プロローグ 偶然には偶然が重なるとよく言うが、小学校入学から社会人になった今まで平々凡々と暮らしてきた俺には「偶然」とか「奇跡」とかそんなものは全くの無縁だと、誰かに言い聞かされたわけでもないのに心の底から信じ続けていた。 確かに今回は少しばかり変わった出来事に遭遇したが、それも一時的な運勢の不調であって俗に言う奇跡体験みたいなものには無関係だと、ナチュラルな感覚で思っていた。 そう、実際にその「奇跡」を味わうことになるまでは――。 PCなんか、いらないよね? 「憂欝だ……」 今年で社会人生活も数年になる俺の1日は、今日もこんな言葉で始まった。 俺の名前は宇津木憂介。仕事は順調とまではいかないが大きなミスもしない。まあいわゆる目立たない普通のサラリーマンを想像してくれればそれでだいたい正解だろう。 しかし、そう言い切ってしまうと「普通のサラリーマン」にくくられるその他の人々に失礼かもしれな
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