20年ほど地方紙で記者をし、その間に取材したこと、目にした事象のひとつひとつの背景に、私は目を凝らしていただろうか。発表されたもの、見聞きしたことの表層を書いていたのではないか。 「宗教右派とフェミニズム」(山口智美/斉藤正美 著)を読み進めながら、何度も自問した。 本書は、ネット発の独立型報道番組「ポリタスTV」で2022年に公開された「宗教右派と自民党の関係――ジェンダーと宗教」(前篇・後篇)をもとに書き下ろしている。1990年代に始まったバックラッシュ(フェミニズムへの反対運動)、安倍政権以後の家族や女性、LGBTQ+をめぐる政策と右派・宗教との関係を、フェミニズムの視点から解き明かし、問題提起している。 「宗教右派とフェミニズム」 本書が取り上げるさまざまな事象を、自分自身の取材経験に当てはめてみる。 秋田県内自治体の「男女共同参画課・室」が、いつの間にか「女性活躍推進課・室」に塗