「仕事と読書を両立するのは難しい」。でも、だからこそなんとかしたい!と思っている人も多いのではないでしょうか。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社)著者で文芸評論家の三宅香帆さんが、働きながら読書する日々を綴り、「働いているからこそ面白く読める本」を紹介します。今回は話題のNHK朝ドラ『虎に翼』で考える3冊を取り上げます。 4月某日 4月から始まったNHK朝の連続ドラマ『虎に翼』がすっごく面白い。それはもう面白い。毎週、展開にぐっとくる。キャラも好きだ。衣装や家や学校のセットがなにより美しくて好きだ。 『虎に翼』は、日本ではじめて弁護士、裁判官になった女性をモデルとして主人公に据える物語である。4月現在、時代は昭和初期。主人公・寅子はお見合いを嫌がり、まだ女性には法曹界への扉が開かれていないにもかかわらず、先んじてつくられた私立大学の女子法科に入学する。そして寅子は、法学の世界