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ブロッコリーは極めて良質なタンパク源だと、米スタンフォード予防研究センターのクリストファー・ガードナー氏は言う。ブロッコリーにはまた、消化器系の健康維持、血糖値の調整、LDL(悪玉)コレステロール値の低下、がんや心臓病のリスク低減に役立つ食物繊維が豊富に含まれている。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NGM STAFF) タンパク質が重要な栄養素であることはだれもが知っている。タンパク質は体にエネルギーを与え、免疫力を高め、皮膚や歯を健康に保ち、強い筋肉や骨を作るのを助ける。しかし、高タンパク質の食事法が牛肉や豚肉、鶏肉などに大きく依存しがちな現状で、どのように植物性のタンパク質を取り入れたらいいのだろうか。 栄養士によると、植物性食品を中心とした食事でも十分なタンパク質を摂取することは可能だ。しかも、植物性タンパク質を多く取ることには明確な利点があるという。 事実
ドーパミンを生成するニューロン(神経細胞)。(MICROGRAPH BY DR. NICK GATFORD, RESEARCH FELLOW/KAVLI INSTITUTE OF NANOSCIENCE DISCOVERY/UNIVERSITY OF OXFORD) ドーパミンは、いわゆる「幸せホルモン」として広く知られている。買い物をしたり、おいしいものを食べたりした後で楽しい気分になるのは、主にこのドーパミンのせいだと言われる。だが専門家によれば、ドーパミンにはさまざまな働きがあるのは確かだが、「気分を良くする」効果はないという。 ドーパミンは複雑な神経伝達物質で、ホルモンのようにもふるまい、学習、運動、記憶、注意、気分、やる気に重要な役割を果たす。快楽の感情にも関わっているが、直接快楽を引き起こすのではなく、これだけで幸せになれるわけでもない。 ドーパミンの働きとは ドーパミンは、脳
カナダのブリティッシュ・コロンビア州で、岩だらけの海岸に生息するオオカミ。オオカミがイヌになった経緯についてはいくつかの説があるが、新しい研究は、「人に慣れたオオカミが人間のそばで暮らすことを選んだ」という説の信頼性を高めることになった。(Photograph By Paul Nicklen, Nat Geo Image collection) 「いい子だね」。人類は何千年、何万年も前から、ありとあらゆる言語で動物たちにこう話しかけてきた。私たちは、かわいい動物を見ると目を細め、その動物を自分のものにして、自分を愛してもらおうとする。しかし、家畜化は人間の一方的な押し付けによって成立するものではなく、動物の方でも人間に順応している。(参考記事:「ネコは自ら家畜化した、遺伝子ほぼ不変、最新研究」) イヌの家畜化をめぐっては、激しい議論が交わされてきた。人間は、仲間として飼うために、古代のオオ
デンマークの首都コペンハーゲンの運河沿いにあるニューハウンで、独身クラブのメンバーたちが交流し、歌い、酒を飲んでいる。研究によれば、このような歩きたくなる街に住むことは、心身の健康に多大な恩恵をもたらすという。(PHOTOGRAPH BY CORY RICHARDS, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 歩きたくなる街に暮らすことは、幸福と健康を保ついちばんの秘訣かもしれない。歩きたくなる街とは、サービスや商品(食料品店、学校、医療機関、公園など)の大部分に車や公共交通機関なしでアクセスできる街で、そこに暮らす人はより大きな社会的、身体的メリットを享受していることがさまざまな研究で裏付けられている。(参考記事:「1日1万歩でなくても健康に効果、座る時間が長めでもOK、研究」) 住む場所は生活習慣に直接的な影響を与える可能性がある、と米ワシントン州立大学の栄養学、運動生理学教
1483年の戴冠式直前に、ロンドン塔から姿を消したエドワード5世と弟のリチャード。その少し前に、議会は2人が正式な王位後継者ではないと宣言し、叔父のリチャード3世を即位させた。(Photograph by Photo Josse, Bridgeman Images) 英国史上最大級の未解決事件である「ロンドン塔の王子たち」の失踪に、今、熱い注目が集まっている。英国立古文書館が「驚くべき新たな手がかり」と高く評価し、英国で最近放映されたあるドキュメンタリー番組が取り上げた“決定的証拠”が論争に再び火をつけた。 論争のあらましはこうだ。1483年、12歳のイングランド王エドワード5世と9歳の弟リチャードは、は、戴冠式直前にロンドン塔に幽閉され、その後姿を消した。それ以来500年以上もの間、歴史家やアマチュア探偵たちは2人がその後どうなったのかについて、様々な可能性を考えてきた。(参考記事:「英
