEBUG
  • DELETE
  • DETACH
  • DIRECTORY
  • DISABLE
  • DISMOUNT
  • DSK
  • DUMP
  • E(xamine)
  • EDIT
  • ENABLE
  • EOF
  • EXECUTE
  • FILCOM
  • FILE
  • FINISH
  • FUDGE
  • GET
  • GLOB
  • HALT
  • HELP
  • INITIA
  • JCONTINUE
  • KJOB
  • LABEL
  • LIST
  • LOAD
  • LOCATE
  • LOGIN
  • MAKE
  • MERGE
  • MIC
  • MOUNT
  • NETWORK
  • NODE
  • NSAVE
  • NSSAVE
  • OPSER
  • PJOB
  • PLEASE
  • PLOT
  • PRESERVE
  • PRINT
  • PROTECT
  • PUNCH
  • QUEUE
  • QUOLST
  • R
  • REASSIGN
  • REATTACH
  • REENTER
  • RENAME
  • RESOURCES
  • REWIND
  • RUN
  • SAVE
  • SSAVE
  • SCHED
  • SEND
  • SET
  • SKIP
  • START
  • SUBMIT
  • SYSTAT
  • TECO
  • TIME
  • TPUNCH
  • TYPE
  • UNLOAD
  • USESTAT
  • VERSION
  • WHERE
  • ZERO

歴史

リリース履歴

PDP-6のMonitorは1964年にリリースされた。1967年のリリース2.18でPDP-10のKA10プロセッサをサポートした。1970年のリリース5.01からTOPS-10に改称された。リリース6.01(1974年5月)で初めて仮想記憶デマンドページング)を実装し、物理メモリ容量より大きなプログラムを実行できるようになった。リリース7.00から対称型マルチプロセッシングが可能となった(それまではマスタースレーブ方式が使われていた)。最終版は1988年のリリース7.04である[1]

今日のTOPS-10

1996年、DECはTOPS-10を愛好家が使用することを許諾するホビースト向けライセンスを発行した[4]

今日TOPS-10を動作させる最も簡単な方法は、適当なエミュレータ[5][6]とOSのシステムイメージ[7]を利用する方法である。また、元もとの配布用磁気テープの内容がアーカイブされており、そこから構築することも可能である[8] [9]

ポール・アレンは歴史的コンピュータシステムを保守し公開しているが、その中にTOPS-10が動作する DECsystem-1090 も含まれる[10]

ソフトウェア

実装されたプログラミング言語

TOPS-10のアセンブラMACRO-10英語版がTOPS-10に同梱されていた。

以下のプログラミング言語製品がTOPS-10上で動作した。

  • ALGOL (ALGOL-10 v10B)[11] - 汎用コンパイラ
  • APL (APL-SF V2)[12] - 数学的モデリング用インタプリタ
  • BASIC (BASIC-10 v17F)[13] - 汎用インタプリタ
  • BLISS (BLISS-10[14], BLISS-36[15]) - システムプログラミング用コンパイラ
  • COBOL (COBOL-68[16], COBOL-74[17]) - 事務処理用コンパイラ
  • FORTRAN (FORTRAN-10 v11[18]) - 科学技術計算用コンパイラ

以下のプログラミング言語もTOPS-10上で実装されているが、DEC純正ではなくユーザーグループ DECUS英語版 の会員が提供したものである。

実装されたユーティリティ

以下のリストはTOPS-10で実装された主なユーティリティソフトである。

TOPS-10で実装された主なゲーム

影響

MS-DOSはTOPS-10から大きな影響を受けている。3文字のファイル拡張子、EXEやTXTといった主な拡張子名、アスタリスク(*)を用いたワイルドカード、コマンドのスイッチにスラッシュ(/)を用いるなど、数多くの共通点がみられる[19]

脚注

  1. ^ a b TOPS-10 Release History”. 2014年1月10日閲覧。
  2. ^ The Decwar Page
  3. ^ (pdf) TOPS-10 Operating System Commands Manual. Digital Equipment Corporation. (August 1980). http://scandocs.trailing-edge.com/tops10-aa-0916d-tb.pdf 2019年2月17日閲覧。 
  4. ^ Home hobbyist license for Digital's 36b software
  5. ^ The Computer History Simulation Project
  6. ^ KLH10 PDP-10 Emulator
  7. ^ TOPS-10 pre-built image
  8. ^ PDP-10 software archive
  9. ^ Notes on DEC PDP-10 Emulation
  10. ^ Living Computer Museum
  11. ^ DECsystem10/20 ALGOL Programmer's Guide, April 1977
  12. ^ APL-SF Language Manual, August 1979
  13. ^ DECsystem-10 BASIC Conversational Language Manual, March 1974
  14. ^ (pdf) BLISS-10 Programmer′s Reference Manual. Digital Equipment Corporation. (February 1974). http://bitsavers.org/pdf/dec/pdp10/TOPS10/DEC-10-LBRMA-A-D_BLISS-10_Programmers_Manual_Ver_4_Feb74.pdf 2019年2月17日閲覧。 
  15. ^ (pdf) BLISS Language Guide. Digital Equipment Corporation. (April 1983). http://bitsavers.org/pdf/dec/pdp10/TOPS10_softwareNotebooks/vol07/AA_H275C-TK_BLISS_Language_Guide_Apr83.pdf 2018年9月6日閲覧。 
  16. ^ (pdf) TOPS-10/TOPS-20 COBOL-68 Language Manual. Digital Equipment Corporation. (August 1981). http://bitsavers.org/pdf/dec/pdp10/TOPS10_softwareNotebooks/vol09/AA-5057B-TK_COBOL-68_Language_Manual_Aug81.pdf 2018年9月6日閲覧。 
  17. ^ (pdf) TOPS-10/TOPS-20 COBOL-74 Language Manual. Digital Equipment Corporation. (October 1985). http://bitsavers.org/pdf/dec/pdp10/TOPS10_softwareNotebooks/vol10/AA-5059B-TK_COBOL-74_Language_Manual_Oct85.pdf 2018年9月6日閲覧。 
  18. ^ (pdf) TOPS-10/TOPS-20 FORTRAN Language Manual. Digital Equipment Corporation. (May 1985). http://bitsavers.org/pdf/dec/pdp10/TOPS20/fortran/AA-N383B-TK_FORTRAN_Language_Manual_Ver_10_May85.pdf 2018年9月6日閲覧。 
  19. ^ Why Does Windows Really Use Backslash as Path Separator?”. 2019年5月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月25日閲覧。

関連項目





固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「TOPS-10」の関連用語

TOPS-10のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



TOPS-10のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのTOPS-10 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS