民主政体でなぜ独裁?=「ナチス憲法」Q&A 民主政体でなぜ独裁?=「ナチス憲法」Q&A −麻生太郎副総理兼財務相のいわゆる「ナチス憲法」発言が物議を醸している。 ドイツは第1次世界大戦(1914〜18年)の敗北に伴って帝政が崩壊し、当時の欧州の中で最も進歩的な民主政体とされるワイマール共和国が成立した。その進んだワイマール憲法下で実施された選挙で、ヒトラー率いるナチス党(国家社会主義ドイツ労働者党)が第一党の座を獲得し、独裁体制へ突き進むわけだが、麻生氏が言うような「ナチス憲法」といったものは存在しなかった。ナチス政権の下でも、ワイマール憲法は形骸化しながらも残っていたのであって、「ナチス憲法」に取って代わられたわけではない。 −どうしてヒトラーはそんな民主的な憲法の下で、独裁体制を構築できたのだろうか。 1933年1月のヒトラー内閣成立直後の3月、国会で「全権委任法」が可決された。