やや旧聞に属するが、現在公開中の映画『ドリーム』、大いなる希望の力に満ちたこの邦題は、当初の案では『ドリーム 私たちのアポロ計画』だった。 しかし、この映画はアポロ計画ではなく、アメリカ初の有人宇宙飛行計画であるマーキュリー計画の話だ。さらにこの作品の原題は『Hidden Figures』、これは「隠された人/数字」、のような多義的な意味合いを含んでいる。マーキュリー計画で活躍したロケット打ち上げ計算係の黒人女性スタッフ(当時のアメリカでは黒人も女性も差別を受けていた)3名に焦点を当てた物語の内容にかけた、いいタイトルだと思う。 原題からあまりにかけ離れた邦題にSNSが炎上し、同作の監督であるセオドア・メルフィにツイッターでメッセージを送る人が現れるなど騒動が大きくなったりしたため、サブタイトルの「私たちのアポロ計画」を外したとされている。 マーキュリー計画の計算は、IBMのメインフレーム