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自立心、他者への思いやり、規律を教えることに重きを置いた日本の小学校教育が素晴らしいと英誌「エコノミスト」が称えている。その一方、調和を重視するあまり創造性が育まれない場合もあると指摘する。 日本にある「秩序」の原点 米大リーグで活躍する日本のスター、大谷翔平選手はなぜ試合後にごみ拾いをするのか。日本人はなぜあれほど礼儀正しく列に並んだり、信号が青になるのを待ったりするのか。 つまり、日本にはなぜこれほどの秩序があるのか? その答えは小学校教育にあるとの声も聞かれる。 東京都豊島区立南池袋小学校では、下校のチャイムが鳴ると、1年生の児童が慌ただしく教室を飛び出していく。 そんななか、4人の女児が教室に残った。放課後の掃除当番だ。ロッカーから子供サイズのほうきを取り出し、掃除に取りかかる。 「ここにはいつもほこりがたまるよ」と、ひとりの子が床の溝を指さした。他の3人が手伝いに駆け付けた。掃除
用心深く判断を保留していた人たちにとっても、状況ははっきりしたといっていいだろう。少なくとも、そのことだけはドナルド・トランプの手柄だ。右派は存在しており、声高になっているのだ。 トランプ流の政治の特色は、かつての右派の多くがそうだったように、強烈なナショナリズム、社会保守主義、そしてやりたい放題の経済自由主義がないまぜになったところだ。「ナショナリスト的経済自由主義」と呼んでもいいが、もっと的確に言うなら「ナショナリスト的資本主義」だ。 グリーンランドやパナマに関する言動を一つ見てもわかるが、トランプが好むのは権威主義的な資源収奪型の資本主義である。経済自由主義というものは、歴史をひもとくとわかるが、だいたいこの権威主義的な資源収奪型の資本主義という形をとる場合がほとんどなのだ。 フランスの経済学者・歴史家のアルノー・オランが先頃、上梓した新著『収奪された世界──16世紀から21世紀まで
Text by Adam Jourdan, Lisandra Paraguassu, Eduardo Baptista and Michael Martina リバタリアン(自由至上主義者)として知られるアルゼンチンのミレイ大統領は2023年の大統領就任時に中国を共産主義の「暗殺者」と呼び、対中関係の見直しを示唆していたが、実際にはミレイ政権の1年目にアルゼンチンは大豆やリチウムなどの対中輸出が15%も増加した。 本来は米国の同盟国であるアルゼンチンのこうした実利重視の政策転換は、トランプ米大統領の対南米政策の課題を浮き彫りにしている。豊富な天然資源を抱える南米諸国では近年、コモディティー(1次産品)ブームを追い風に中国の影響力が高まっている。 一方でトランプ政権は脅しや関税をテコに貿易相手国に対して米国の利益になるような条件を飲ませようとしている。既にコロンビア、パナマ、メキシコに譲歩を
AIの開発が加速するなかで、人類はSF映画で見たような世界を想像しはじめている。便利なバラ色の世界が誕生するのか、はたまた、人類滅亡の危機が訪れるのか。歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリは、恐れるべきは殺人ロボットではなく、情報ネットワークを自動で操る「AI官僚」であるという。 AIの台頭で恐るべきもの 人工知能(AI)革命が加速するなかで、2つの予言が飛び交っている。1つはバラ色のユートピア、もう1つは悲惨な人類滅亡だ。 AIによる脅威がいかほどのものかを正確に推し測るのは容易ではない。なぜなら、私たちは条件反射的に、誤ったシナリオを恐れるようにできているからだ。 SFの世界ではこれまで幾度となくロボットの大反乱が描かれ、そうした未来が予告されてきた。あまたのSF小説や『ターミネーター』『マトリックス』などのSF映画では、AIとロボットが世界を乗っ取るという意思の下、自らを作り上げた人類に
木嶋香苗のいわゆる「婚活殺人事件」に着想を得た柚木麻子の小説『BUTTER』が、英米で話題を呼んでいる。オックスフォード大学の犯罪研究者が柚木本人に取材し、日本の司法やメディアに蔓延るミソジニーとルッキズムを分析。女性犯罪者はその行為だけでなく、「女性らしさの規範」に抗ったことでも裁かれると指摘する。 ステレオタイプを切り捨てる木嶋 2009年8月のある朝、埼玉県富士見市の駐車場にとめられていたレンタカーから男性の遺体が発見された。 死因は一酸化炭素中毒で、当初は自殺とみられていた。だが状況に疑問を持った警察は、被害者と交際していた木嶋佳苗を訪問する。これが後に「婚活殺人」とメディアで報じられる事件の捜査の始まりとなる。 警察の調べによって、木嶋がマッチングサイトで知り合った3人の男性を殺害したと示唆する証拠が見つかった。木嶋は無罪を主張したが、一審、二審ともに死刑判決が下った。この判断は
