smARF
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/18 01:03 UTC 版)
近年まで、ARFはNPMとの相互作用による成長阻害とMdm2との相互作用によるアポトーシスの誘導という2つの影響を与えることが知られていた。現在では、小さなミトコンドリア型アイソフォームであるsmARFによる、p53非依存的な細胞死に関する機能が明らかにされている。全長型ARFは細胞周期の停止やアポトーシスによるタイプI細胞死によって細胞成長を阻害するのに対し、smARFはオートファジーによるタイプII細胞死を引き起こす。ARFと同様、smARFの発現は異常な増殖シグナルによって増加する。smARFは過剰発現するとミトコンドリアマトリックスに局在し、ミトコンドリアの膜電位や構造にダメージを与え、オートファジーによる細胞死を引き起こす。 ヒトとマウスの細胞では、この切り詰めれらたARFであるsmARFの翻訳はARF転写産物内部のメチオニン(M45)から開始される。smARFはラットでも検出されるが、ラットの転写産物にはこうした内部のメチオニンは存在しない。このことはsmARFを産生するための代替的機構が存在することを示唆しており、このアイソフォームの重要性が強調される。smARFの役割はARFとは異なり、核局在化シグナル(NLS)を欠いており、Mdm2ともNPMとも結合しない。しかし一部の細胞種では、全長型ARFもミトコンドリアに局在してタイプII細胞死を誘導しており、飢餓や他の環境応答としてのオートファジーに加えて、がん遺伝子の活性化に対する応答にも関与していることが示唆される。
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