米労働統計局によると、平均的な米国人は1日30分程度を読書に割いている一方、インターネットやテレビ視聴には数時間を費やしている。(PHOTOGRAPH BY JP TERLIZZI) あなたは本をどんなふうに読んでいるだろうか。会話の部分だけを読む人もいれば、長い文章を飛ばしたり、段落の最初と最後の文だけを読んだりするという人もいるかもしれない。一方で、単語を飛ばすことなく一つひとつ読み、同じ箇所を2回、3回と読み返して、何も見落としていないかを確認する人もいる。 デジタル時代は、われわれの本の読み方に大きな影響を与えている。米調査会社ギャラップや日本の文化庁の調査によると、日米ともに人々が読む本の冊数は減っている。一方、総務省情報通信政策研究所の調査では、日本人の平均的なインターネットの利用時間は1日3時間を超えている。 今日では、じっくりと読み込むよりも、ざっと読み飛ばすことの方に、よ
イタリアのブリンディジ港で抱き合うカップル。恋をすると脳の報酬中枢が活性化し、ストレスや痛みの軽減、睡眠や問題解決能力の向上など、測定可能な効果が生じうることが科学的に示されている。恋愛は長寿とも関連している。(Photograph by Andrea Frazzetta, Nat Geo Image Collection) 今年のバレンタインデーに予定があるかどうかにかかわらず、私たちの脳は常に、社会的な交流を求める行動に報いようとしたり、人との結びつきが足りないときには誰かと絆を結ぶよう促したりしている。プラトニックな愛であれ、ロマンチックな愛であれ、私たちは他者との交流を求める体の欲求を避けては通れない。 「人間の健康にとって、愛は新鮮な水や食べ物や運動と同じくらい、生物学的に不可欠なものなのです」と、米オレゴン大学の神経科学者であるステファニー・カチョッポ氏は言う。 一般に、愛は心
2016年に撮影された動画。アマゾンカワイルカのオスがあおむけで空中に放尿し、別のオスが水面から頭を出し、吻(ふん)で尿を追い掛けている。(VIDEO BY JOHN Y. WANG / CETASIA RESEARCH GROUP) イルカがゆっくりあおむけになり、水面から空中に勢いよく放尿して、黄色い虹のような弧が描かれる。アマゾンカワイルカ(Inia geoffrensis)で観察される「空中放尿」と呼ばれるこの奇妙な行動が、科学者たちに衝撃と混乱をもたらしている。「ボト」とも呼ばれるアマゾンカワイルカを218.9時間観察し、36回におよぶオスの空中放尿を報告した論文は、1月27日付けで学術誌「Behavioural Processes」に発表された。 「1頭のオスがゆっくりあおむけになり、ペニスを露出させて排尿します。ほかのオスがいる場合、そのオスは吻(ふん)で尿を追い掛けることが
ザトウクジラ(Megaptera novaeangliae)は、複雑な歌を歌うことが知られている。新たな研究により、この歌には人間の言葉に特有とされる経験則が見られることがわかった。(Photograph By Richard Robinson, Nature Picture Library) ザトウクジラの世界では、まるでTikTokで人気の曲のように、新しい歌が場所やグループを越えてあっという間に広がり、それまでおなじみだった曲と入れ替わることがある。ザトウクジラの歌は複雑だが、キャッチーで伝わりやすい歌の秘密とは何なのだろうか。 ザトウクジラ(Megaptera novaeangliae)の歌は、さまざまな音の要素が組み合わさってフレーズになり、フレーズが繰り返されてテーマとなり、さらにテーマが合わさっている。2月6日付けで学術誌「Science」に発表された研究によると、クジラの歌
象徴的な白い建物で知られるギリシャのサントリーニ島は、はるか昔から火山の噴火と地震に見舞われてきた。サントリーニ島および周辺の島々では、1月下旬から地震が相次いでいることから、多くの住民が島を離れ、政府が緊急事態宣言を発令する事態となっている。(Photograph by Petros Giannakouris, AP Photo) ギリシャのエーゲ海に浮かぶ島々は一般に、ゆったりとした雰囲気と穏やかな景観で知られている。しかし現在、アモルゴス島、アナフィ島、サントリーニ島を含むいくつかの島々では大きな地震が続いており、それがいつ収まるのかについての見通しも立っていない。 ここ数日、島民たちは最大マグニチュード5.3の地震に見舞われている。サントリーニ島では、島民の3分の2を超える1万人以上がすでに自主的に島を離れ、当局は学校の閉鎖を命じた。また、住民に対しては屋内での大規模な集会を控え、