韓国人作家初のノーベル文学賞受賞者となったハン・ガンは、自身の著作を通じて、韓国の歴史に残る、いまも癒えない傷と向き合いつづけている。2024年12月に尹錫悦大統領が非常戒厳を発令したことによる政治的危機を、彼女はどう見たのか。米紙「ニューヨーク・タイムズ」がインタビューした。 縫い目に針を入れる ハン・ガンの最新小説には、木工作業中の事故で二本の指先を切り落としてしまう人物が登場する。外科医が再接着するが、その処置はぞっとするような苦痛に満ちている。3分に一度、それも数週間ずっと、看病人が慎重かつ冷静に、それぞれの指の縫合部分に深く針を刺して血を抜くのだ。指先が壊疽するのを防ぐために。 「ずっと血が出つづけてて、私が痛みを感じるようでないといけないの。じゃないと、切れた神経の上の方が死んじゃうから」(斎藤真理子訳) ハンは自身の作品のなかで、自国の歴史に残る傷の縫い目に針を入れ、徹底的に
親ナチスな言動が目立つイーロン・マスクに抗議するテスラ不買運動が欧米で広がっている。マスクはなぜ排外主義に傾き、多様性を嫌うのか。彼の過去を探ると、トランプ政権に影響を及ぼす「PayPalマフィア」の闇の顔が見えてきた──。 ナチスと結びつけられたテスラ 世界でいま注目されている発言やフレーズから国際ニュースを深堀りする本連載。今回のキーワードは「swasticar(スワスティカー)」だ。 辞書には載っていない。「swastika(鉤十字)」をもじって、最近、誰かがテスラの電気自動車(EV)に与えた造語だ。テスラの車は、ナチスのシンボルである鉤十字(ハーケンクロイツ)の車だ、と。 この「swasticar」は瞬く間に世界に広がり、テスラ不買運動の象徴となった。全米で少なくとも数十ヵ所のテスラ販売店前で抗議活動が繰り広げられた。ネット上ではテスラ所有者たちがテスラ車を手放したり他社のEVに乗
この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 わたしはキャリアを通じて、「正しいこと」と「効果的であること」の違いを見極めるのに常に苦労してきた。最近の世論調査が示すところによれば、多くの中道派は「正しさ」(憲法が定める抑制と均衡のシステム)よりも「効果的さ」(素早く行動し、必要なら既存の仕組みを壊すこと)を好むようになっている。独裁制が魅力的に映るのは、短期的には効果を上げているように見えるからだ。 興味深いことに、米国人の3分の1は、政治的立場の左右を問わず、その独裁者が自分の価値観と一致している限り、独裁的な指導者を支持するという(そして正直に言えば、その独裁者は常に「彼」という男性なのだが
イーロン・マスクを虐待していたとされる父親のエロル・マスク。そんな彼が、息子について「良いオヤジだったことはない」と自身の論点をポッドキャストで繰り広げ、話題を呼んだ。米「ニューヨーク・タイムズ」紙が、この親子の歪な関係を振り返る。 エロル・マスクは、自身と息子のイーロンとの関係が実際にはとても良好なのだと世界に知ってもらいたいと思っている。彼がインタビューでそう語ったのは、イーロンのことを「良くない親」だと呼んだエロルの発言がネットで拡散した、ほんの数日後のことだ。ポッドキャスト「Wide Awake」の最新回で、エロルは息子のイーロンについて語った。インタビューの大半は、この息子の話題である。 「良いオヤジだったことはないな。あの夫婦は金持ちすぎたし、ナニーも多すぎた。それからその同じ女とのあいだに5人の子が生まれて、5人の息子たちはみんな大きくなった。それぞれにひとりずつナニーがいた
デンマーク・コペンハーゲンで「展示」されていた3匹の子豚が連れ去られた。 2月28日(金)から開催されていた「And Now You Care?(いまなら気にする?)」展で、3匹の子豚は2台のショッピングカートに閉じ込められ、展示されていた。3匹には餌も水も与えられず、餓死するまで展示は続けられる予定だった。 チリ出身のデンマーク人芸術家マルコ・エバリスティによるその展示の目的は、現代の養豚が豚にもたらす苦しみを訴え、「人々に、肉の消費を減らすこと、そして、動物福祉を向上させる農業への支援を促す」ことだったと仏紙「フィガロ」は伝える。 だが、その手法は(当たり前だが)議論が巻き起こした。「デンマーク動物保護協会」も激しく非難し、同団体の広報担当ビルジット・ダムは、「私たちは、彼の意図を充分理解しています」と認めながらも、「しかし、この3匹の生きた子豚を、飲み食いさせずに死ぬまで飢えさせるこ
