「選択肢はひとつではない」「敵はCO2であり、特定のパワートレーンではない」と、トヨタの豊田章男会長はずっと言い続けてきた。中国と欧州でBEV(バッテリー電気自動車)が売れまくっている時期にトヨタは、ひたすらHEV(ハイブリッド車)のラインアップを増やした。これに対し多くのメディアが「日本はBEVで出遅れた」とツッコミを入れた。しかしこれは早いといか遅れたとかの話ではない。HEVを大量普及させることに大きな意義がある。 TEXT:牧野茂雄(MAKINO Shigeo) 日本はHEVのおかげでCO₂削減の優等生 2019年の段階ですでに1000万台のHEVが日本の道を走っていた。その効果は大きく、2001年を100としたときの自動車排出CO₂(二酸化炭素)は2019年には77に減っていた(グラフ1)。23%の減だ。世界中にCOVID19(新型コロナウィルス感染症)が蔓延する前のデータあり、経