走り出す花びら 甘井最鹿 迷いと緊張を抱えて単身やってきた海の向こう、日本。何もかもが手探りのこの場所で、「新しい私」なんて、本当にみつかるんだろうかーーー?
社会科学のパラダイム論争: 2つの文化の物語 作者: ゲイリーガーツ,ジェイムズマホニー,Gary Goertz,James Mahoney,西川賢,今井真士出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2015/08/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る 本書も、翻訳者の方からご恵投いただきました。ありがとうございます。本書の51ページには 定量的研究者と定性的研究者がどちらも関心を寄せるのは「何がYの原因なのか」という一般的な問いに答えることである。だが、その問いは異なる形へと言い換えられる。定量的研究者は「原因の効果」アプローチを用いて、問いを「母集団においてXはYにどの程度の平均効果を与えるのかという形へと言い換える。(中略)これに対して、定性的研究者は、「結果の理由」アプローチを用いて、問いを「単一あるいは複数の特定事例において、Yを説明するXsは何か」という形へ
静岡県と山梨県にまたがってそびえ立つ日本最高峰の山、富士山。その美しい円錐形の山容は多くの人を魅了し、芸術の分野などにも大きな影響を与えてきた。しかし、富士山には「もう一つの顔」がある。過去に何度も噴火を繰り返し、人々に恐れられた火山としての顔だ。3月末公表の「富士山火山避難基本計画」の策定に尽力した火山噴火予知連絡会の元会長で、現在は山梨県富士山科学研究所の藤井敏嗣所長に、富士山噴火の可能性や想定される被害について話を聞いた。(聞き手:飯田和樹/撮影:殿村誠士/構成:安藤智彦/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 富士山が最後に噴火したのは、江戸時代の1707年のこと。富士山の南東斜面に新たな火口を開けた「宝永噴火」と呼ばれるこの有名な噴火は、山麓の村々はもちろんのこと、当時の江戸にまで火山灰を降らせた激しいものだった。しかし、これ以降、現在に至るまで富士山は表向き静穏な状態を
「NieR:Automata」 この作品には謎の多いストーリーや個性豊かなキャラクター、そして思わず立ち止まってしまうような終末世界の風景など魅力的な要素に溢れている。しかし、ゲームをプレイする中で最も強く私の印象に残ったものは哲学者の名前を冠した機械生命体の存在だった。 「パスカル」「ヘーゲル」「エンゲルス」「マルクス」「ボーヴォワール」「キルケゴール」「ロウシ」「ソウシ」そして「サルトル」。思いつく限りでもこのような面々が機械生命体として登場する。 ただ機械生命体の「パスカル」が自分の主著であるはずのパンセを読んだことがなかったり、「ボーヴォワール」がサルトルとの恋愛部分だけピックアップされていたりと、哲学者の名前がそのまま機械生命体の内実を表しているわけではない。 しかし、その哲学者たちの思想がゲームのストーリーに見え隠れする瞬間がある。 この記事ではそのような哲学者たちの思想がどの
本記事では、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドの哲学について入門的な説明をする。 ホワイトヘッドは19世紀後半から20世紀前半を生きた英米圏の哲学者である。彼は論理学・数学の研究から出発し、60歳を過ぎてから形而上学の研究に着手した。彼の形而上学期の主著『過程と実在』は、20世紀の哲学書のなかでも屈指の難解テキストである。数々の用語を駆使して、世界全体のあり方を高解像度で描き出そうとするこの書物は、あまりに荘厳すぎる形而上学的体系を提示し、読むものを圧倒する。 本記事では、難解とされるホワイトヘッドの哲学をごくごく簡単に紹介することにしたい。本記事は、拙著『連続と断絶─ホワイトヘッドの哲学』第1章のダイジェスト版となっている。不要なテキスト的証拠や細かい議論などが削ぎ落とされ、最小限の用語と議論だけが残った最短ルートのホワイトヘッド入門となっているはずだ。 ホワイトヘッドの論敵、〈実体の
