私はいまから20年近く前、大学後半くらいから数年ほどのあいだ、分析哲学にハマっていたことがあった。専攻していたわけではなく、素人の愛好家として、その手の本をよく読んでいたに過ぎないのだが、「分析哲学を浴びた」と言ってもいいくらい、わりと熱心に読んでいた。そして、分析哲学と接したその数年の期間は、その後の私に少なからぬ影響を与えた(いま考えると、これがその後ITの世界に入ることにもつながっている。当時の私はコンピュータも持っておらず、ITと無縁の人間だった)。 当時、分析哲学のさまざまな本で読んだ内容はほとんど忘れてしまったのだが、私が好きだった哲学者、ルドルフ・カルナップの「世界の問題なのか、言語の問題なのかをはっきり区別する」というスタンスは、私の「物の見方」に大きな影響を与えた。 例えば、2人の人間の意見が割れているとする。Aは「神は存在する」と言い、Bは「神は存在しない」と言っている