
グループで行くテント泊登山のリアル。しんどさも失敗も絶景も、みんなで分かち合った2泊3日|グループ登山でステップアップ【実践編】
<THE NORTH FACE>がステップアップを目指す登山者を応援する企画。今回のテーマは「グループ登山」。第3回の実践編では南アルプスは白峰三山でテント泊山行へ。
スムーズかと思いきや、失敗やトラブルが発生!仲間でどう対応した?2泊3日でグループ登山の魅力や注意点を存分に学んできました!
目次
グループ登山でステップアップ企画。いよいよ、実践!
複数の人と一緒に登る「グループ登山」には、単独行とは違った魅力や注意点があります。
うまくいけば何倍も楽しく安全な山行になる一方で、コツや注意点を知らないと、仲間割れしたり、最悪の場合は遭難してしまったりすることも……。
今回のステップアップチャレンジでは、「グループ登山」をテーマに、2泊3日のテント泊縦走を企画。第1回の「計画編」、第2回の「準備編」に続いて、今回はいよいよ「実践編」です!
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今回のグループ登山チャレンジに参加するメンバー。
左から、
・YAMA HACK編集長の大迫倫太郎
・YAMA HACK編集部の杉浦愛実
・読者代表の吾妻梨花さん
・THE NORTH FACEマーケティングの鰐渕航さん
そして、計画や準備をサポートしていただいた登山ガイドの渡辺佐智さんに、実際の山行にも同行して見守っていただきます!
さあ、目的地へ!と思ったら、いきなり試練が!
今回計画していたのは、2泊3日で飯豊山に登るルート。
準備万端で、あとは出発地に向かうだけ! ……と思いきや、出発3日前の夜に東北で豪雨災害が発生し、帰りのルートが通れないことが判明。
メンバー全員で相談した結果、急遽行き先を変更することに。前泊地に集合後、ルートのポイントや注意点などを再度確認しました。
新たなコースは「日本一高い縦走路」を歩ける白峰三山に
もともと計画していた飯豊山と同等のグレーディング(7C)の縦走路であること、そしてメンバー全員のアクセスのしやすさも考えて、新たなルートは「白峰三山(しらねさんざん)」に決定!
白峰三山とは、南アルプス北部から中部にかけて続く北岳、間ノ岳、農鳥岳の三座のこと。特に、日本で2番目に標高の高い北岳(3,193m)と3番目に高い間ノ岳(3,190m)の間は「日本一高い縦走路」として人気です。
最高点の標高: 3171 m
最低点の標高: 826 m
累積標高(上り): 2481 m
累積標高(下り): -3196 m
1日目は甲府駅からバスで広河原の登山口に向かい、急坂をひたすら登って、北岳山頂手前の「北岳肩の小屋」に宿泊。
2日目は北岳〜間ノ岳〜農鳥岳と縦走して、大門沢下降点から「大門沢小屋」まで標高差約1,200mを一気に下ります。大門沢小屋に宿泊。
3日目は奈良田まで下山すれば、魅力的な温泉が待っています。
【渡辺ガイドからのポイント】
前泊時に荷物分担を相談
甲府駅近くでの前泊時に、共同装備と共有の食材を持ち寄って、荷物を分担します。
今回の共同装備はテント4張、バーナー2つ、クッカー2つ、ガスカートリッジ、おたま、水筒。計画段階ではテントを2人ずつで共有する予定でしたが、時勢を考慮して、1人1張に変更しました。
夕食の食材も分担して持ちます
食事係の大迫が用意した共有の食材も、分担して持ちます。
といっても、朝食・昼食と、夕食の炭水化物は各自で用意することにしたため、共有するのは2日目と3日目の夕食の主菜のみ。
主菜は鍋一つで簡単に作れて、ごはんの進むメニューということで、鶏だしの塩鍋と、麻婆春雨になりました。
軽量化のため、鍋の具材は乾燥野菜を用意。吾妻さんイチオシの麻婆春雨は、軽いうえに手軽に作れて、ごはんにもよく合いそう。

スタート前に天気や危険箇所、水場を確認する!
4時35分に甲府駅前をバスで出発し、約2時間で広河原に到着。歩き始める前に、みんなで地図を見ながら、今日歩くコースのポイントや危険箇所、水場などを確認します。
水を汲み、トイレを済ませて、装備の準備を整えたら、いよいよ出発です!
役割分担を決めていました
「グループがまとまるためには役割分担が大事」との渡辺ガイドの助言のもと、第1回「計画編」でメンバーの役割分担を決めていました。
鰐渕さん:副リーダー
吾妻さん:リーダー
渡辺ガイド:気象・医療係
杉浦:記録係
大迫:会計・食事係
役割の内容は以下。みんなで分担することでそれぞれが責任を持って登山に臨みます。
役割分担をおさらいし、登山スタート!
【1日目】広河原より登山開始
1日目は、広河原から樹林帯を登って白根御池小屋を通り、「草スベリ」と呼ばれる草原状の急斜面を標高差500m直登。
その後は展望のよい尾根を歩けば、北岳肩の小屋に到着です。
歩き出しから30分はゆっくり。少し休憩して体調や装備の確認を
リーダーの吾妻さんを先頭に、歩き始めます。メンバーのペースがわからないのと、まだ体が山歩きに慣れていないので、最初はゆっくりめのペースで。
休憩はいつ、どれぐらいとる?
30分ほど歩いたら、一度短めの休憩をとって、メンバーの体調や装備、歩くペースなどを確認します。それ以降は、疲れていなくても1時間に1回程度は休憩を。
仲間としゃべっているとつい休憩が長くなりがちですが、長く休みすぎると逆に歩き出すときに体が重くなります。
小休憩は5〜10分、長いときでも20分程度にしましょう。休憩を始めるときに、リーダーは何分休憩かをみんなに伝えるのが大切。

【渡辺ガイドからのポイント】
メンバーの体調に異変が……!?
2時間ほど歩いたころ、杉浦が少し前傾気味になったり、バックパックのショルダーハーネスを持ったりし始めました。
歩き方のちょっとした異変に気づいた鰐渕さんが「おすぎ」こと、杉浦に声をかけます。



次の休憩時に、経験値の高い鰐渕さんや大迫、渡辺ガイドと一緒に、パッキングとバックパックのフィッティングを調整。
水を持ちすぎていたので少し減らし、杉浦の水筒は大迫のバックパックのドリンクホルダーに入れてもらって、自分で取る形にしました。


登山中、おしゃべりするのが楽?
白峰小池小屋を出ると、この日の核心部である草スベリにさしかかります。ここから約2時間半は急な登りが続きます。


第2回の「準備編」で、「いっぱいいっぱいの人は無口になりがちなので、ケアが必要かもしれない」という渡辺ガイドの話がありました。
それでは、山行中はおしゃべりしたほうがいいのでしょうか。


小太郎尾根分岐を過ぎて小太郎山(2枚目写真奥)を背に進みます。この日の宿泊地、北岳肩の小屋はもうすぐそこ!