Text by François Miguet (with Shoko Plambeck) & Jake Adelstein 年金受給開始年齢の引き上げが決まったフランス。2023年、この年金改革法案の強行採択に至るまでの、フランス人たちの激しい抗議デモの様子は、日本でも大きく報じられた。そんななか、仏誌「ル・ポワン」が日本で取材したのは、「70歳を過ぎても働き続ける人々」と、高齢化社会最前線をゆく日本の現状だ。 チャコールグレーのオーダーメイドスーツに、青いストライプの清潔なシャツ。揃いのポケットチーフとネクタイ。どこか近寄り難い面持ちをしている内海孚(うつみ・まこと)は、一見すると日本の高級官僚のイメージそのものだ。ただし、彼には親仏家という意外な側面がある。ジャケットの襟にフランス政府から授与されたレジオン・ドヌール勲章のバッジを付け、内海はフランス語を完璧に使いこなす。 そして驚く
「投資の神様」と称される著名投資家ウォーレン・バフェット率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが決算を発表。保有していた株式を大量に売却して手元資金が過去最大に膨らむなか、大量に購入していたものとは。また、バークシャーが株式を売却しているのは、米国株の暴落を予想しているからなのか。各紙の報じ方をまとめた。 株を売りまくる理由 2025年2月下旬、米著名投資家ウォーレン・バフェットが率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが2024年通期の決算発表をおこなった。保有していた株式を売却したうえ、大型の投資もなかったため、バークシャーの手元現金は10四半期連続で増加し、24年末には過去最高の3342億ドル(約50兆1300億円)に達したことがわかっている。 米メディア「ブルームバーグ」によると、2024年の第4四半期に、保有していた株式67億ドル(約1兆50億円)を売却した。アップルやシティグルー
「UFOキャッチャー」の通称で親しまれる日本のクレーンゲームが、米国でも人気を集めている。米紙「ワシントン・ポスト」が専門家に理由を取材したところ、米国側のさまざまな社会変化がブームを後押ししているようだ。 ジェネビーブ(8)は、ケース内にある小さなぬいぐるみたちと目線を合わせるため、しゃがみ込んだ。 彼女は集中力を高めて慎重にクレーンゲームを操作し、日本で人気のマンガ『ちいかわ』(講談社)のぬいぐるみに向かってアームを下ろした。金属製の指がおもちゃを捕獲し、落とし口に放り込む。マシンは黄色と紫色に光り、ジュネビーブの勝利を告げた。 ぬいぐるみを手にした娘がにっこりと笑うと、「やった!」と母親のジェスが声をかける。2025年1月、米東部メリーランド州ロックビルにあるクレーンゲーム専門店ミャウ・クロウでの一幕だ。 店には子供から大人までさまざまな人が訪れていた。彼らは1枚1ドルでゲーム用コイ
※本記事は『日本人のための漢字入門』(阿辻哲次)の抜粋です。 儒者には認めがたい解釈 漢文では文末に置き、断定の助字として使われる「也」も、最初からその意味で作られた漢字ではなかった。 この文字については、「漢字おタク」たちによく知られた話がある。私が学生だった時に、京都大学文学部で中国語学・文字音韻学関係の講義を担当されていた尾崎雄二郎・人文科学研究所教授(当時)が、『月刊しにか』(大修館書店)という雑誌に「漢字おタク錬成講座」と題する文章を連載されていた(1996年4月~97年3月号)。 毎回かなり専門的な内容にわたる部分が多く、これでじっくりと「錬成」されたら相当に強力な漢字おタクができあがるだろうなと思いながら私も毎号楽しみに読んでいたが、その最終回(97年3月号)に、我が師匠は「也」という漢字を採りあげられた。 最終回のタイトルは、「疑ウ可キ者無シ、而モ浅人妄リニ之ヲ疑ウ」となっ
