《内容》
ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!
射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。
理系の人は面白いんだろうな。
かくいう文系の私も面白かったけれど、文章の美しさや表現を求める自分が読むには選択ミスとしか言いようがない。
けれど、好きな本ばかりでなくいろんなものを読んだ方がいいよ!と言われているので、よしとしよう。と思ったのでした。
真剣勝負×5
不思議なことなんですけど、語り手の私は最初男の子かな、と思っていた。何でだろう?って思いながら読み返したけど、なぜか女の子っぽさを感じない。あれ?森博嗣の書く女の子ってどんな感じだっけ?と思いました。(理系の代表森博嗣)
”ちょうちょの羽ばたきが怖いんですよ”。頭の中に、真兎が佐分利会長と戦ったときの一言がよみがえる。”そういう重いの苦手だから”。《愚煙試合》の決戦前、真兎は私たちの運命を背負うことに乗り気じゃなかった。”人生はなかったことにできないじゃん”。かるた部を助けた七月の放課後も、真兎は不機嫌にそう言っていた。
主人公が、風変わりな友人・射守矢真兎《いもりやまと》について語る。真兎には何かをかけた真剣勝負のゲームが舞い込み続ける。
発端は文化祭の出展場所、屋上をかけて、生徒会の三年生・椚《くぬぎ》と対戦した表題の「地雷グリコ」から。誰もが知ってるぐーりーこ!ちよこれいと!ぱいなつぷる!の三つで階段を上がっていくやつだ。
だけど、これは違う。最初に地雷を仕掛けられるのだ。その階段を踏んだ人は……
不思議だなぁ、と思うのはこれらのゲームが説明されたルールではなく、説明されなかった部分を突くところ。
つまり、語られた言葉から、語られなかった言葉を探すゲームなんですね。
だけどこれって審判の良心や美学がなければ成り立たないのよね。
だから登場人物全員善人かつ頭がいい。