現行の死刑制度と運用には、放置できない多くの問題がある。現状のまま存続させてはならない―。政府、国会が正面から受けとめるべき問題提起だ。 学識者らによる「日本の死刑制度について考える懇話会」が報告書をまとめた。死刑の存廃を含め、制度を根本的に検討する会議体を国会、内閣の下に早急に設けることを提言している。 懇話会は、日弁連が呼びかけて2月に発足した。刑法学者の井田良・中央大教授を座長に、与野党の国会議員、犯罪被害者の遺族、元検事総長、元警察庁長官ら16人が加わっている。 検討すべき事柄としてまず挙げたのは、国際社会の動向を踏まえた日本の立場と責務だ。死刑を廃止するか執行を停止した国は144カ国に上り、世界の7割を超す。国連総会で廃止や執行停止を求める決議が繰り返し採択され、日本政府は人権条約機関から再三、廃止の勧告を受けてきた。 懇話会は、そのことが日本の国益を損ねている疑いを指摘するとと