五稜郭公園や函館山の麓など観光名所と、函館駅などを結ぶ総延長約11キロの函館市電。明治30(1897)年に馬が客車を引く民間の馬車鉄道として開業。大正2(1913)年の電化で路面電車になり、昭和18(1943)年に市営化された。現在も、1日約1万4千人が利用する、市民生活や観光に欠かせない公共交通機関だ。 先月26日の北海道新幹線開業で、函館は昭和63年の青函トンネル開通以来の盛り上がりを見せている。市電も開業から2日間、運賃を無料にした。北海道新幹線のH5系車両と同じ塗装のラッピング車両も走る。 谷地頭(やちがしら)電停近くで、土産物店を営む福原啓子さん(69)は「市電は函館の自慢のひとつ。味があっていいよね」と話す。新幹線開業の日、谷地頭では最新の高速列車で北の大地を訪れた鉄道ファンが、昔ながらの市電に向けて盛んにシャッターを切る姿があった。