米国のドナルド・トランプ大統領が、メキシコとカナダに25%の関税措置を発動し、中国製品には一律20%の関税を課した。 一方的なこの措置に各国は反発。中国は米国の農産物に最大15%の関税を課し、カナダは300億カナダドル相当分の米国製品に25%の関税を課すとした。メキシコも報復関税を課すと明言している。 専門家も首を傾げる 「数十年にわたって構築してきたサプライチェーンが混乱に陥っている」と米紙「ロサンゼルス・タイムズ」は報じている。なかでも影響を受けているのは、自動車やコンピューター、テレビなど、国境を何度も越えてやり取りされる部品を使って生産される製品だ。 そして米国の長年の同盟国であり、その国境から移民も麻薬もほとんど流入していないカナダまでもが「貿易戦争」に巻き込まれる形となったが、これに関してはなぜなのか「ちょっとよくわからない」と、ヘリテージ財団の経済学者であるスティーブン・ムー
※本記事は『日本人のための漢字入門』(阿辻哲次)の抜粋です。 「研究」にぴったりな文字 人間が口で話すことばを紙などに記録する記号システムが文字であるとすれば、その研究は言語学に属するテーマとなるはずである。ところが言語学はヨーロッパやアメリカで生まれ、発達してきた学問だから、文字にはきわめて冷淡で、研究がほとんどおこなわれてこなかった。 少なくともこれまでの言語学では語彙や語法、あるいは音韻や方言の研究などと比較して、文字学がかなりマイナーな分野と位置づけられてきたことは、まちがいのない事実である。 だがそれは当然のことであった。欧米で文字といえば、ふつうラテン文字(ローマ字)またはキリル文字(ロシア語などに使われる文字)を指し、どちらも表音文字である。表音文字は口から発せられる言語の音声をつづって記録に定着させるための記号であって、それぞれの文字には固有の意味がない。 具体的にいえば、
「風鈴のような歌声」と「浮遊感のあるメロディ」で独自の音の世界を築き、欧米でも高い評価を得ている青葉市子に英紙「ガーディアン」がインタビュー。音の魔術にかける思いに迫る。 観客をくつろがせる 2024年の9月、ロンドンのセント・マーティン・イン・ザ・フィールズで青葉市子は公演をおこなった。 しかし、このジョージアン時代の教会には、赤い小さな台があるのみで、また、青葉の背はそう高くはなく、ほとんどの観客はこの日本人ミュージシャンの姿が見えなかった。 「ちょっと緊張していました。会場のスタッフも、お客さんから見えないだろうと言っていたので、私はなんとか会場の空気をほぐして、お客さんにくつろいでもらおうという思いで臨みました」 青葉市子、35歳。彼女は東京からビデオ通話で話している。彼女の会話の雰囲気はステージ上と変わらない。静かでありながら、シャイではなく、思慮に富み、面白く、率直だ。 セント
※本記事は『ブルシットジョブの謎』(酒井隆史)の抜粋です。 「尻ぬぐい」だけをさせられる人たち 次に、「尻ぬぐい」(ダクト・テーパー)です。原文では、duct tapers。ガムテープのような補修テープを意味するのですが、ソフトウェア産業で、補修作業についてこの言葉が用いられていたようです。 グレーバーはそれを使いながら、さらに一般化できると言っています。要するに、ダクト・テーパーとは「尻ぬぐい」であって、「組織の中に欠陥が存在しているためにその仕事が存在しているにすぎない被雇用者」のことです。 「組織の中の欠陥」には、たとえばわかりやすい例としては、目上の人間の不注意や無能もあてはまります。部下はその「尻ぬぐい」をしなければなりません。中小企業で働く、マグダという人物の証言が挙がっています。 それによれば、マグダは「テスター」なる役割を引き受けていたようなのですが、その仕事は「花形気取り
全世界に生中継されるなかで前代未聞の「激しい言い合い」で決裂した米ウクライナ首脳会談。あの場で一貫してロシアのウラジーミル・プーチン大統領をかばい続けたドナルド・トランプ米大統領は、会談の裏でも「西側諸国の敵」に塩を送っているようだ。 ウクライナでの戦争をプーチンに有利な条件で終結させようとしているトランプ政権は、ロシアに対する攻撃的なサイバー作戦を中止したと、米メディアが報じている。 現職および元政府高官らが匿名を条件に米紙「ワシントン・ポスト」や「ニューヨーク・タイムズ」に語ったところによると、米国防総省のピート・ヘグセス長官が同省のサイバー軍にその命令を下したという。