よだかは、実にみにくい鳥です。 顔は、ところどころ、味噌(みそ)をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。 足は、まるでよぼよぼで、一間(いっけん)とも歩けません。 ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合(ぐあい)でした。 たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、よだかよりは、ずっと上だと思っていましたので、夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりながら、首をそっ方(ぽ)へ向けるのでした。もっとちいさなおしゃべりの鳥などは、いつでもよだかのまっこうから悪口をしました。 「ヘン。又(また)出て来たね。まあ、あのざまをごらん。ほんとうに、鳥の仲間のつらよごしだよ。」 「ね、まあ、あのくちのおおきいことさ。きっと、かえるの親類か何かなんだよ。」 こんな調子です。おお、よだかでないただのたかならば、こ
私たちは自分で自分の遺伝的資質に合わせている ──DNAによって私たちの性格が形作られていることに関心を持ったのはなぜですか。 人生を振り返ってみたとき、分岐点のような瞬間があったと考える人は多いですよね。私はシカゴの中心街で育ちました。大学がどんなところなのか知る人は、家族にはいませんでした。大学に進学すれば奨学金がもらえると進路指導の担当者に教えてもらい、これは良い話だと考えてテキサス大学に出願したんです。 そのときは、この大学が行動遺伝学を必修科目とする世界唯一の大学だとは知りもしませんでした。ですが、「生涯を通じて行動遺伝学に取り組みたい」と思うようになるまで時間はさほどかかりませんでした。 クラスには30名ほどの学生がいましたが、行動遺伝学を面白がっていたのは私だけでした。おそらくそれは私の性格によるものでしょう。私は主流に歯向かうのが好きです。心理学にとって、遺伝は重要だと私は
※本記事は、『アニクリ vol.7s:アニメにおける〈バグ〉の表象──特集 作画崩壊/幽霊の住処』(アニメクリティーク刊行会、2019)所収の論考を一部加筆・修正のうえ、転載したものです。 文:あにもに 「開国以後、百二十年の近代化に続く現在の日本は、根本的に、あいまいさアムビギュイティーの二極に引き裂かれている、と私は観察しています。のみならず、そのあいまいさアムビギュイティーに傷のような深いしるし・・・をきざまれた小説家として、私自身が生きているのでもあります」1 ──大江健三郎『あいまいな日本の私』 政治的アニメーションとしての『傷物語』 2016年に全3部作として劇場公開された映画『傷物語』は、アニメーションについてのアニメーションである。あるいはより厳密に言うならば、『傷物語』は、アニメーションが含有するある種の政治性を浮かび上がらせる契機を内部に有している、自己言及的なアニメー
そして、今回の事件はスタートアップ企業や金融システムにどのような影響を与えるのだろう?現在、テック・金融業界の双方で大きなニュースとなっているのが、シリコンバレー銀行の経営破綻だ。SVB(シリコンバレー銀行)は、知られているように、スタートアップ企業(「スタートアップ」とは認知度がまだ高くないテック企業)に多額の資金を融資し、スタートアップ企業や他のテック企業に様々な金融サービスを提供していた銀行だ。ここに良いまとめ記事がある。 「何が生じたか」と過去形を使ったのは、木曜日(つまり昨日)、多くの人が、SVBから預金を引き出したからだ。SVBは、お金の返却を求める人たち全員に支払うだけの現金を保有していなかったため、経営破綻することになった。銀行の経営破綻の予防と救済を行っている政府機関FDIC(連邦預金保険公社)は、SVBを管理下に置いた。 これは何を意味しているのだろう? まず、SVBは
独身中年は狂う説、少し前まで自分には関係無いと思っていた。 ところが自分にもその波が来てしまった。もう全てが手遅れだが、正気と体力が残っているうちに書き残す。 せめて同じ轍を踏む人が一人でも減ることを祈る。 スペック35歳、166㎝、63kg 年収500万(賞与無し、固定残業45、1000人ぐらいのJTCで役職付の事務職) 資産 現金と株と投資信託合わせて400万ぐらい。 加齢による衰えは狂う前兆加齢による衰えは、最初はほとんど気にならないレベルで、しかしある日突然重くのしかかってくる。 30代前半までは何ともなかった体が、中年になると自分を裏切り始める。 ・体力の低下 40時間、50時間とこなしていた残業が、急に辛くなってくる。 満員電車1時間に耐えられなくなってくる。 睡眠時間がどれだけあっても足りなくなる。 とにもかくにも疲れやすくなってしまい、そして回復しなくなる。体はずっと疲れた