コンゴ盆地にあるコンゴ共和国のオザラ・コクア国立公園もマルミミゾウやゴリラの重要な隠れ家だが、一帯では今、恐竜をまつわる伝説が新たに拡大している。(Photograph by Roger de la Harpe, Danita Delimont/Alamy) 木々が揺れ始め、サルが悲鳴を上げ、鳥が空高く飛び立った。コンゴ共和国オザラ・コクア国立公園の奥深くで、セラ・アボンゴ氏は凍り付いた。伝説の恐竜モケーレ・ムベンベに遭遇すると確信したためだ。 2003年、新米の自然保護活動家だったアボンゴ氏は、5000頭以上のニシローランドゴリラの命を奪ったエボラ熱の調査を行うため、オザラ・コクア国立公園の密林に足を踏み入れた。しかし、その日、エボラ熱(エボラ出血熱)の流行が脇に追いやられるほど、アボンゴ氏の頭は空想に支配されていた。(参考記事:「エボラ熱で約5500頭のゴリラが死んでいた」) 「実際は
シルバー・グレン・スプリングスの泉で泳ぐマナティーの体に、ナマズがぶら下がっている。(Photograph by Nicholas Conzone) 「1頭のマナティーに20匹ものナマズがぶら下がっているのを見たこともあります。頭や目にまで張り付いていて、マナティーはどんなに気持ちが悪かったことか」。米国フロリダ州ブルースプリング州立公園の泉で目にした光景を振り返るのは、非営利団体「セーブ・ザ・マナティー」のマルチメディア担当兼マナティー研究員であるコラ・バーチェム氏だ。 このナマズはマダラロリカリア(Pterygoplichthys disjunctivus)で、「プレコ」とも呼ばれる。体長は60センチほど。黒い体に紫と茶色のまだら模様とよく目立つ帆のような背びれがあり、平たい腹は水底の藻を食べるのに適している。 フロリダでは侵略的外来種で、川底に生息している。1950年代に南米からフロ
朝のトレーニングを始める女性。運動の開始時は、体と脳がその要求に適応する重要な時間帯だ。最初の数分間に起きる体の変化が集中力や気分の向上、長く続く健康への効果の土台になる。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 運動を始めて最初の数分間は、どんな運動でも、いちばんハードルが高く感じられるだろう。それにはもっともな理由がある。心臓がドキドキし、呼吸が速くなり、筋肉が動き出すと、体は急激に変わってゆく。これらの変化は、脳から肺まで、より良いパフォーマンスと長く続く健康的な効果の入り口となる。ここでは、パワーアップしてゆく体に何が起きるかを見ていこう。 心臓がスタートダッシュ あなたの体は、実は汗をかく前から活動の準備を開始する。この心拍数の「予測的な増加」は、活動に備えるためのストレスホルモン、ノルアドレナリンによって引き起
ベネズエラの広大なカナイマ国立公園の中には、岩絵が描かれた遺跡群がある。そこに描かれた星々や木の葉の絵を調査した考古学者たちは、この岩絵遺跡群が未知の古代文化の中心地だったとみている。 岩絵遺跡群があるのは、総面積約3万平方キロメートルにおよぶカナイマ国立公園の中でも特に近づくのが難しい地域。最初に岩絵が見つかったのは2009年だった。以来、米マノア財団からの資金提供の下、首都カラカスにあるシモン・ボリバル大学のホセ・ミゲル・ペレス・ゴメス氏を団長とした調査団は20もの先史時代の岩絵遺跡を発見してきた。 2023年11月にはそれまでの成果を学術誌「Rock Art Research: The Journal of the Australian Rock Art Research Association」に発表している。 カナイマ国立公園には密林と草原地帯が広がる。その数百メートル上にはテー
