東京都の西側、多摩地域にも数多くの美術館が存在するが、そのなかでも府中市美術館は展示室とは別に公開制作のための部屋を擁しているのが大きな特徴だ。2000年の開館当初から、90組近くの作家による公開制作のバトンが連綿と繋がれてきた公開制作室。今年4〜7月にかけての馬塲稔郎氏の公開制作とその関連企画を担当した学芸員の大澤真理子氏に、作家の制作過程を市民に開いていく活動のなかでの発見を綴っていただいた。(artscape編集部) 公開制作室で積み重ねられてきたもの 府中市美術館は、「生活と美術=美と結びついた暮らしを見直す美術館」をテーマに2000年10月に開館した。作品鑑賞、創作、発表といった体験を通じて、身近に美術に出会える場として活動を重ねてきた。緑豊かな都立府中の森公園の中に位置し、公園からすぐにアプローチできるため、気軽に来館される公園利用者の方々も多い。 府中市美術館 年間5回の企画