レプリカでなく実物に触れて子どもたちに地元の歴史遺産に興味を持ってもらおうと、川崎市は市内で発掘された先史時代の土器や石器を使った体験学習に力を入れている。紛失や欠損のリスクを恐れ倉庫に眠らせるより文化財の公開と利用を優先した取り組みだ。「本物に触れて感激した」と児童にも好評で、他の自治体から注目を集めそうだ。(栗原淳) 中原区の市民ミュージアムで今夏、企画展「郷土・川崎を掘る」が開催された。民間の研究所が発掘した約四百点の出土品を紹介する会場で、小学生に人気だったのが「土器パズル」のコーナー。バラバラの縄文土器片を一つに接合する体験型展示だ。 不特定多数の人が訪れる博物館では、手に触れる文化財は盗難防止にワイヤをつなぐなどが通例だが、このイベントでは自由に手に取らせた。 「『本物の土器に触れて感激した』『初めて土器を組み合わせた』と好評だった」と新井悟学芸員。「所蔵だけでなく利用も博物館