ユーラシア・中央アジアの考古学・文化史研究の先駆者である加藤九祚氏は、戦時中、学徒動員で出征。満州国の敦化(とんか)で終戦を迎えた。直後、加藤氏はソ連軍捕虜となりシベリアに抑留されるが、そこで「どうしても忘れ切ることのできない記憶」となる異様な出来事と遭遇した。 多くの日本人が辛苦を味わった「シベリア抑留」の現場で、一体何が起きていたのか。文春ムック『奇聞・太平洋戦争』より、加藤氏が1970年に執筆した「日本人は同胞の肉を喰うのか?」の一部を抜粋して掲載する。(全2回の1回目/後編に続く) ◆ ◆ ◆ わたしがここで語ることは、シベリア抑留中の1946年の出来事である。あのときからすでに24年の歳月が流れ、当時の記憶もまたうすらいで、俘虜(ふりょ)生活のすべてが夢の一こまであったように思われることがある。歳月は一切を洗い流すものかも知れない。しかしわたしには、どうしても忘れ切ることのできな
出生数の稼ぎ頭=地方の非エリート非正規女子をほぼ無視…少子化対策で東京の高学歴女子ばかり利する愚 恵まれた正社員女子を不安定雇用の非正規女子が支える格差の構図 女性の過半数は非大卒/非東京/非正規 日本の大学進学率は上昇している。特に女性は1984年の12.7%が2021年には51.3%に達したが、地域差も大きく、2021年調査で「東京74.1%、鹿児島34.6%」という倍以上の格差が残っている。 鹿児島など女子の四大進学率が低い県では、「女子は四大ではなく、短大や専門学校進学率が進み、看護、保育、医療技術系など手に職がつく専攻が人気」と説明されている。入社試験に四大卒が必須とされるようなホワイトカラー職は東京に集中しているので、就職や資格に直結して早く働ける短大や専門学校への進学は、地方女子高生にとって今なおフツーの進路である。 また、地方には終身雇用・年功序列が保証された職の絶対数は少
時代劇の流刑地の定番として知られる「八丈島」。そんな同島で暮らした罪人たちは、私たちの想像よりも島の生活をエンジョイしていたのかもしれません。離島ライターの大島とおるさんが解説します。 八丈島へ島流し――と言えば、時代劇における奉行裁きの定番です。 今では羽田空港(大田区羽田空港)から最短50分で行ける八丈島ですが、かつては本土と隔絶された孤島でした。誰が言いだしたか、 「鳥も通わぬ八丈島」 という表現もあります。 そんな八丈島に流罪となった最初の人物が、宇喜多秀家(うきた ひでいえ)です。秀家は関ヶ原の戦い(1600年)で西軍の主要人物として徳川家康と戦いましたが、敗北。その後、薩摩まで逃れますが結局流罪に。1606(慶長11)年のことでした。 秀家は1655(明暦元)年に84歳で死去。実に、人生の半分以上を八丈島で過ごしたことになります。乱世が鎮まった時期には赦免の話もあったようですが
対談する(左から)東本願寺の大谷暢裕門首、西本願寺の大谷光淳門主と中井美穂さん(6日、京都市下京区の東本願寺・黒書院で)=河村道浩撮影 ともに日本を代表する伝統仏教教団である浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺、京都市)の大谷光淳門主(45)と真宗大谷派(本山・東本願寺、同)の大谷暢裕門首(71)が6日、対談した。両派などによると、宗派の象徴的存在の門主・門首による対談は80年ぶりとなる。2人は世界平和や環境問題に宗教が果たす役割などについて意見を交わした。 対談は両寺で今月下旬から始まる「宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要」を前に、読売新聞が呼びかけ、それぞれが両寺を訪問する形で行われた。 両派は、いずれも門信徒が700万人を超える。2人は伝統仏教各派などでつくる「全日本仏教会」(東京)の前会長、現会長でもあり、現代における仏教の教えや宗教のあり方についても話し合った。 両
一方、同じ食品メーカーでも、商品数の少ないところが多くあります。商品数は企業間で結構な違いがありそうだということが、検証の事前から予想されました。 実際、約1万社について商品数を調べると、商品数トップの企業は6703個の商品をもっています(表)。最下位企業の商品は二個なので、ここに大きな格差があるのは一目瞭然です。丁寧にみると、上位10社で全商品の9%、上位100社で全商品の57%を占めていることがわかります。つまり、過半の商品が全体の1%の企業に集中するという格差が存在するのです。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く