2月28日におこなわれた米国・ウクライナ首脳会談は、ドナルド・トランプ大統領とウォロディミル・ゼレンスキー大統領がカメラの前で口論するという前代未聞の展開となった。 停戦に関する協議は白紙に戻ったほか、以前から決定されていたウクライナに対する支援を米国が即座に打ち切る可能性も浮上している。 これを受けて、3月2日に欧州各国が緊急会合を開催。英仏が主導する形で、ウクライナとともに、ウクライナを守りつつ和平に至るための計画を策定すると決まった。 英仏主導の4本柱 英誌「エコノミスト」によると、詳細はまだ明かされていないものの、英仏主導のプランは4本の柱で構成される見通しだ。 第一に、戦争が続く間はウクライナへの軍事援助を継続し、ロシアへの経済的圧力を強めること。 第二に、いかなる和平交渉にもウクライナが参加しなければならず、和平においては同国の主権と安全が保障されなければならないこと。 第三に
2月末日に開かれ、激しい口論に終わった米国とウクライナの首脳会談の衝撃は、3月に入ってからも和らいでいない。この会談と今後のウクライナ情勢をめぐって、世界中でさまざまな見解や分析が示されている。 米大手紙「ワシントン・ポスト」は会談直後に出した社説で、「トランプは米国の大統領というより、ドン・コルレオーネ(映画『ゴッドファーザー』に登場するマフィアのトップ)のような口ぶりだった」と形容している。 その形容とは真逆ともいえる意見記事を書いているのが、カタールメディア「アルジャジーラ」のコラムニストであるアンドリュー・ミトロビッツァだ。 トランプはむしろ、歴代の米大統領が陰でしてきたことをテレビの生放送中にしただけだとミトロビッツァは論じている。 「病的なたやすさで嘘をつき、微塵の後悔なり反省もなく殺せと他人に命令できるかどうかはさておき、無礼で、がさつで、人でなしであることは、民主党であれ共
離婚してマッチングアプリに登録した筆者。自分を良く見せようとするプロフィールが多いなか、彼女はあえて「いつも通りの自分」を記してみることにした。 この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 プロフィールは「飾り立てた」要素が多い 「鉢植えには、映画の作中で死んでしまうキャラクターの名前を付けています。枯れてしまった時の悲しみもいくらかマシになるし、そうなることも台本通りだと思えるから」 マッチングアプリ「Hinge」のプロフィールに、私はそう書いている。これは大げさな虚飾(「幸せな場所はどこって? 君のそばさ」)や嘘(「デートの最終目的はまだわかりません」)ではなく、事実だ。 観葉植物に映画で死ぬ役の名前を付けるのは、それが面白いと思うからだ。サンセベリアには「ドビー」(『
トランプ米大統領は2月28日、ウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談した。ウクライナの鉱物資源の権益に関する合意文書に署名する予定だったが、ロシアへの対応などを巡り厳しい口論となり、会談は決裂。合意文書には署名されず、共同記者会見も中止となった。 以下は米議員やその他政府高官のコメント。 ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当) トランプ氏は和平を実現しようとしており、この経済取引もその一環だった。ところが、ゼレンスキー氏は米大統領執務室にやってきて、ウクライナ防衛への米国の貢献を軽視し、わが国を軽んじることを選んだ。要求を突きつける間に、あまりにも多くの人々が亡くなっている。 マッコール下院外交委員会名誉委員長(共和党)
Photo: Tom Williams / CQ-Roll Call, Inc via Getty Images 米国のトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領がホワイトハウスで衝突した件について、中国政府は公式なコメントを控えたものの、中国メディアはロシアの情報源をもとにこの衝撃的な事件を報じた。 国営の中国中央テレビ(CCTV)は、ロシア安全保障会議副議長であるドミトリー・メドヴェージェフの発言を引用。トランプのゼレンスキーへの叱責は不充分だったと報じた。また、ロシア外務省のザハロワ報道官が発した「トランプはゼレンスキーを殴らなかったことで自制を示した」というコメントを紹介し、ロシア側の見解を強調した。 国営紙「環球時報」も、ロシアの反応を軸にした報道を展開。メドヴェージェフが「X」に投稿した「ゼレンスキーは大統領執務室でしっかりと叱責された」というコメントを引用し、ウクライナ側
