安倍総理大臣が9日から熊本県で始まった、水銀を国際的に規制する条約を採択するための会議に寄せたビデオメッセージの中で、「日本は水銀による被害を克服した」という趣旨の発言をしたことについて、水俣病の被害者団体の中から「水銀の被害は全く克服されていない」という批判の声が出ています。 安倍総理大臣は9日午後、水俣市で開かれた「水俣条約」を採択する国連の会議の開会を記念する式典にビデオメッセージを寄せ、この中で、「水銀による被害とその克服を経たわれわれだからこそ、世界から水銀の被害を無くすため、先頭に立って力を尽くす責任が日本にはあるのだと思う」と述べました。 これについて、式典に出席した水俣病の最大の被害者団体「不知火患者会」の大石利生会長はNHKの取材に対し、「水銀の被害は全く克服されていない。現場も見ずに述べた発言であり、すべての被害者が納得しないだろう」と批判しました。