日本中世史はわかりにくい。 本郷和人氏が指摘している一一七〇年代の「平家政権と高麗の武人政権の類似」(『武士から王へ』)についてもっと知りたいと思って、いろいろ調べているが、日本国内だけでもなかなか事実関係がややこしくて、どんどん深みにはまっていくわりには、どうにも「理解」が追いつかない。そんな感じで、このところ停滞している。もっと時間をかけてじっくり勉強していく必要があると感じている。 ただ、調べていくうちにふと気づいたのは、「平家政権と高麗の武人政権の類似」が特に注目に値するのはむしろ、それ以後の歴史が違っているからだということだった。 姜在彦(カン・ジェオン)氏は、『朝鮮儒教の二千年』の中で、こういうことを書いている。 (藤原一族の)摂関政治下における中央と武士団との関係は、高麗創業期における中央王権と地方豪族とのそれによく似ている。だとしたら高麗が地方割拠的な「旧臣宿将」を排除また