想起率の高さと売り上げは密接に結びついている。では、競合に圧倒的な第一想起ブランドが存在する場合、2位以下の企業はどうすればよいのだろうか。トライバルメディアハウス 代表取締役社長の池田紀行氏は、特定のセグメントで想起されるブランドを目指すべきだと説く。本記事では業界2位以下のブランドが、想起されるにはどうしたらよいか解説する。
筆者担当の前回の記事「リードはナーチャリングできない? BtoBマーケこそ第一想起を狙え」に予想を超える反響がありました。今回はその続編として「想起」について、「カテゴリーエントリーポイント(以下、CEPs)」を基に解説します。
▼関連記事 マクドナルドの強さの秘密 「カテゴリーエントリーポイント(CEPs)」にあり- 購入率が最も高いのは第一想起ブランド
- 第一想起はニーズによって入れ替わる
- 「想起」にまつわる3つのポイント
- 2位以下のブランドは「枝」を取る視点が重要
- 狙うべきカテゴリーやニーズの定め方
- 第一想起は人によっても異なる
- 想起集合に入れない場合は価格競争に
今回、取り上げる上の記事はCEPsに焦点を当てた連載です。CEPsへの注目が高まるにつれ、少しずつ次の認識が広がってきました。
- 認知されているだけでは購入につながらない
- 買ってもらうためには、まずは「選択肢」に入らなければならない
- 選択肢に入るためには、想起集合※に入る必要がある※想起集合(Evoked Set):ニーズが顕在化したときに、脳内で純粋想起される好意的な選択肢の集合体。どのカテゴリーもおおむね3つ以下しか入っていない
- 想起集合に入るためには純粋想起される必要がある(一般的な指標として使われている認知、助成想起だけでは不十分)
- なるべく上位で想起された方が売り上げにつながる
購入率が最も高いのは第一想起ブランド
筆者が経営するトライバルメディアハウス(東京・中央)ではSNSマーケティングの支援を手掛けています。SNSマーケティングというと、「公式アカウントのファンやフォロワーを増やす」「いいね!やリポストを伸ばしてエンゲージメントを向上させる」「表示回数や動画再生回数を伸ばす」「バズらせて話題化させる」といった印象が強いと思いますが、それらは手段であって目的ではありません。
SNSマーケティングの有効性は、公式アカウントでの日常的な接触、UGC(ユーザー生成コンテンツ)、バズなどを通して「商品・ブランドの想起や再想起が促進されること」。これが真の目的です。
2022年に当社が行った想起集合に関する調査から、注目すべきデータをご紹介します。以下の図は「掃除機」「ドライヤー」「デジタル一眼レフカメラ」の想起順位別の購入率です。
BtoC(消費者向け)でもBtoB(企業向け)でも、購入を検討する選択肢はおおむね3つ程度ですから、企業やブランドは想起集合に入らなければ検討すらしてもらえません。
一方、想起集合に入って“予選”を通過したとしても、買ってもらえるのは第一想起ブランドが圧倒的に有利なことが分かります。想起集合が「ニーズ顕在時に脳内で純粋想起される『好意的な』選択肢の集合体」なのですから、当然といえば当然です。
しかし、ここで多くのマーケターが頭を抱えます。「うちの業界には圧倒的なガリバーがいて第一想起ポジションなんて取れるわけがない」「業界上位は有名企業がひしめいていて想起集合にすら入れない」と絶望するのです。
ですが、安心してください、第一想起は1つだけではありません。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。