鳥類が恐竜のうちティラノサウルスやヴェロキラプトルなどが属する獣脚類恐竜の一部であるという仮説が受け入れられるようになってから久しい。化石種と現生種において共通の系統学的な情報源である骨格形態に基づくと、現時点で鳥類の起源に関する仮説として本説が科学的に妥当な唯一のものであると言えるほどである。 特に獣脚類の一部であるコエルロサウルス類の中での鳥類の進化については連続的に形態が変化したことがわかっており、これは骨格だけでなく、鱗から繊維状の原羽毛を経て完全な羽毛にまでの進化的変化についても同様である。 このような詳細がわかってくると、それではどこから鳥類と呼べば良いのか? という疑問が湧いてくる。実際にこれは私自身が講演などをするとかなりの頻度で質問されることなので、ここで考えてみたい。 分類とはあくまで人間の考え 鳥類(Aves)というのは分類群の名前であり、伝統的な分類体系においては「
卵の黄身と白身が固まる温度は実は異なる。科学者たちは温度の異なるお湯を交互に使い、両方を理想的な固さにゆでる方法を編み出した。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALES, NATIONAL GEOGRAPHIC) 簡単にできる料理と思われがちなゆで卵だが、出来上がったゆで卵をいざ割ってみて眉をひそめる人は少なくない。理想のゆで卵を作るためのコツや秘訣も人の数ほどあるが、それでも中がカチカチだったり、ドロドロだったりしてがっかりした経験をした人は多いだろう。 完璧なゆで卵を作るのが難しいのには理由があると、イタリアの科学者チームは言う。卵白と卵黄が固まる温度が異なるからだ。卵白が固まるのは約85℃に対し、卵黄が固まるのは約65℃だ。 2025年2月6日付けの学術誌「Communications Engineering」で、理想のゆで卵の作り方をイタリア、フェデリコ2世ナポリ大学
米ニューヨーク市のウェストブロードウェイを走って横切るネズミ。新たな研究で、気温の上昇によって大都市のネズミが増えている可能性が示された。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 科学者たちはすでに、気候変動がより厳しい天候や海面上昇、極地の氷床の融解につながっていることを示してきた。そして今、2025年1月31日付けで学術誌「Science Advances」に掲載された新たな研究が、さらに悪いニュースをもたらした。都市部のネズミが、気温の上昇とともに増えているようだ。 「世界中の都市でネズミの数がおおむね増えていることがわかりました」と、米リッチモンド大学の都市生態学者で、論文の筆頭著者であるジョナサン・リチャードソン氏は言う。「そして、温暖化が急速に進んでいる都市ほど、ネズミの数がより増加している
アリバチの仲間Traumatomutilla bifurcaの体の黒い部分は、従来より反射率が低い「超黒」であることが新たな研究で明らかになった。(Photograph By Piemags/nature / Alamy) ブラジルの熱帯サバンナに生息するアリバチ(Traumatomutilla bifurca)のメスは、体の色は黒と白で、翅を持たず、ミニチュアパンダのように見えなくもない。しかし、いくらもふもふしているからといって、この小さなケモノに鼻をこすりつけてすりすりしてはいけない。強力な毒針を持つこのハチは、地元では“ウシ殺し”と呼ばれている。 最新の研究で、このアリバチの体の黒い色は見かけ以上に複雑であることが明らかになった。光がアリバチに当たると、体を覆う剛毛によって散乱し、真っ黒い毛に吸収される。その結果、反射する光はわずか1%に満たない。この研究は、2024年12月2日付
脳内の血管を示す着色されたCT画像。新たな研究により、マイクロプラスチックは人間の腎臓や肝臓よりも脳に多く蓄積されることがわかった。(PHOTOGRAPH SAMUNELLA, SCIENCE PHOTO LIBRARY ) マイクロプラスチック(直径5ミリメートル以下のプラ粒子)は、世界的にプラスチックの使用量が増えるのに伴い、驚異的な速さで環境に浸透している。現在のプラスチック生産量が年間3億トンを超えるなか、世界の海には、2023年時点で推定250万トンのプラスチックが浮遊している。これは2005年の水準の10倍以上にあたる量だ。 2月3日付けで医学誌「Nature Medicine」に掲載された研究により、マイクロプラスチックとナノプラスチック(さらに小さい直径1~1000ナノメートル)は、人間の肝臓や腎臓よりも高い濃度で脳に蓄積されることが判明した。また、2024年のサンプルは、
