前巻感想はこちら↓
読書感想:男女比1:5の世界でも普通に生きられると思った? (2) ~激重感情な彼女たちが無自覚男子に翻弄されたら~ - 読樹庵
さて、やっぱりこの世界においては無防備に過ぎる将人なのだが。彼の問題と言うのは無防備、なだけではなくその鈍感ぶりもあげられるであろう。周りの女性達の好意に無自覚、そこまで重くも捉えていないくせに、どんどんフラグを立てていく訳で。そんな彼が自分以外の女と仲良くしていればやきもきしたり嫉妬したり、というのは当たり前であるのかもしれない。
自分以外を見ないで欲しい、それこそは当たり前の想い。煮詰められるばかりの想いはいずれ重力を放ちだすことは当たり前。最早止められぬ、と言わんばかりに動き出していくのが今巻なのだ。
「ごめんなさい、ちょっと、今日の星良さん怖い、です」
前巻の最後、星良より誘われたアフター。だがその目と言葉に恐怖、を感じてしまい思わず拒絶してしまい。星良は踏み込み過ぎた事と自分の中の醜悪さを実感し、思わず距離を取ろうとする。
「だから、ちゃんと伝える」
それは星良のヒロインダービーからの脱落か。否、そうはならぬ。自分の言動を反省した将人は先輩からアドバイスを貰い。黒い思いに突き動かされていた星良と雨の日に偶々遭遇し。自分の偽らざる気持ちを伝え、彼女の笑顔を引き出して見せる。
「―――大好きよ、将人」
完全に闇に堕ちきる前に踏みとどまって、また最初から。今度こそは真っ直ぐな思いで、動き出す星良。
「私達で、将人の彼女になろうよ」
それと呼応して、という訳ではないが他のヒロイン達もそれぞれに動き出す。恋海とみずほとの三人での旅行、その中でみずほは運命の人の真実に気付き。恋海からの提案で二人で共有するという方向を決め。
「耳の構造どうなってんだおんどれは!」
オタク趣味がバレてしまった汐里は、彼の首筋に残る紅い跡に何故か言い知れぬ興奮を感じる、という新たな扉を開け始め。
「こんなえっちな姿を見せて私を挑発するから・・・・・・!」
そして、一番の年下ながら一番の肉食性を持つ由佳はもう容赦しない。二人で出かけた夏祭り、不意にはだけた将人の浴衣に獣性を目覚めさせ。将人をこれでもかと蹂躙していく。
最早止まらぬヒロインダービー、止まらぬ思いがそれぞれに煮詰められていく中で、それぞれのヒロイン達の繋がりも生まれ始めて。最早思いはどんどんと、包囲網の様相を呈していくのだ。将人という憐れな獲物の。
より重い、想いが深まり重力の段階へと発展していく今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
Amazon.co.jp: 男女比1:5の世界でも普通に生きられると思った?(3) ~激重感情な彼女たちが無自覚男子に翻弄されたら~ (電撃文庫) : 三藤 孝太郎, jimmy: 本