バンス氏、ゼレンスキー氏と対立でMAGAの代表格に ドナルド・トランプ米大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が2月28日にホワイトハウスの大統領執務室で記者団の質問に答える中、JD・バンス米副大統領は22分間ほぼ沈黙を保っていた。 ある記者がトランプ氏はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と同じ立場なのかと尋ねた時、バンス氏は我慢の限界に達した。 バンス氏はトランプ氏の外交戦略を擁護する形で割り込み、ゼレンスキー氏との間で緊迫した異例の対立を公開の場で引き起こした。この対立は3年に及ぶウクライナ戦争を終結させるために動いてきた数週間にわたる水面下の交渉を台無しにした。
美容整形をするために多くの外国人観光客が訪れる韓国。美容整形ツーリズムの需要が膨らみ、巨額の観光収入が入る一方で、韓国はある「ツケ」を払わなくてはならなくなっているという。 「少しでも若返りたい」 ある寒い朝、ジュリー・ミラーは韓国ソウルの高級街・江南に降り立った。向かったのは16階建ての美容整形クリニックが集まるビルだ。 46歳のミラーは米国ニュージャージーから5日間の日程で韓国を訪れ、ソウルの王宮や北朝鮮との軍事境界線を観光する。そして、同時に、この旅の目的は若返ることだ。 予約していたクリニックに入ると、ミラーはボトックス注射と高密度超音波療法による肌の引き締めを選択した最終的な費用は3000ドル(約45万円)だった。決して安くはないが、米国より少なくとも40%安いと米メディア「ブルームバーグ」は報じている。 韓国の整形市場 ミラーのように、米国や欧州、アジア各国から多くの外国人が韓
多くの日本人が「イタリア人」と聞いて真っ先に思い浮かべる存在──それが、ジローラモ・パンツェッタ(62)だ。 日本に移住した音楽家で、イタリア語教師、さらにテレビ出演もこなすフラビオ・パリージが、この現象に対して抱える複雑な心境を、イタリア紙「イル・ポスト」で打ち明けている。 パリージによれば、このイメージが形成されはじめたのは1990年代のこと。当時、ジローラモはNHKのイタリア語講座に出演し、日本の視聴者にその存在を知られるようになった。 その当時、日本ではイタリアへの関心が爆発的に高まっていたようだ。イタリア語を教える私立の語学学校がいたるところにあり、ナポリから直輸入した薪窯を備えたピッツェリアが次々とオープン。人々はイタリア料理に夢中だった。さらに、セリエAやその選手たちは、日本人のあいだで絶好の話題になっていた。 ジローラモと妻のパンツェッタ貴久子がイタリア料理を紹介 「ジロー
ドラマや映画において、米国の大学生は酒をたくさん飲み、性に奔放な日々を送っているように描かれることが珍しくない。だが、現実の彼らの性生活は驚くほど控えめだ。 2024年、ハーバード大学の学生新聞「ザ・ハーバード・クリムゾン」の調査から、同学の4年生の5人に1人が「性交渉経験がない」ことが明らかになった。 これは珍しいことではない。米国の大学生、あるいはそれくらいの年齢の若者たちがするセックスの回数は、過去20年間でほぼ半減した。 教育を受けるほどセックスしなくなる 本誌「エコノミスト」の調査では、こうした性生活の減少が、特に大学生と大卒以上の学歴を持つ社会人のあいだで顕著であることが示唆された。学歴によって、性生活に違いが生じているのだ。 たとえば、2002年から2023年の期間において、学士号を持つ25〜35歳がセックスをする頻度は、成人全体の平均より11%低かった。修士号・博士号を持っ
──あなたは「愛しき恩寵の機械たち」というエッセイのなかで、AIが社会にどのように貢献できるかについて詳しく書いています。なぜいま、AIの利点について書こうと思ったのですか? ここ数年、世界で繰り返されてきたAIの利点とリスクの二元論に、私ほどうんざりしている人はいないと思います。 AIのよい面だけを強調した主張は、ほぼテクノユートピア的な楽観主義に基づいています。AI開発者は近未来的な都市の写真などともに、「AIの研究開発をせよ」と繰り返しSNSに投稿していますが、彼らの主張は具体性に欠けています。 AIのプラス面を説明する言葉は曖昧で感情的で、極端です。シンギュラリティ(技術的特異点)についても、「人類は自分自身をクラウドにアップロードするようになる」「AIがどんな問題も解決する」といった、雲をつかむような話ばかりが広がっています。 では実際に、AIによって「素晴らしき世界」を作ること
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