ドローンが南極海で撮影した巨大氷山A23a。この氷山が南極大陸から分離したのは1986年のことだったが、最近になってサウスジョージア島に向かって漂流しはじめた。(Photographer Andrew Miller, Capture North Studios) A23aと呼ばれる巨大な氷山が、アザラシやペンギンが多く生息する南大西洋の英領サウスジョージア島に向かって移動している。 重さが1兆トンもあるこの巨大氷山は、南極大陸の棚氷から分離した後、40年近く同じ場所にとどまっていたが、数年前から移動をはじめた。時速2km以下のゆっくりした速度で進んでいるとはいえ、一部の専門家は、野生動物の生息地に悪影響を及ぼすのではないかと危惧している。(参考記事:「「史上最大」のネズミ根絶プロジェクトが成功、サウスジョージア島」) この氷山はどのようにして分離したのだろうか? ペンギンやアザラシにどのよ
果樹害虫の一つである「オウトウショウジョウバエ」は、暗い郊外より都市の光が多い環境下のほうが繁殖に有利であることが、千葉大学の研究グループによって明らかになった。これまで一般的に「都市環境は生物の生存に悪影響を及ぼす」と言われてきたが、ある種の虫は環境に応じて生態を変えていることが明かされた形だ。害虫駆除のために光を減らすなどの工夫に応用できる可能性があるという。 オウトウショウジョウバエは都市にも郊外にも存在し、桜の木の実やサクランボ、ブルーベリー、ラズベリーなどに産卵する。10日から2週間ほどで成虫になる。千葉大学大学院理学研究院の高橋佑磨准教授(進化生態学)らの研究グループは、都市の夜間の明るさがそこにすむ生物にどのような影響を与えるのかどうか、また、都市部のように急速に変化する環境において生物の進化が起きているかを調べてきた。
冬になると、世界中で死亡率が上昇する。この現象は「冬季超過死亡(EWM)」と呼ばれている。(PHOTOGRAPH BY NORBERT ROSING, NAT GEO IMAGE COLLECTION) クリスマスやバレンタインデーなどがある冬は華やかな季節だが、命を落とす人が最も多い季節でもある。これは世界的に見られる謎の多い現象で、「冬季超過死亡(EWM)」と呼ばれている。 例えば、英国家統計局(ONS)によれば、イングランドとウェールズでは2021年から2022年にかけての冬(12~3月)、死者数がほかの季節の平均より1万3000人多かった。米疾病対策センター(CDC)によれば、米国では2011〜2016年、冬の死者数はほかの季節より8〜12%多かった(編注:日本では厚生労働省の2014年人口動態統計に基づき、12~3月は4~11月に比べて死者数が17.5%多いという調査結果がある)
遅ればせながらですが、本年もどうぞよろしくお願い申しアゲハチョウ! 熱帯雲霧林のモンテベルデ、去年から雨が多く、低地の各地では洪水の被害が多発。2025年に入ってからも乾季というのに雨が例年より多い感じだ。林道はグシュグシュ。 1月1日元旦、陽があまり差し込まない日だったが、研究対象のアワフキムシの一種が毎年この季節から姿を見せる木に向かった。森は暗い。探すもいつもの木には姿がなかった。他の木も探してみるがいない。まだ早いのか? ん? 何か葉の裏にくっついているぞ? 腰を低くして見てみると、死んだゾウムシで、カビにやられた感じだった。 「なんか古そう、苔が生えてるし、だいぶ前のものだろうな~」。脚が一本、背中のほうへと振りかざし上げられたような状態でミイラ化して(固まって)いて、見栄えもいまいちなので、写真を撮ろうかどうしようか迷った。けれど、一応記録として撮影しておこうと葉をちぎって表に
政府の地震調査委員会(委員長・平田直東京大学名誉教授)は1月15日、マグニチュード(M)8~9程度が想定される南海トラフ巨大地震の30年以内の発生確率をこれまでの「70~80%」から「80%程度」に引き上げたと発表した。平田委員長は「(80%程度とは)いつ起きてもおかしくない数字」と述べ、引き続き「備え」を進めるよう求めた。 地震調査委員会は日本周辺の海溝や全国の活断層で想定される地震の発生確率を毎年1月1日時点で計算し、必要に応じて更新し、発表している。同委員会によると、想定発生確率は実際に地震が起きない限り、時間の経過とともに上がる。今回の引き上げに際しては1月13日や2024年8月に日向灘で発生した地震は影響していないという。 南海トラフ巨大地震を巡る発生確率は2013年から出された。この時は「60~70%」、14年は「70%程度」、18年に「70~80%」に引き上げられていた。地震
