違法な侵略戦争を進めながら、市民からの正当な批判を恐れ、封殺する。プーチン体制の危険性だけでなく、その本質的な弱さも浮き彫りにされたとみるべきだ。 ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏が、獄中で急死し…
戦争の記憶が残った半世紀前の東南アジア。日本企業進出に反感は強く、1974年の田中角栄首相(当時)のインドネシア訪問時には日本車に火が放たれた=ジャカルタ市内で 米中対立が深まる中、対等なパートナーとしての関係をどう生かしていくのか。 日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議が東京で開かれた。対話開始から50年の節目を記念するものだ。 経済協力の強化や人的交流の拡大を盛り込んだ共同声明では「共創」という言葉が強調された。岸田文雄首相は「協力のキーワード」と説明したが、問われるのは何を共に創造していくかだ。 土台となったのは、日本の東南アジア外交の指針である「福田ドクトリン」だ。 1977年に当時の福田赳夫首相が、再び軍事大国にならない決意を表明した。信頼される対等なパートナーになるとも約束したが、実態は日本が政府開発援助(ODA)で東南アジアの経済成長を支える構図だった。 だが、こ
国際法に違反して他国を侵略した外国首脳を厚遇するようでは、国際社会の理解は得られまい。 ロシアのプーチン大統領が中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」の国際会議に出席し、習近平国家主席と会談した。 プーチン氏には、ウクライナへの侵攻を巡って国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ている。中露はICCに加盟していない。逮捕状が出た3月以降、旧ソ連圏以外では初の外国訪問となった。 会談で習氏は「国際的な公平性と正義を守り、世界の発展に貢献したい」とプーチン氏に呼び掛けた。だが、戦争犯罪の容疑がかけられた首脳との共闘をアピールするだけで、ウクライナの惨状から目を背けていては、「公平性と正義」の言葉は空疎に響くだけだ。 習氏が提唱して10年の節目を迎えた一帯一路を巡っては、過剰な融資で途上国を借金漬けにする「債務のわな」への批判が高まっている。会議には151カ国が代表を送ったが、首脳級の出席は24カ国
政治家の「世襲」への批判が再燃している。岸田文雄首相の長男翔太郎氏が首相公邸で忘年会を開いたり、岸信夫前防衛相の長男信千世氏が家系図をホームページに掲載したりしたのがきっかけだ。 世襲候補に明確な定義はないが、父母か祖父母が国会議員だったか、3親等内の親族に国会議員がいて同じ選挙区から立候補した場合を指すことが多い。 2021年の前回衆院選では、世襲候補は全体で12・5%を占めた。政党別では自民党が約3割、次いで立憲民主党が約1割で、自民党の割合が突出している。 自民党もかつて制限に乗り出したことがある。09年衆院選の政権公約で、引退議員の配偶者や3親等内の親族が同一選挙区から立候補する場合、次の総選挙から「公認、推薦しない」と明記した。 当時の民主党が国会議員の世襲禁止を打ち出したのに対抗する狙いがあった。だが、選挙で惨敗し、野党に転落すると、撤回してしまった。 世襲候補は、選挙の勝敗を
学術論文は人類の「知の財産」である。その共有が阻まれるような現状は問題だ。 発見や成果を報告する論文は学術雑誌に掲載され、世界の科学者が読んで研究に役立てる。 ネット時代の到来とともに、学術誌に掲載された論文の多くはオンラインで公開され、どこにいても読める環境が整ってきた。 だが、新たな課題もある。公開に際して研究者が負担する費用が高騰していることだ。 国内の大学図書館で作る団体の推計によると、2020年に日本から公開された論文3万4000本に57億円の費用がかかった。1本当たり十数万円から100万円以上と高額だ。 圧倒的な権威を持つ欧米の学術出版社3~4社が、公開料決定の主導権を握っている。 文部科学省の昨年の調査では、「公開しない」と回答した研究者の55%が「資金がない」ことを理由に挙げた。研究費が少ない若手ほど不利になる。公開控えが起きれば、画期的な成果も宝の持ち腐れになりかねない。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く