約30万年前にホモ・サピエンスが出現した当時、少なくとも6種のほかの人類がいた。古生物アーティストのジョン・ガーチーのアトリエには、その6種の復元模型がある。左から、ホモ・ナレディ、ホモ・ハイデルベルゲンシス、ホモ・フローレシエンシス、ホモ・エレクトス、ホモ・ロンギ(竜人の意)、ホモ・ネアンデルターレンシス。(PHOTOGRAPH BY MARK THIESSEN) DNA解析技術の画期的な進歩で、新たな発見が相次ぎ、人類進化の歴史が書き換えられつつある。かつて私たちホモ・サピエンスと同時代に生きた「ほかの人類」の姿も見えてきた。 ラオス北東部の人里離れた山岳地帯。そこに口を開けたコブラ洞窟で、エリック・スゾーニのヘッドランプの明かりが岩壁をあちこち照らしているうちに、奇妙なものが浮かび上がった。 土砂と岩石が堆積した地層から、何十個もの骨と歯が突き出ていたのだ。 50歳になる長身のスゾー
東西冷戦が絶頂期に達していた頃、米国はグリーンランド氷床の内部に核基地を建設するという、信じがたい軍事計画を秘密裏に進めていた。その計画の一部として造られた基地で60年ほど前に行われた科学調査が今、気候変動を知る手がかりとして注目されている。 凍りつくほど寒さが厳しかった1960年10月のある日のこと。 氷床を掘って造られた空間の内部で、米国陸軍の技術者たちが、原子炉の稼働に向けて、最後の準備作業を進めていた。 当時はまだ原子力発電が始まって間もない頃だった。その原子炉は実験段階のもので、小さく故障しがちだったが、一度でも放射性物質が漏出すれば命取りになることを、技術者たちは承知していた。きらきらした雪氷の壁は、彼らの声を聞き取りづらくし、照明を跳ね返し、放射線量を計測するガイガー・カウンターが発する耳障りな音を吸い込んだ。頭のはるか上には、波形鋼板で作られたアーチ状の天井があり、足の下に
水深120メートル近い地中海の海底。この一帯で、1300を超える謎のリングが発見された。(PHOTOGRAPH BY LAURENT BALLESTA) 地中海の海底で完全な円形をした奇妙なリングが発見されると、その正体をめぐってさまざまな説が唱えられた。そして4年に及ぶ調査の結果、その背後にある失われた世界が明らかになってきた。 2011年9月中旬の晴れた暑い日。海洋生物学者のクリスティーヌ・ペルジャン゠マルティニは、研究用の全長30メートルの双胴船のキャビンにいた。船は、地中海に浮かぶフランス領コルシカ島の沖、約20キロを航行中で、窓の外では太陽の光を受け、紺碧(こんぺき)の海が美しく輝いている。だが彼女の関心は、その下に広がる世界に向けられていた。 目の前には、船に搭載されたソナーシステムの画像を映し出すモニターがある。短い音波を連続的に発して、約120メートル下の海底の地形を調べて
2023年11月、日本の屋久島で、メスのニホンザルがニホンジカにマウンティングしようとしている。(Photograph By Atsuyuki Ohshima) 2015年に屋久島で一匹のオスのニホンザル(Macaca fuscata)がメスのニホンジカ(Cervus nippon)の背中に飛び乗り、交尾を試みた。研究者たちは、この行動はおそらく繁殖の機会がないことに対するはけ口だろうと報告した。言い換えれば、偶然カメラに捉えられた一度きりの出来事のようだったが、2020年、21年、23年にも目撃された。 後のいくつかの事例には、2015年のニホンザルが関与しているようだった。もしそれが本当に同じ個体であるなら、群れの他のサルはこのサルからシカへのマウンティングを学び、「社会的伝播」として知られる方法で広めている可能性がある。この研究は、2024年12月24日付けで学術誌「Cultural
グリーンランド北西部の小さな島にある町ウマナック。冷戦時代の軍事基地から現在の北極を巡る各国の野心に至るまで、グリーンランドの戦略的な位置と豊富な地下資源は世界の注目を集め続けている。(PHOTOGRAPH BY CIRIL JAZBEC) 米国は冷戦時代をピークに100年以上にわたり繰り返しグリーンランドに食指を動かしてきた。狙いは豊富な地下資源と、その戦略的な位置だ。しかし、グリーンランドの指導者たちはこうした野心を常に拒んできた。なぜこれほどまでにグリーンランドは狙われるのか、領土購入の試みや軍事基地を巡る交渉の歴史からひも解いていこう。 米国がグリーンランドに初めて関心を持ったのはいつ? 米国が世界最大の島であるグリーンランドに関心を持ち始めたのは19世紀の後半。1867年に720万ドルでロシアからアラスカを購入した当時の国務長官ウィリアム・H・スワードが、領土拡大のための次の候補
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